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100億円産廃処分場 住民訴訟で鹿児島県が敗訴
地裁、土地代5億円の8割以上を違法支出と認定―問われる「官業癒着」

2017年3月29日 08:05

1-エコパーク.png 鹿児島県が100億円をかけて整備した産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」(薩摩川内市。事業主体:県環境整備公社)を巡り、地場ゼネコン植村組グループ側への高額な用地取得費の支出は違法だとして地元住民らが起こした住民訴訟で、鹿児島地裁は28日、用地取得費5億円のうち約4億3,200万円を違法な支出と認定。植村組側への未払金1億6,000万円の支出差し止めと、既出金2億6,400万円を土地取得契約締結時の知事である伊藤祐一郎氏に請求するよう県に命じる判決を出した。
 県側敗訴の判決で、裁判所が鹿児島県による植村組グループへの利益供与を認めた形。県と建設業界の癒着が、厳しく問われる事態だ。
(写真がエコパークかごしま。公社HPより)

■疑惑の事業
 「エコパークかごしま」は、公共関与型といわれる管理型の最終処分場。県内に最終処分場が一箇所もないという大義名分を掲げ、伊藤前知事の音頭取りで始まった事業だ。事業費は約100億円。地元住民らの根強い反対を無視して平成23年10月に着工したが、豊富な湧水のために1年以上も工期が遅れ、18億円に上る追加工事費が発生するなどすったもんだ。平成26年暮れに、ようやく竣工にこぎ着けていた。 

 事業は、スタート時点から疑惑まみれ。用地決定の過程は極めて不透明で、県内29箇所の対象地については、満足な調査を実施しないまま、知事の指示で薩摩川内市川永野にある植村組グループの土地に絞っていたことが分かっている。まさに「植村組ありき」。県は、処分場の建設工事も、植村組が参加した特定建設工事共同企業体(JV:大成・植村・田島・クボタ)に受注させていた。

■5億円の土地代金、9割超が「移転補償費」の異常な契約
 鹿児島県は平成22年、薩摩川内市川永野に処分場の土地248728.84㎡を確保するため、同地に砕石プラント併設の砕石場を保有していた地場ゼネコン植村組のグループ企業「ガイアテック」と賃貸借契約を締結。賃料は5億円で、平成25年度に3億400万円を一括して支払い、翌年度から平成39年までの14年間にわたり年間1,400万円ずつを払うという契約内容(土地所有権は、埋め立て期間である15年後に県へ)となっていた。5億円のうち、純粋な土地代は3,900万円。4億6,100万円は砕石プラントや立竹木といった工作物や動産の移転補償に充てられるという異常な契約となっている。(下が、県とガイアテックの契約書。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

1-契約書 鹿児島.jpg

■地裁、補償費の大半を「違法」と認定
 県側による一方的な処分場整備に反対してきた地元住民らは平成23年、土地取得にかかる5億円の賃貸借契約は違法として住民訴訟を提起していた。28日の判決で鹿児島地裁は、処分場用地のうち県が追加取得した部分を不要と認定。この不要な土地に対する対価約1,000万円とその土地にあった工作物などの移転補償費約4億2,000万円の支出は、県側が裁量権を逸脱または濫用したもので“違法”とし、植村組側への未払金1億6,000万円の支出を差し止め、支払済みの2億6,400万円を土地取得契約締結時の知事である伊藤祐一郎氏に請求するよう県に命じた。5億円の土地取得費のうち、約85%にあたる4億2,400万円が不当な支出だったということになる。

■問われる「官業癒着」
 5億円の土地取得費を巡っては、HUHTERの取材で、県が存在しない“杉林”に補償金をつけていたことが判明(参照記事⇒「鹿児島県100億円産廃処分場 「杉林」でっち上げ補償費」) 。砕石プラントについても、ガイアテックへの確認で再利用されぬまま廃棄処分されたことが分かっており、判決では杉林への補償も砕石プラントへの補償も「違法」と認定された。「移転補償」が名目だけだったことは明らか。県が、地場ゼネコン植村組側に利益供与していた可能性が濃くなった。今回の判決が、住民訴訟と並行して進められてきた処分場の差し止め訴訟に、大きな影響を与えることは必至。問われるべきは、「官業癒着」の体質だ。



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