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僭越ながら:論

切所の越え方を間違った安倍首相

2017年6月 9日 10:00

首相会見会見2.png 安倍晋三首相と“腹心の友”の関係が、国政を歪めた加計学園疑惑。同学園の獣医学部新設をめぐって、国家戦略特区を悪用した便宜供与が行われたことは疑う余地がない。 
 加計の獣医学部新設を決めたのは、首相が議長を務める国家戦略特別区域諮問会議。その裏で起きていたことを示したのが、文科省内で作成・共有されていた一連の文科省文書と省内メールだった。
(参照記事⇒「政権揺るがす文科省文書 全文公開」、「文科省内の共有メール一挙公開!」)
 首相の進退にもかかわる疑惑でありながら、一連の文書やメールの存在を否定し、嘘とごまかし、議論のすり替えで再調査さえ拒否する政府・与党……。安倍さんは、“切所”の越え方を間違った。

■嘘、ごまかし、議論のすり替え
 出所不明、作成者も不明――安倍首相や菅義偉官房長官は、そういって文科省文書と省内メールの存在を否定してきた。文書が文科省内で共有されていたことを告発した前川喜平前文科事務次官の証言も否定し、あろうことか前川氏の人格攻撃に問題をすり替えるという姑息さだ。

 これまで報じてきた通り、文科省内の文書やメールは、関係者以外知り得ることのできない内容。加計学園の獣医学部新設に関する国家戦略特区の議論過程とも符合しており、信憑性を疑う理由はない。

 文書やメールの存在を認めたとたん、政権が吹っ飛ぶのは確実。政府ぐるみで首相の国政私物化を後押ししたのだから、当然だろう。韓国では、大統領の国政私物化に国民が怒り、朴槿恵前大統領が罷免された。日本で民主主義が機能しているのであれば、いまの歪んだ国政に声を上げるのは、主権者たる国民の責務だろう。

■加計問題に「事後承諾」はない
 そもそも、嘘やごまかしばかりの政権など、信用するのが間違いだ。特定秘密保護法の制定、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認、安全保障法制は、いずれも国民の半数以上の反対を無視して安倍政権が強行に事を進めた政策課題。共謀罪法案については、すでに衆議院で強行採決しており、参議院でも先にゴール地点を決めた政府・与党の強引な国会運営が目立つ。しかし、「2020年東京五輪・パラリンピックを睨んだテロ対策」という当初の目的は消えており、何のための法案なのか分からない状況。監視対象についての政府側の説明も二転三転しており、「危険な法案」への懸念が広がる一方となっている。法整備の目的は国民への監視強化だが、本音は吐けない。そこで出てきたのが「国民には、法案が通ってから丁寧に説明していく」という安倍政権お定まりの逃げ口上である。

 ゴリ押しが過ぎて理論崩壊が顕著になるたび、安倍政権が繰り返してきたのが「これから、丁寧に説明していく」という言い訳。特定秘密保護法、集団的自衛権、安全保障法制で繰り返されてきた、一方的に国民に“事後承諾”を押し付ける手法だ。しかし、しょせんは政策強行への批判を抑えるための一時しのぎ。首相も含め、政府与党がこの約束を守ったためしはない。広範な議論を避け、数の力で思いのままに国政を動かしてきた安倍首相にとって、もはや「国民の声」など虫の鳴き声程度のもの。事を成すにあたって、嘘やごまかし、恫喝や議論のすり替えを平然と行うようになっているが、加計学園の問題に国民の事後承諾は得られない。

 先日の国会質疑で加計学園の獣医学部新設に関する質問を受けた安倍首相は、聞かれたことに答えず、「印象操作」だとして的外れな持論を延々としゃべり続けた。前川前次官の人格を攻撃し、印象操作を行ったのは政権のほうなのだが、首相は自身の矛盾に気付こうとしない。議場内のヤジに「汚いヤジを飛ばすのは止めましょうよ」と言ったそばから、前川前次官の証言を取り上げた質問に「うそだ!」。こうなると、支離滅裂。かつて民進党の辻元清美議員に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばし、議場を騒然とさせたのも安倍首相だった。首相は結局、「印象操作」を持ち出し、かえって印象を悪くした格好だ。

■美しくない首相、道義国家が聞いて呆れる
 政治には“切所”があり、乗り越え方を間違って、権力の座を失ったケースは枚挙に暇がない。そうした意味で、安倍政権は“告発者を個人攻撃し、貶めることで難所を乗り越える”という間違った選択をした。いまさら「文書もメールも文科省が作成し、省内で共有されていました」とは言い出せまい。認めた瞬間に、この政権の命脈が尽きるからだ。仮に文書やメールの存在が証明された場合には、おそらく「『確認できない』とは言ったが『ない』とは言っていない」と言い出すはず。だが、その時は政権の嘘と政策決定過程の歪みを正式に認めることになる。

 森友学園に続いて表面化した加計学園問題。いずれも教育を舞台に、安倍首相やその周辺が特定の民間人に便宜供与した疑いが濃い。首相は「知らぬ存ぜず」で切所を乗り切る構えだが、これが「美しい国」だの「道義国家」だのと唱えていた政治家なのだから笑止と言うしかない。あなたは、安倍さんの言うことを信じますか?



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