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鳩山大川市長の政治団体が虚偽報告 政治資金規正法違反の疑い
収支ゼロは真っ赤な嘘 

2016年9月 9日 09:00

1-大川市長ポスター領収書-2.jpg 衆院福岡6区の補欠選挙(10月11日告示、23日投開票)に出馬を表明している鳩山二郎大川市長の資金管理団体「はとやま二郎後援会」に、政治資金規正法違反の疑いが浮上した。
 HUNTERの調べによると、同団体は平成25年に行われた大川市長選の際に活発な「後援会活動」を展開。これに伴う収入、支出があったにもかかわらず、同年の政治資金収支報告書には収入・支出ともに「0」と記載していた。
 同団体が福岡県選挙管理委員会に提出した報告書の内容は虚偽だった可能性が極めて高い。
(右は、選挙費用として処理されていた後援会あての領収書)

市長選の年に設立された「はとやま二郎後援会」
 「はとやま二郎後援会」は、平成25年6月に行われた大川市長選挙に向けて、同年5月20日に設立(選管届け出は21日)された鳩山二郎氏の資金管理団体だ。代表は鳩山氏本人。会計責任者は、故・鳩山邦夫元総務相の秘書だった人物が務めている(下が県選管に提出された「はとやま二郎後援会」の設立届)。


1-設立届.jpg

 二郎氏は、後援会の頑張りと亡父・邦夫氏のてこ入れもあってこの年の市長選挙で初当選。しかし、直後に市選管に提出された市長陣営の「選挙運動費用収支報告書」は、公職選挙法で定められた報告書としての要件を満たしていない内容だったことが分かっている(参照記事⇒「鳩山大川市長選挙収支 市選管が違法状態放置 」。

活発に後援会活動 ― 何故か収支は「0」
 それでは、「はとやま二郎後援会」の政治資金収支報告は政治資金規正法の規定に沿ったものだったのかどうか――。福岡県選管に提出された同団体の報告書を確認したところ、市長選が行われた平成25年の収入も支出も「0」。県公報にも、同様の要旨が公表されていた(下が県公報の該当部分。赤い囲みはHUNTER編集部)。
 
1-県公報.jpg

活動の証拠
 活発な後援会活動を展開していた「はとやま二郎後援会」の収支が、ゼロであるはずがない。取材を進めたところ、ネット上に次の画像が活動の証拠として残っていた。

1-はとやま後援会事務所開き.png

 この画像は、県選出国会議員の公式サイトに記録されているもの。平成25年6月9日に行われた「後援会事務所開き」の様子だ。画像上の吊り看板に「はとやま二郎 後援会事務所開き」と書かれていることが確認できる。右端、椅子に着席する鳩山元総務相。その横に立っているのが二郎氏だ。この画像から、“後援会事務所”が存在したこと、事務所開きという形で実際に後援会活動が行われていたことが分かる。さらに、後援会事務所の入り口周辺と見られるカットには、別の証拠が写っている。

1-はとやま後援会.jpg

 入口の両サイドに吊るされているのは、町中でよく見かける政治家の立看板だ。拡大してみると「後援会連絡所」とあり、左下に選管支給の後援団体用証票が貼られていることも分かる。 
 
1-はとやま後援会-1.jpg

 後援会事務所開き当日には、街宣カーを使って街頭演説まで行われていた。車上看板には、当時の二郎氏のキャッチコピー「動き出す、大川。」後援会活動と見るのが自然だろう。 

CIMG01613.jpg

 画像で確認できた後援会事務所の家賃、看板、街宣カー……。いずれも経費がかかるもので、それに見合った収入も必要。25年の政治資金収支が「0」であるわけがない。さらに、検証を続けたところ、鳩山陣営のとんでもない政治資金処理の実態が浮き彫りとなった。

選挙用ポスター、支出が3件の不可解
 HUNTERが改めて注目したのは、鳩山市長の「選挙運動費用収支報告書」。この中にあった支出に関するページの記載だ。市長陣営は、何故かポスター代として2件の支払いを行っている(下がその該当部分。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。

1-大川市長選挙収支ポスター.jpg

 選挙期間中、ポスターを貼ることができるのは公設のポスター掲示板と個人演説会場、選挙事務所の中だけ。他に利用することは許されていない。従って、印刷する枚数や費用はポスター掲示場の数に左右されるのが普通だ。大川市のポスター掲示場は63か所。どんなに高い単価であっても、せいぜい20~30万円が限度となる。しかし、鳩山陣営は別々の印刷会社に、それぞれ145,930円と908,040円を支払っている。ポスター掲示場63か所という大川市長選の規模からいって、合計100万円を超えるポスター代金はあり得ない。

 さらに不可解なのは、これら2件のポスタ―代支出とは別に、公費助成制度により1枚2,646円のポスターを63枚作ったとの記載があることだ(下、参照)。ポスターの公費負担分は支出として計上しなければならないが、前述2件のポスター代とは合致しておらず、ポスター代支出が3件存在した格好となっている。支出計上された2件の内一方、あるいは両方ともがポスターへの支出ではなかった可能性がある。

1-大川市長選ポスター公費.jpg

後援会の印刷費を選挙用ポスター代に偽装
 一番怪しいのは、25年5月30日に支出された908,040円のポスター代金である。前述したように、これほど高額なポスター代が、選挙期間中に必要となることはあり得ないからだ。報告書に添付された領収書を確認したところ、あて名は「はとやま二郎後援会事務所」様となっていた(下がその領収書)。
 
1-大川市長ポスター領収書.jpg

 選挙運動費用なら、あて名は「はとやま二郎」か「鳩山二郎」と書いてもらうのが決まり。事実、他の領収書はすべてそうなっている。908,040円のポスター代領収書だけが、後援会あてになっているのだ。これは、別の印刷物への支出をポスター代として偽装処理したものではないか――疑念を抱いた取材班が領収書を発行した印刷会社に確認を求めたところ、会社側は、鳩山事務所に納品したのは「後援会リーフレットと名刺」だったと回答。選挙用ポスターの印刷は、「請負っていない」と明言している。

 「ポスター代」の支出だったという鳩山陣営の記載は、真っ赤な嘘。もちろん、選挙運動費用ではなく後援会の活動費として政治資金収支報告書に記載すべき事項だ。市長の選挙運動費用収支報告書には、他にも事務所費など明らかに後援会活動の費用と判断できるものが数多く含まれている。鳩山陣営は、後援会活動の収支を隠すため、意図的にすべての支出を選挙運動費用として計上していた疑いが濃い。

 政治資金規正法は、当該政治団体に係るその年における収入、支出のすべてを政治資金収支報告書に記載して都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出するよう規定。さらに、≪報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者は、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する≫と定めている。

 現段階で、はとやま二郎後援会による虚偽記載は明白。同団体の会計責任者に取材するため鳩山事務所に取材の趣旨を伝えたが、出稿までに連絡はなかった。「政治とカネ」の問題が、政治不信を助長してきたのは事実。鳩山氏に、政治家としての資格が問われているのは言うまでもない。



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