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唐突に「国」の意向 官邸関与か【検証・森友疑惑(下)】

2018年2月21日 20:00

0000-国.jpg 財務省が今月9日に国会に提出した20件、319ページに上る森友学園関連文書は、それまで同省の佐川宣寿前理財局長(現・国税庁長官)が国会で「廃棄した」と明言していた国有地払い下げに至る森友学園側との交渉記録が含まれるものだった。「経緯」と題する文書には、平成25年6月28日から27年4月2日までの、近畿財務局と森友側のやり取りが詳細に記録されている(19日既報)。
 国会には、昨年12月に大学教授の情報公開請求によって明らかとなった5件分・89ページの文書も提出されおり、一連の文書を精査すると財務相が森友側の要求を次々に受け入れていく不自然な交渉過程が浮き彫りとなる。“国の意向”が唐突に登場するほか、12月開示の文書の中には、財務省が否定していた土地価格の事前交渉を証拠立てる文書も含まれていた。

■不自然な交渉過程 平成27年4月に「国」の意向
 新たに国会に提出された文書は、財務省近畿財務局が森友学園と小学校建設予定地(大阪府豊中市 8,770.43平米)の賃貸契約を結ぶ交渉をしていた平成25年9月から27年4月までに同局内部で作成されたもの。森友側との交渉窓口になっていた管財部が、契約内容や方針について法務担当の部署に照会し、法務担当が回答する形となっている。19日に報じた交渉過程の記録「経緯」は、照会文書に添付されていた。

 森友学園との交渉経緯をたどると、“8年間を賃貸借し、学校経営が安定した後に売買”するという当初案から、法的な理由で“10年間を賃貸借し、学校経営が安定した後に売買”へと移行。この間、問題の土地が軟弱地盤であることや、当初見つかった産廃の処理費用を巡って、森友側がしつこく賃料の減額を求めていたことが分かる。

 問題の土地が軟弱地盤であることが分かり、賃料の減額を要求された平成27年。困惑した様子の近畿財務局の管財部は3月31日に、「『無理に本地を借りていただかなくてもよい』と投げかけることも考えている」という交渉テクニックについて法務担当に照会。4月2日付けの回答文書で、法務担当から「『本地を借りていただかなくてもよい』との表現の適切性については、再考を要する」として、たしなめられていた。この時期、法務担当は訴訟リスクを指摘しながら、「契約条件が整わない場合に相手の要請を受諾する義務はない」という回答も行っている。法務担当の部署に限って言えば、“忖度”が働いた形跡はない。

 財務局管財部の姿勢が変化するのはこの頃。地盤や産廃の問題を持ち出し減額要請を繰り返す森友学園の姿勢に多少なりとも反発していた同部が、訴訟リスクの指摘を受けた4日後の4月6日、突然 「国としては平成28年4月開校に協力する姿勢は堅持したい」として、積極姿勢に転換する。
(*下が「国」の意向を示した文言が出てくる文書。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

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 注目すべきは「国としては」という文言だ。この表現は、全20件の中の19件目の文書に初めて出てくるのだが、主語がなかった照会文書に突然“契約主体=国”が現れた形。財務省の範疇を超えて「国」の意向が示されたということは、総理官邸から何らかの指示があったと見るべきだろう。「国としては」は、加計学園の獣医学部新設を巡る問題で登場する「官邸の最高レベル」や「総理のご意向」と通底する。

■価格の事前交渉を示す1枚の文書
 その後、10年間の事業用定期借地による貸付けが実現。平成28年3月に、地下から新たな産廃や家庭ゴミが出てきたとして森友学園が騒ぎ出し、同年6月20日に森友学園が総額1億3,400万円という“ただ同然”の価格で問題の土地を取得するに至る。昨年12月、大学教授の情報公開請求によって存在が明らかとなった5件、89ページの文書は、平成27年6月から28年5月までの、まさに疑惑の契約が行われる直前までの法律相談の記録だった。その中に、「事前の価格交渉は行っていない」と断言してきた佐川前理財局長をはじめとする財務省側の主張を、完全に否定する重要な文書が含まれていた。それが下の1枚である(赤い囲みはHUNTER編集部)。

000000―森友文書.jpg 平成27年12月1日付けで財務局管財部によって作成された法律相談に添付の「売買契約締結までの事務処理手順(案)」には、『売買金額については、できる限り学校法人との事前調整に努めるものとする』と明記されていた。売買金額の事前調整とは、即ち“価格交渉”。財務省の国会答弁は、真っ赤な嘘だったことになる。政府はいまだに事前交渉を否定しているが、実際に、問題の土地の価格は地下の産廃撤去を理由に約8億円も減額され、1億3,400万円という信じられない額となっていた。

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 問題の土地の価格を巡っては昨年11月、会計検査院がごみの撤去費分として約8億円値引きされて売却された問題についての検査結果を公表。“森友側との協議記録など重要な文書が廃棄されており、8億円値引きの根拠もない”という結論を出している。この検査にあたって、一連の財務省新文書は提出されておらず、その内容は検査結果に反映されていない。財務省の組織的な隠ぺいが、国と首相周辺の犯罪行為を闇に葬ろうとしている。



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