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政党交付金+議員経費で年間900億円 問われる政治の「費用対効果」

2017年11月 9日 09:05

gennpatu 1864410756--2.jpg 所属していた衆議院議員が立憲民主党と希望の党に分かれ、参議院組だけが残った民進党。結束の軸は、100億円近い同党の政治資金である。原資は政党交付金、つまり税金が民進党の解党にストップをかける状況となっている。
 何かと疑問視される政党交付金だが、その仕組みは複雑で、交付額の計算方法などを知る国民は皆無に近いだろう。ただし、基本は国民一人あたり250円。赤ちゃんからお年寄りまで、例外なく政党交付金を徴収されている計算だ。さらに、国会議員にかかる年間経費も膨大。この国の政治は、私たちの支出に見合った仕事をしているのか?

■政党交付金の仕組み
 1994年(平成6年)、政党助成法を含むいわゆる政治改革4法が成立し、公職選挙法や政治資金規正法が改正された。衆議院は中選挙区制から小選挙区比例代表並立制へと変更され、政党交付金制度がスタートする。以来、すべての国民は一人当たり250円を、政党政治のために負担し続けている。

 政党交付金の総額は、250円×人口(直近において官報で公示された国勢調査の結果による確定数)。29年度は、27年度に行われた国勢調査で確定した127,094,745人に基づき計算され、317億7,368万7,000円が交付額となっている。

 各党への交付額算出は、かなり複雑な過程を経る。各政党から届出のあった所属国会議員数、衆議院議員総選挙及び参議院議員通常選挙の得票数に応じて、各政党に交付する政党交付金の額を算出するのだが、非常に分かりにくい。

 まず、政党交付金を受け取ることができる要件だが、“所属国会議員が5人以上”または所属国会議員が1人以上でかつ前回の衆議院議員総選挙(小選挙区選挙か比例代表選挙)、前回の参議院議員通常選挙(比例代表選挙か選挙区選挙)、前々回の参議院議員通常選挙(同前)のいずれかで全国を通じた得票率が2%以上の政治団体(政党)ということになる。

 次に交付する額の算定だが、政党交付金は議員数割と得票数割で構成され、総額の2分の1は「議員数割」で、残り2分の1は「得票数割」で計算される。議員数割 とは、所属する衆・参の議員数に応じて交付されるもの、得票数割とは 総選挙または通常選挙における得票数に応じて交付されるものだ。算定の基準日は、通常1月1日、議員数割と得票数割の計算方法は、それぞれ次のとおりとなっている。

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 こうして算定された額は、年4回に分けて4月に算定額の4分の1、7月に残額の3分の1、10月に残額の2分の2、12月に残額が、各政党からの交付請求に基づいて交付される。総選挙又は通常選挙が行われた場合は、選挙の投票日を基準日として再算定。この場合は、基準日現在の政党届に基づき算出した額の月割額に選挙基準日の属する月数を乗じた額と、選挙基準日現在の政党届に基づき算出した額の月割額に残りの月数をかけた額との合算額となる。ちなみに、今年1月1日を基準日とした各党への交付額が下。総額317億7,368万7,000円が支給される予定だったが、先月総選挙が行われたため、各党への交付額が再算定されることになる。

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■国会議員の養い料に年間900億円
 赤ちゃんからお年寄りまで、年間一人当たり250円。交付金を辞退している共産党を除き、例えば自民党の場合は年間収入の5割以上を、民進党は8割以上を政党交付金に依拠している。政党交付金が、日本の政党政治を支えているのは確かだ。しかし、各党が血税支出に見合う仕事をしているかというと現状では否定せざるを得ない。

 日本国憲法に規定されているように、この国の主権者は国民だ。その主権者が一人250円ずつを支払って、政治家の活動を支えている。さらに国会議員一人当たりにかかる年間経費は下のまとめにあるように約8,000万円。その他、グリーン車乗り放題のJR特殊乗車券や議員会館、議員宿舎の維持管理費など諸々合わせると、一人当たり8,000万円前後になる計算だ。衆参両院で707人(衆:465人 参:242人)いるため、単純計算で約560億円以上の支出。政党交付金の約318億円を足せば、900億円近い税金が国会議員のために費消されていることになる。

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■民意無視の安倍政治
 税金で養われているにもかかわらず、好き勝手やっているのが安倍政権。特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安全保障法制、共謀罪法――。国民が頼んでもいないことを、強行採決までして進めてきた。もちろん、内紛ばかりで国民の期待を裏切ってきた野党第一党にも責任がある。しかし、安倍の強権政治は“独裁”の度を増す一方。今度は、総選挙が終わったとたん国会における野党の質問時間を大幅に削れと言い出した。議会制民主主義を否定するとんでもない暴論である。

 消費増税以外の「増税」も視野に入り始めた。衆院選投票日の翌日、政府税制調査会が総会を開き、所得税の「給与所得控除見直し」を提言したのだ。サラリーマンを狙った超大型増税。サラリーマンが仕事をする上で発生するスーツや靴などにかかる“必要経費”にも、現行以上の課税をしようというものだ。新聞が報じたある試算では、年収500万円の世帯で給与所得控除額が政府が狙う「現行154万円から19万円」になると、所得税が10万円から24万円に、住民税は21万円から36万円へと、合計約30万円もの増税になるという。総選挙の公約に入っていなかったはずだが、国民泣かせの増税路線が現実味を増している。

 これまでの政権の足跡を振り返ってみれば、「数は力」が安倍政治の本質。安定志向の若者は自民党支持が大半だというが、彼らは、平和国家を否定し、国民から搾り取ることしか考えていない政権に、いずれ苦しめられるということに気付いていない。主権者は国民であり、国会議員を養っているのも国民だ。国民の思いを汲み取ることのできない政治は、やはり歪んでいると言うしかない。議会制民主主義の「費用対効果」について、考えてみる必要がありそうだ。



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