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迷走維新 焦る橋下

2015年7月10日 10:40

維新の党 安全保障関連法案への対応を巡り、迷走が続く維新の党。最高顧問である橋下徹大阪市長を信奉する「西」と、外様の集まりである「東」に分かれて分裂含みのドタバタを繰り広げているが、原因を作っているのは、他ならぬ橋下氏。所属議員に対し、連日のように送られてくるという同氏のメールを読むと、自己主張の強さと粘着性が浮き彫りとなる。
 安倍晋三首相との会談以後、安保法案の成立にむけて政権のアシストを実現しようと焦る橋下。HUNTERが入手した一連の橋下メールから、党内の様子をさぐった。

だらだら、くどくど――狙いは安倍のアシスト
 下は7月2日に発信された、橋下氏から党関係者へのメール。数あるメールの中でも、橋下氏の狙いがよく分かる内容だ。

 審議拒否、採決拒否には2つの理由があると思います。
実体的理由と手続き理由です。
実体的理由とは、政府与党の案に反対する方法としての審議拒否、採決拒否。
これは野党として最悪だと思います。
政策立案能力、国民への訴求能力の欠如の表れ。
しかも自らが与党になったときに、その時の野党に審議拒否、採決拒否の口実を与えます。悪しき先例になります。
僕はこういう審議拒否、採決拒否はほんとくだらないと思うし、税金泥棒だと思っています。
国民も冷めてみるでしょう。
しかし手続き的理由の審議拒否、採決拒否は十分理由があるし、むしろ国民の理解は広がると思います。
そして野党からの対案にきっちりと審議しなければならないという良い先例になります。
裁判では当然のことですが、十分審議が尽くされ機が熟したときに判決です。
これを誤ったときには違法となり、控訴理由になります。
民主主義である以上、不合理な欠席、審議拒否、採決拒否は許されませんが、しかし、十分審議を尽くすということも採決のための必要不可欠な絶対条件です。
維新の党はきちんとした対案を出しました。
これだけ大きな法案なのですから、維新の党も、政府与党並みに質問に晒されるべきです。
維新の党が自ら主張すべきでしょう。
「我々が徹底して首相・政府を追及したように、今回は我々を追及してくれ。維新の党案を完膚なきまでに叩きのめしてくれ。ボコボコにしてくれ。こちらは時間無制限で答える用意がある。」と。
このように言ってもなお、政府与党から自らスケジュール通りに採決をするなら、これは手続き違反です。
少なくとも政府与党が答弁した時間分は、維新の党も答弁する「義務」があります。
これは権利ではなく、「義務」です。
国民に対する義務です。
これを果たせないなら、堂々と審議拒否、採決拒否をすべきでしょう。
民主主義は、十分に審議を尽くした上で採決。
これは、譲れません。この先例は確立しなければなりません。

その代わり、十分な審議が尽くされた場合には、採決は当然です。ここで拒否することは許されません。

現在の国会の質疑を聞いても、もう論点は出尽くしたかなという感があります。

これが審議が尽くされたということでしょう

維新の答案についても同じ状態まで審議を尽くす必要があります。

対案を出さない審議拒否、採決拒否は単なるゴネです。

しかし維新の党は対案を出しました。

この対案を十分審議する必要と義務があります。

審議が尽くされたなというのは、それは質疑応答を聞いていたら何となく分かります。もうこの辺で、議論がぐるぐる回っているなと

維新の党案もそこまで審議を尽くすべきです。

識者などに徹底して国会で評価してもらうべきです。

そこまでやったなら採決拒否は許されません。

しかし、対案を出したのに、審議が不十分なら、それは審議拒否、採決拒否も許されるでしょう。

実体的理由での審議拒否、採決拒否は国民から理解を得られないでしょうが、審議不十分という手続きからの審議拒否、採決拒否は十分理由が立ち、国民からの理解も得られます。

