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福岡・空港アクセスバス 事業者に新たな法令違反の疑い

2018年4月 4日 06:45

0000-royalbus-1024x826.jpg 国家戦略特区の特例を利用して、昨年4月に福岡市が導入した空港アクセスバスの運営会社「株式会社ロイヤルバス」(福岡市)に新たな法令違反の疑いが浮上した。
 先月23日に開かれた福岡市議会において、共産党市議団の中山郁美議員がロイヤルバスの事業者住所に言及。住所を移転しているにも関わらず、九州運輸局への登録は旧住所のままとなっており、法で定められた事業計画変更届が未提出であるとして市側を追求した。
 確認したところ、法人登記上も旧住所のままとなっているが、同地は昨年12月に福岡空港滑走路増設のため、国交省が買収した土地。現在は更地となっており、ロイヤルバスは国の土地に本店を置いている形になる。

◆国の土地に本社
 今回明らかとなった法令違反は、道路運送法などに抵触する形となる“事業者住所の変更届未提出”。バス事業者は、道路運送法及び旅客自動車運送事業等報告規則の規定により事業者住所に変更があった場合、「遅滞なく管轄する運輸支局に届け出しなければならない」と定められているが、ロイヤルバスは未提出で旧住所のままとなっている。

 現在、ロイヤルバスの本社は福岡市博多区月隈1丁目のマンションの一室。しかし九州運輸局への届出では、事業者住所および法人登記上の本店住所ともに福岡市博多区榎田2丁目となっている。同地は平成29年12月26日付けで国交省が買収しており、登記上は国の土地に本店を置いている形だ。

 「住所変更の際の届け出義務違反」は明らかで、行政処分が課せられる可能性もある。特区事業者として推薦したのは福岡市だが、立て続けに同社の法令違反が発覚しており、事業者としての適性を疑わざるを得ない。

◆福岡市は責任放棄
 国とともに国家戦略特区を活用した事業を進めてきた福岡市だが、中山市議の質問に対し、「管轄は九州運輸局」の一点張り。同市議は、ロイヤルバスの違法行為に対する調査、厳正な処分を求めたが、市は「バス運行については九州運輸局が認定するもの。適切な判断と対処は運輸局が行うべき」として責任放棄した格好となっている。

 国にロイヤルバスを推薦しておきながら、不都合な事実が明るみに出たとたん、監督官庁に責任を押し付ける福岡市。他会派の議員からも「おかしいだろう」「無責任」といった声が上がっている。

 代表者が高島宗一郎市長の「知人」(市長答弁)とされるロイヤルバスを巡っては、空港アクセスバスの事業者選定に便宜供与の疑いが持たれている他、九州運輸局への届出が義務付けられた「輸送実績報告書」の一部が提出されていなかったことがわかっている。新たに同社の杜撰な運営実態が明るみに出たことになるが、昨年10月に福岡市で開催された「国家戦略特区 福岡空港アクセスバス分科会」では、運行が適正に実施されているということで参加者一同「異議なし」と結論付けていた。

関連記事→(「お友達戦略特区 福岡・空港アクセスバスの事業者に法令違反の疑い」)



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