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愛媛県文書が示す黒幕たちの役割

2018年5月29日 09:00

集中審議.png 28日、衆参両院の予算委員会で行われた集中審議で、野党から森友学園や加計学園を巡る問題について追及された安倍晋三首相は、長々と自説を主張するこれまで通りの態度で質問をかわし続けた。
 新たに出てきた愛媛県文書に記載された、加計学園の加計孝太郎理事長と自身の面会を、集中審議の直前に加計学園側が否定。追い詰められた首相が、“腹心の友”に救われた格好だ。
 しかし、“安倍―加計会談”が事実であろうとなかろうと、加計学園の獣医学部新設が、官邸や内閣府による特別待遇で国家戦略特区の認定事業に選ばれたのは確か。関係者のすべてが内容の正確さを認めている愛媛県文書の記述が、それを証明している。

◆藤原、柳瀬の果たした役割
 “安倍―加計会談”が虚構であったとしても、加計学園が首相周辺から特別な待遇を与えられ、結果的に文部科学行政が大きく歪められたという事実は覆らない。愛媛県文書には、平成27年4月2日に県、今治市、加計学園の関係者が特区担当の藤原豊内閣府地方創生推進室次長(当時)や柳瀬唯夫総理秘書官(同)と面談した折の内容が、詳細に記録されているからだ。

 下は、県職員が復命書を作成するにあたってまとめた藤原次長と柳瀬秘書官の発言。復命書の記述以上に、詳しい内容となっている。(以下、文書中の赤いアンダーラインはHUNTER)

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 まず、当時内閣府地方創生推進室次長だった藤原氏の発言。同氏は、平成27年6月5日に開かれた国家戦略特区ワーキンググループヒアリングに事務局側として参加。28年9月21日と29年1月12日の「今治市分科会」にも事務局(肩書は地方創生推進事務局審議官)の立場で参加し、それぞれの会議を進行役として仕切っていた人物だ。いわば、公正中立が求められる行司役であるはずの藤原氏が、愛媛県や今治市、加計学園に対し次のような発言を行っていた。

『今後4月末か5月の連休明けには提案を募集するので。それにぜひ応募を』
『公衆衛生の観点、公務員獣医師の確保といったこれまでの獣医学部ではなかったようなものを提示することも重要』
『資料を作成されたら、早めに相談してもらいたい』
『今治市の方が上』
 どうみても、特区認定を前提として愛媛県や今治市、加計学園に指導した格好だ。この面談日以降に開かれた特区関連会議における藤原氏の役割からしても、「特別な便宜供与」だったことは明らかだろう。とくに、藤原氏が指示した“公務員獣医師の確保”は、その後加計学園が特区申請した時の獣医学部新設に向けた最大の目的となっており、先生が生徒に“あんちょこ”を渡したに等しい。戦略特区を活用した獣医学部新設には、新潟や京都も動いていたことが分かっているが、いずれも冷淡な扱いしか受けておらず、加計学園への厚遇ぶりは異常というしかない。

 藤原氏の果たした役割が大きかったことは、いわゆる“文科省メール”でも明らかだ。文科省内の職員間で共有されていた加計学園関連メールのうち、平成28年9月26日のメールには文科省側が内閣府の藤原豊審議官らと行った「打ち合わせ」の記録(下の文書参照)が添付されていた。

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 文科省メールの記載によれば、戦略特区「今治市分科会」(9月21日)の5日後となる9月26日、分科会で進行役を務めた藤原氏が文科省高等教育局専門教育課長に協議を要請。残されていた「藤原内閣府審議官との打ち合わせ概要(獣医学部新設)」には、同日夕に行われた協議の場で、内閣府側が≪平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短スケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること(むしろもっと激しいことを言っている)≫などと求めたことや、≪「できない」という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責任をとることになる≫と発言していたことが記されていた。この時の内閣府側の発言者が藤原氏である。

 柳瀬総理秘書官の発言は、より明確に“総理のご意向”を示したものだ。『獣医学部新設の話は総理案件になっている』――この一言がすべてだろう。官邸側で動いたのは柳瀬氏、内閣府側は藤原氏だったという構図が明確になる。これに加えるとすれば、特区諮問会議で加計の獣医学部新設を露骨に推したワーキングチーム座長の八田達夫氏や竹中平蔵氏といった政権の犬たち。どの口が「一点の曇りもない」などと言えるのか……。



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