採決拒否というカードを持つためにも、対案提出が必要です。
対案を出したからと言って何でもかんでも採決に応じなければならないというのは、手続き的理由の見落としです。

採決拒否ができなくなるから、対案提出を躊躇するのは、手続き的理由での採決拒否ということをこれまでの国会でしっかりとやったことがないからでしょう。

いつも政府与党の案に反対するための審議拒否、採決拒否ばかりですから。

野党が対案を出して、与党が十分審議しないからという理由での審議拒否、採決拒否はむしろ良い先例になります。

採決拒否ができなくなるから対案を出さないというロジックは誤りです。

むしろ合理的な、国民に理解を得られる審議拒否、採決拒否をするためにこそ、対案を国会に提出すべきです。

きちんとした対案が野党から出たのに、政府与党が十分な審議を尽くさず採決をするのであれば、そのダメージこそ計り知れませ(ん)。単なる強行採決の比ではありません。

その際、こちらが採決を拒否しても、国民は納得してくれます。

ただし、その前提として、維新の党案が十分審議するに値することを国民に理解してもらわなければなりません。

いずれにせよ、合理的な審議拒否、採決拒否をするカードを得るためにも、国会に維新の党案を出すべきです。

その上で、審議が十分尽くされない場合には、採決拒否等もあるのではないでしょうか?

この点でも、民主党の審議拒否、採決拒否とは決定的に異なることがはっきりとします。

橋下

 長々と自己主張しているが、ようは以下の内容である。

  • 審議拒否や採決拒否は許さない。
  • 政府案については、すでに審議を尽くした。
  • 維新案にも一定の審議時間が必要。
  • その後は、速やかに採決に応じるべき。

 重要なのは、政府案についての「審議を尽くした」とする橋下氏の見解。国会での審議が深まるほどに法案の問題点が増えるという現状を、橋下氏は理解していない。審議が滞っているのは、政府側の責任だ。安倍首相をはじめとする政権側が、重要な質問に対し正面から答えたというケースは皆無に等しい。はぐらかし、答弁拒否が常態化しているのは明らかで、国民の不安が日増しに高まっているのが実情である。とても「審議を尽くした」と言えるような状況ではあるまい。

 このまま採決に応じれば、維新は政権の補完勢力となってしまう。かつての「みんなの党」と同じだ。そこで対案を示して独自色を出し、国民の目を欺こうというのが橋下維新のシナリオ。最終的な狙いが安倍首相のアシストにあることは言うまでもない。だから、「採決拒否は許さない」のである。回りくどいことをやっているが、これが橋下流。政治家としては最低だが、ペテン師の素養は十分にある。そうした例が次のメール。これまた長くなるので、一部を抜粋した。

連日お疲れ様です。
安保法制で大変なところでしょうが、大阪の声として述べさせてください。
維新の勝負所として、安保法制の次は代表戦です。
年内はこの代表戦が最大のアピールポイントとなるでしょう。
このまま行けば10月でしょうか?
それでも今からもう3か月しかありません。
報道によると地方議員にも、そして党員にも(もちろん献金額等で差はあるのでしょうが)一票を与えるとのこと
日本で最初の大統領選挙型代表選挙になります。

 「報道によると地方議員にも、そして党員にも(もちろん献金額等で差はあるのでしょうが)一票を与えるとのこと」とある。だが、『1人一票』は橋下氏側が党に無理強いした結果。『報道によると』などとよく言えたものだ。詳細は、「橋下支配復活 維新が目指す政権との出来レース 」をお読みいただきたい。

まるで駄々っ子
 だらだら、くどくどが橋下メールの特徴。読まされる維新関係者たちも、「思ったことをそのまま打ち込んでいるのだろうが、くどくて難解。もう少し整理すればいいのに……」などと困惑顔。数日前の橋下メールは、A4用紙で10枚にも及ぶもの。安全保障法案の維新案について、延々と持論を展開する内容だった。長くなるのは苛立ちの表れ。思惑と違う動きが顕在化すれば、言葉が激しくなる。駄々っ子そのものだが、下はその一部。

執行部へ確認を求めます。 維新の党の結党の党是に関わることです。 明確にお答え下さい。

維新の党は、個別的自衛権しか認めないという主張に変更したのかどうか?
維新の党の主張と、下地さんのパネル、それと今回の柿沢幹事長のペーパーに添付されている資料に集団的自衛権は×となっていることの整合性はどのように考えているのか?

