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【加計疑惑】政権揺るがす文科省文書 全文公開

2017年6月 8日 09:15

文部科学省-thumb-280x240-1071.jpg 幕引きを急ぐ政府を尻目に、拡大するばかりの加計学園疑惑。戦力特区を悪用した同学園の獣医学部新設をめぐって、内閣府が文部科学省に『総理のご意向』『官邸の最高レベルが言っていること』などと圧力を加えていたことが、文科省内で作成・共有された文書やメールによって確実視される状況となっている。
 今月6日の配信記事で「省内メール」を公開したところ、読者から、疑惑拡大の発端となった「文科省文書」を見たいという多くのメールが送られてきた。改めて、HUNTERが入手した問題の文書を紹介する。

■8枚の文科省文書
 森友学園問題が浮上した頃から、「森友以上の爆弾」として永田町やマスコミ関係者の間で囁かれていた加計学園の獣医学部新設をめぐる疑惑。火をつけたのは、朝日新聞がスクープした8枚の文書の存在だった。報道で紹介されるのは、『総理のご意向』『官邸の最高レベルが言っていること』といった文書の記述の一部を切り取ったもの。前文を時系列で報じたケースが少ないのは確かだ。HUNTERが入手した文科省文書を、時系列順に並べた。

 文書の存在を裏打ちするのが、これまで報じてきた「省内メール」。下の1枚目は、昨年9月26日に行われた内閣府と文科省による“協議”の場で、内閣府側から伝えられた内容だったことが、同日発信の省内メールから明らかとなっている。一連の文書について、それらが文科省内部で作成・共有されたものだったことを告発した前川喜平前文科事務次官は、この文書の受け取り日を「9月28日」だったと証言している。
(*8枚の文書はすべてA4版。余白を省いて記述部分だけを抜き出した)

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 2枚目と3枚目は、内閣府による事実上の強要に対する文科省側の反応ぶりを示すもの。義家弘介副大臣や松野博一文科大臣が、内閣府のゴリ押しに不快感を抱いていたことが読み取れる内容だ。

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 4枚目~6枚目は、内閣府の強硬姿勢を知った義家文科副大臣が、関係議員に接触して得た情報。この段階では、農水副大臣や内閣官房副長官が、加計の獣医学部新設に深くかかわっていた様子はない。

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 7枚目が、『総理のご意向』が出てくる文書。前川前次官は、この文書を受け取ったのが「10月17日」だったと明言している。

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 最後は、元衆議院議員で日本獣医師会顧問の北村直人氏が文科省側にもたらした情報。農水相経験者である石破茂元幹事長は、獣医学部をめぐる議論のプロセスに疑問を呈しており、山本幸三特区担当大臣も慎重姿勢を示していたことが分かる。獣医学部新設に反対していた麻生太郎副総理は蚊帳の外に置かれていた様子で、政府・与党内に温度差があったことは確かだ。しかし、『総理のご意向』と明記した前掲7枚目の文書が前川前次官に示された10月17日以後は、文科省側の抵抗が急速に弱まり、11月9日の「国家戦略特別区域諮問会議」では加計学園の獣医学部新設が決まっていた。

加計8.jpg

 内閣府の強硬な姿勢の背景にあったのが、「総理」や「官邸の最高レベル」の意向であることは確か。根拠のない話で、複数の省庁を動かすことは不可能だからだ。文科省内部で作成・共有された文書やメールの意味をいちばんよく分かっているのは、安倍晋三首相本人なのである。



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