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これが財務省の「交渉経緯」 【検証・森友疑惑(上)】

2018年2月19日 07:00

DSC05741.JPG 財務省が今月9日、同省の佐川宣寿前理財局長(現・国税庁長官)が国会で「廃棄した」と明言していた、国有地払い下げに至る学校法人森友学園側との交渉内容が含まれる新たな文書20件を国会に提出した。
 麻生太郎財務相は、「交渉に関して法的な論点について近畿財務局内で検討を行った法律相談の文書で、交渉記録ではない」と釈明。意図的な隠ぺいを否定しているが、HUNTERが独自に入手した財務省文書の記述内容を精査してみると、麻生・佐川答弁の虚偽が浮き彫りとなる。
 財務省が開示した文書には、廃棄されたはずの「交渉経緯」そのものが添付されていた。

■その名もズバリ「交渉経緯」
 財務省が参院予算委員会の理事会に提出したのは、同省と学園が小学校建設予定地(大阪府豊中市 8,770.43平米)の賃貸契約を結ぶ交渉をしていた平成25年9月から27年4月までに省内で作成された文書。問題の土地を森友学園側に貸す場合の契約内容や同省が採るべき方向性などについて、法律的な問題点を内部で検討した際に作成されていた。国有地が格安で払い下げられるまでの経緯に、大きくかかわる内容だ。文書は、1件ごとに国有財産の管理を所管し森友側との交渉を担った管財部が、法務担当の部署に事案を照会し、法務担当が回答する形。計20件、319ページに上る。

 このなかに、佐川前理財局長をはじめ財務省側が一貫して存在を否定してきた森友学園側との“交渉過程”を記した文書が含まれていた。近畿財務局は文書の中で、「交渉経緯」という言葉を使っている。

 まず、平成27年3月31日付けの文書。一定期間の賃貸借が予定されていた問題の土地が“軟弱地盤”と判明し、森友側が国に工事費の負担などを要請してきたため、管財部統括国有財産管理官が法的な問題点について統括法務監査官に照会した時のものだ(下がその照会文書)。赤いアンダーラインで示した通り、『相手方との交渉等に関する経緯については別紙のとおり』とある。

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 添付された『別紙』が下の3枚。タイトルは「経緯」で、平成25年6月28日に森友学園の前理事長・籠池泰典被告=詐欺罪などで起訴=が近畿財務局を訪れ、小学校用地の取得を検討しているとして相談。財務局が手続きについて説明した日から、平成27年3月31日に問題の土地のボーリング調査について財務局が行った設計業者への聞き取り結果までが記録されていた。

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 交渉経緯を記した文書は、その数日後に作成された別の照会文書に添付される形で、ほぼ同じ内容のものがもう一度登場する。前述した軟弱地盤に対処する工事に絡め、森友側が土地の賃借料を減額するよう求めてきたことを受け、交渉窓口の管財部が再度法務担当に見解を求めたもの。平成27年4月6日の日付となっている。 

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 『相手方との交渉経緯については別紙のとおり』――。3月31日付けの照会文書にあった『相手方との交渉等に関する経緯』から“等に関する”が削られ、『相手方との交渉経緯』にと変わり、より明確になっている。ここで添付された「経緯」と記された文書は、6日前に発出された「経緯」とほぼ同じ内容。4月2日の記録として、森友が建設を計画していた小学校の設計業者が、基礎工事で用いる杭について財務局に説明したことが加筆されている。

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■財務省に隠蔽、虚偽答弁の疑い
 交渉経緯を示す文書によれば、森友学園は、平成25年6月に問題の土地を小学校用地として取得する意向を財務局に伝えたあと、“一定期間を借り受け、経営が軌道に乗ったところで買い取る”と方針転換。その後、建築計画を進める上で必要となるボーリング調査で、土地が軟弱な地盤であることが分かったとして賃料の値引きを要請していた。学園側の要求はエスカレートし、次には《土壌汚染対策費を言い値で支払え》――。財務省はその都度、学園側に振り回されながら、《売払いを前提とした貸付けには協力する(平成26年6月2日の記録)》などとして、計画の実現に力を貸す姿勢を崩していなかったことが分かる。また、27年1月9日には、麻生財務相が完全否定していた“金額の提示”についての記述も。《不動産鑑定士からの貸付料鑑定結果が出たことから、当局が学校法人を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える》は、財務相答弁に虚偽の疑いを生じさせるものだ。

 法務相談の際に“別紙”として添付された2件の文書は、まぎれもなく森友学園と財務省側との交渉過程の記録。国会で「廃棄した」と断言した佐川前理財局長の答弁が、間違いであったことは明らかだ。国会に開示された一連の文書が、麻生財務相が国会で述べてきた「法律相談の文書」であるのは確かで、大臣答弁が嘘とは言えない。しかし、重ねて述べるが、法務相談の際に“別紙”として添付された2件の文書は、森友学園と財務省側との交渉記録。文書全体の性格は「相談文書」であっても、「交渉経緯」は読んで字のごとしである。正確な答弁のできる日本人なら、「法律相談の文書のなかに、交渉の記録が残っていた」と言うべきだろう。麻生氏の主張は、ただの強弁。さらに財務省の文書を読み解くと、同省が、組織ぐるみで隠ぺいに走った疑いが濃くなる。

(以下、次稿)



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