(中略)

このようなやり方には断固反対するとともに、執行部に自衛権の考え方について説明を求めます。

 政府の安全保障法案に否定的となっている「東」の議員たちに、頭にきたというところ。橋下氏をはじめ「西」は安倍の応援団。集団的自衛権の行使や解釈改憲には、もともと賛成なのである。法案への懸念が“集団的自衛権”そのものへの懸念に変わりつつある党内の現状に、かなり危機感をもっているのだろう。これでは安倍首相とのお約束が果たせない。この後のメールでは、ついに党の分裂を示唆して脅しにかかっている。

今回の維新の党は政府で言うところの存立危機事態概念である集団的自衛権を否定するものです。
存立危機事態概念を否定したわけで、集団的自衛権的な考えを一切否定したわけではありません。
この考えの違いのところが、立法事実の捉え方のところで、かなりの相違につながっているのではないかと思います。
新聞報道などで個別的自衛権の拡大と報じられても、ここは目くじらを立てても仕方のないところでしょう。
色んな説明のしぶり、ニュアンスの違いもあるでしょうから。
しかし党の文書として集団的自衛権が全て否定され、個別的自衛権拡大説となるような発信になることは、これは旧維新の会と結の党の合流時の確認事項の破棄・変更をまず表明してからだと思います。
それくらい重いことだと思っています。

 党側から≪各マスコミ等、やはり個別的と集団的の点について質問がかなり寄せられています。自衛権の再定義やコインの裏表だという表現を使っていますが、なかなか理解がいただけません。外形的には集団的自衛権のように見えるが、実質的には個別的自衛権の行使だといういい振りでは問題でしょうか。ご意見をいただきたく≫とのメールを受けた橋下氏は、激しくこれに反発している。

僕は反対です。

そんな逃げの答弁でなく、真正面から答弁をやるべきすし、できるはずです。
それくらいやるのが国会議員の仕事だと思います。
これくらいの説明を真正面からできなければ、既得権打破なんぞ全くできないでしょう。
大阪維新の会は、常に真正面からの説明を心がけてきました。
最後に住民投票で負けましたが、0からここまでこれたのは、逃げなかったからだと思います。

そんな逃げの答弁をやるのであれば、執行部で、旧維新の会と結の党の合意事項の破棄を宣言して下さい

 『関西維新の会』設立の意思があることを表明したのは、メールの内容がただの脅しではないと分からせるため。思惑通りに事が進まなければ、実際にそうするしかなくなるだろう。花火を打ち上げては失敗を繰り返す――これも駄々っ子の流儀ではあるが……。

いびつな党内
 下は、党内で安保法案の対案作りに携わっているある議員からの橋下氏へのメールの一部。いびつな党内事情をよく物語っている。

≪今回の法文は、個別的自衛権か集団的自衛権か峻別できないが、憲法適合性は確保している。これで十分なのでは?

『外形的には集団的自衛権であるが、実質的には個別的自衛権の行使』と言うことは、現時点では、許されるのではないかと考えました。しかしながら、その最終的な許諾は、橋下最高顧問と江田前代表にかかっておりますので、事前にお聞きした次第です≫

 大阪都構想の挫折で、表舞台から引っ込んだはずの橋下氏や江田憲司前代表が、党内の決定権を握っているのが実情。分裂でも分党でもいい。国民を欺き安倍との出来レースをやるような政党は、消えてなくなった方がいいに決まっている。



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