茶どころで知られる福岡県八女市で、官製談合事件が出来した。
捕まったのは同市の幹部職員と業者。豪雨被害を受けての災害復旧事業で、不正な契約が交わされたという事案だが、もともと八女市の公共事業をめぐる闇は深く、以前から「談合」を指摘する声が上がっていた。
今回の事件は氷山の一角。落札率98%、99%、100%が頻発する八女市の入札状況について、検証した。
(写真は八女市役所。平成24年当時)
災害復旧工事めぐり市幹部と業者逮捕
28日、福岡県警は災害復旧事業の契約情報を漏らしたとして市土木災害復旧室長の山口秋誠容疑者(56)を官製談合防止法違反の疑いで逮捕。山口容疑者から得た情報を利用し、同市発注の測量設計業務を受託した小郡市の測量会社代表を公契約関係競売等妨害容疑で逮捕した。
典型的な官製談合だが、背景にあるのは八女市の公共事業をめぐる官業癒着の実態。「95%以上の落札率は談合の疑いが濃厚」と言われるが、同市発注の建設工事の入札では、信じられないような高い落札率が続いてきた。
入札の大半、落札率95%超
下は、平成26年度と27年度に実施された八女市発注工事の入札状況をまとめたもの。驚くべき結果だ。
平成26年度に成立した入札200件中、150件が95%以上の落札率。その割合は75%だ。27年度(27年4月~28年2月10日)も同じ状況で、成立した入札230件のうち172件が95%以上の落札率だった。割合はやはり75%。ほとんどの入札で、談合が疑われる事態と言っても過言ではあるまい。
こうした状況は、三田村統之市長が就任した平成20年頃から続いているとされ、HUNTERでは平成24年1月に、23年4月から24年1月までの落札状況を報じていた(⇒『茶どころ八女市の異常事態 落札率100%、99%がゾロゾロ』)。 この時の入札件数は269件。そのうち95%以上の高率で工事を落札した件数は計173件となっていた。当時、落札率95%超の割合は約64%。前述したように、26、27年にはいずれも75%となっており、八女市の談合体質が、より強化されたことを示している。
なお、八女市の落札状況と、「談合を繰り返している」(地元業界関係者の話)とされる建設業界の闇については、来月配信の記事で詳細を報じる予定だ。