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鹿児島県労働基準協会の不正 労働局が実態調査認める

2017年9月 4日 10:06

1-DSC04920.jpg 労働基準監督署の外郭団体「公益法人 鹿児島県労働基準協会」が国家資格試験の内部不正を知りながら隠蔽していた問題で、同協会の業務を所管する鹿児島労働局が、調査に乗り出していることが明らかとなった。
(参照記事⇒「労基の外郭・鹿児島県労働基準協会 国家資格試験で答案用紙偽造」)
 1日、取材に応えた労働局の担当者は、HUNTERの報道を受けた協会側が説明に来たとした上で、調査中であることを認めている。

■国家資格試験で答案用紙を偽造
 不正が行われたのは、同協会加世田支部で実施された国家資格「ガス溶接作業者」の技能講習の最後となる筆記試験。同支部の職員が、合格ラインに達しなかった受講者の答案用紙を偽造し、試験をパスするよう仕組んでいた。

 偽造された答案用紙と不合格のはずの答案用紙の2枚を、加世田支部が誤って協会本部に送ったため、不正が発覚。内部は大騒ぎとなったが、結果的に幹部が隠蔽していたことを、同協会に勤務する複数の職員が証言している。HUNTERは先月23日に一連の取材内容を報道。24日には、腐敗した協会の実態を告発した現役職員4人のインタビュー記事を配信していた。

■労働局、「調査中」認める
 協会の専務理事は、初回の取材に事実上の取材拒否。その後文書で事実関係の確認を求めていたが回答がなかったため、1日、協会を所管する厚生労働省鹿児島労働局に取材したところ、「HUTERの報道直後に、協会側から報告があった」とした上で、現在調査中であることを認めている。協会側は、答案用紙の偽造を認め、当該受講者を不合格にしたことなどを報告したものと見られる。答案用紙の偽造も、隠蔽も事実。協会関係者は、次のように話している。
「HUNTERの報道を受けて、あわてて労働局に駆け込んだのだろう。おそらく、事実を曲げて報告しているはずだが、答案用紙偽造の隠蔽は、協会の幹部が話し合いの末に決めたこと。偽造した加世田支部の職員に指示を下した人間を庇うためだ。不正は他にもある。この際、徹底的に膿を出すべきだ」

■鹿児島県労働基準協会
 都道府県ごとに設立されている労働基準協会は、労働基準法や労働安全衛生法等の関係法令に基づき、労働条件に関する各種啓発事業や、国家資格であるクレーンやフォークリフトといった様々な建設機械の運転、特定化学物質、石綿作業主任者などの技能講習を実施している団体。言うならば、労働基準監督署の下請け機関である。

 鹿児島市新屋敷町に本部事務局を置く「鹿児島県労働基準協会」は、教習所、ヘルスサポートセンターといった施設の他、川内、鹿屋、加治木などに8支部が存在。役員には、県内に本社を置く有力企業の代表者らが就任している(下が同協会の役員名簿)。

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