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【断末魔の安倍政権】不祥事と暴言で見えてきた「国民の敵」

2018年4月25日 08:55

テレビ画面.png 官僚の文書偽造、隠蔽、虚偽答弁、セクハラ、大臣の風俗通い(参照記事⇒「自民党に激震! 今度は閣僚のスキャンダル」)――。日替わりで政府内の不祥事が報じられ、責任回避に走る政治家と官僚の暴言が相次ぐ。
 最大の問題は、永田町や霞が関の人間たちに、「道徳心」や「規範意識」が欠如していること。財務事務次官のセクハラを巡る政治家と官僚の発言は、その象徴と言えるだろう。戦後、これほど酷い政権があっただろうか。

◆セクハラ被害者を攻撃する政権の実態
 閣議で福田淳一財務事務次官の辞任を承認した24日、直後の会見で麻生太郎財務相が発した言葉に耳を疑った。
「セクハラ疑惑について『嵌(は)められて訴えられているんじゃないか』とか、世の中にご意見がある」――福田氏が嵌められたというのなら、嵌めたのはセクハラ被害にあったとされるテレビ朝日の女性記者ということになる。

 「嵌める」とは、人を陥れること。どなたの説か知らないが、被害女性を犯罪者扱いし、二次的な被害を与えたに等しい発言だ。同様の発言は、麻生氏以外の政府関係者からも相次いでいる。

発言.png

 財務省ナンバー2の矢野康二官房長は国会で、被害女性に名乗り出るよう求めた財務省の非常識な調査手法について問われ「そんなに苦痛なことなのか」――。もちろん苦痛に決まっているが、そんなことも理解できない男が、国から高い給料をもらい、黒い高級車の座席にふんぞり返っているということだ。

 この役人、よほど頭が悪いらしく、セクハラへの意識が低いのではないかと問われると「私は相当高い」――。テレビニュースで矢野氏の言動を知った大方の国民は、税金を払うのがばかばかしくなったはずだ。

 一方、「道徳」の教科化を推し進めてきた文部科学省の前大臣・下村博文氏も、麻生氏同様の暴言で、厳しい批判に晒されている。
「確かに福田事務次官はとんでもない発言をしたかもしれないけど、テレビ局の人が隠して録っておいて、週刊誌に売ること自体が、はめられてますよ。ある意味犯罪だと思う」(都内の講演会で)

 犯罪被害者が、加害者の言動を記録するのは当然だ。悪質なセクハラに対抗するには、証拠を残すしかない。刑事事件にしても民事裁判にしても、「私はやっていない」と開き直るのが犯罪者の常で、実際、福田前次官は「全体をみればわかる」としてセクハラを否定している。

 テレビ朝日の記者が録音を残していなければ、このスケベ役人はのうのうと次官の職をまっとうして、高額な退職金を何度も貰える恵まれた老後を送っていただろう。セクハラ被害を握りつぶしていたテレ朝が批判されるのは分かるが、女性記者が責められる理由はない。

 そもそも、犯罪者が犯行に及ぶその時に「録音してもいいですよ」などと言うはずがない。隠し録りは、セクハラを受けた女性記者にとって最後の手段。放っておいたら、さらに増えていたであろう他のセクハラ被害を、防げたことにも意義がある。 

◆不支持5割超 世論が示す「国民の敵」
 国内を右傾化させた安倍政権は、集団的自衛権の行使や安保法制といった“戦争”のための道具立てに力を注ぐ一方で、「道徳」を教科化するなど、国家主義を鼓舞するための政策を推し進めてきた。「女性が活躍できる社会」というキャッチコピーもばら撒いた。

 現状はどうだろう。官僚は平気で嘘をつき、犯罪行為に手を染めている。政治家は責任をとろうともせず、麻生太郎の会見での言動をみても分かる通り、逆に追及する報道陣を威圧する始末だ。子供たちがどう見ているのか考えたこともないのだろうが、これで「大切なのは道徳」などと言えるはずがない。

 不祥事が起きるたび、「丁寧に説明する」「真摯に向き合う」だのと格好のいい言葉を並べてきたのは安倍首相である。森友・加計問題について、「膿を出す」と約束したのも安倍さんだ。しかし、政府・与党は安倍昭恵首相夫人や元秘書官の証人喚問を拒否しており、真相究明に向けて動く気配さえない。政権内の膿はたまるばかりだが、抵抗力が弱っているのか、内部から治癒を促す声さえ出ない。「道徳」とは無縁の為政者に、国家がどうのという資格があるのか?

 セクハラ官僚を懸命に擁護する政治家たちが「女性が活躍できる社会」の敵であることは間違いないが、安倍さんはそうした連中を咎めるでもなく、沈黙したままだ。つまりは、これが「美しい国」の正体ということなのだろう。

 自衛官が、国会の前で野党議員を「国民の敵」と罵倒したという。だが本当の「国民の敵」は、国を歪めた安倍さんであり、麻生さんであり、現在の政府・与党ではないのか?不支持が5割を超える世論調査の結果が、答えを示している。



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