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安倍、小池、橋下に共通 「排除の論理」が生む分断国家

2017年11月 6日 07:10

 安倍晋三首相、小池百合子東京都知事、橋下徹元大阪市長。いずれも政界のリーダーとして認知されている方々で、一定の人気があり、情報発信力は群を抜いている。政治手法もよく似ており、トップダウンで物事を決め、常に新しい機軸を打ち出しては国民の関心を引く。
 首相の「アベノミクス」「一億総活躍」「生産性革命」「人づくり革命」、小池氏の「●●ファースト」「希望」、橋下氏の「維新」「都構想」――。何がどう変わるのか、あるいは変わったのか、具象化されたものが見えてこないのも同じだが、この3人の最大の共通点は自らに批判的な相手や勢力を「敵」とみなし、徹底的に攻撃することだ。根底にあるのは「排除の論理」。こうした政治手法を用いるリーダーが幅を利かすことで、日本はおかしな方向へと向かっていないだろうか。

■安倍首相―「こんな人たち」
 今年7月、安倍首相は都議選の街頭演説で「安倍辞めろ」の大合唱にプッツン。政権批判派を指差し、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言して有権者の反発を招いた。“反対派は許さない”という度量の狭さを示した格好となったが、これが安倍の本質だ。国会では、旧民主党の悪口ばかり。自分は汚いヤジを飛ばすのに、野党のヤジに対しては色をなして抗議する。

 自己中心的な態度は、独裁者特有のもの。反対派を罵る一方、味方に対しては寛容が過ぎるため、森友・加計問題を引き起こしている。今月来日したトランプ大統領の長女イバンカ氏には、下にも置かぬもてなしぶり。イバンカ氏が設立に関わった女性起業家を支援する基金に、57億円を拠出するという大盤振る舞いも行っている。この57億円の支出が、どれだけ日本国民のためになるのかは不明。森友・加計問題同様、安倍のお気に入りに対する優遇は目に余る。

 独裁者は、他者が批判を口にする場さえ奪おうとする。「大義なき解散」「森・加計逃れ」を指摘されたため、選挙中に「謙虚」「丁寧」を連発した首相だったが、自民の大勝を受けて態度は一変。国会論戦での与野党の時間配分を現在の「野党8:与党2」から「野党3:与党7」に配分し直すよう党内に指示を出した。国会は言うまでもなく、野党が政府の方針や政策を監視し国民に代わって問いただす場。都合の悪い質問を封じるというのでは、議会制民主主義は成り立つまい。自民党は、議席配分に応じた質問時間の確保が必要だという。しかし、比例区の得票で見れば与党である自民・公明の合計が約2,550万票であるのに対し、立憲民主・希望・維新・社民・共産など野党の合計約2,950万票。有権者は与党に絶対的な信頼を寄せているわけではないことが分かる。議席配分だけで質問時間を決めるのは、国民の知る権利や発言権まで奪うことにつながる。

 そもそも、質問時間が増えて困るのは、不勉強な上に国民目線を持ち合わせていない自民党議員の方だろう。自民党議員の質問を衆参両院のホームページから検索可能な議事録で確認すれば、一目瞭然。安倍首相のヨイショに終始する太鼓持ちばかり、時間が余ったとして般若心経を唱えたバカもいた。本気で野党の質問時間を削れという議員がいるのなら、自民党が議会制民主主義の原理・原則を理解していない証拠だ。安倍や現在の自民党が行っているのは、「排除の論理」に基づく政治なのである。

■小池都知事―「排除いたします」
 流行語大賞にノミネートされそうな小池氏の「排除」。この一言で総選挙の情勢ががらりと変わり、自民党の圧勝という結果を招いた。政治史に残る暴言だったことは間違いない。排除されたのは、憲法改正や安全保障法制に反対するいわゆる「リベラル派」。しかし、安倍政権の右寄り急旋回に懸念を抱く国民大多数はこうした考えを支持しており、小池氏は自ら票田を失う形となった。排除された議員らが結党した立憲民主党の得票が、小池氏の希望の党を上回ったことは皮肉と言うしかない。

 小池人気に支えられて都議選で躍進した都民ファーストも崩壊寸前となっている。音喜多駿氏ら2名の都議が、小池氏の組織運営に反旗を翻し離党。たとえ仲間であっても気に入らない人を徹底的に干し上げ、言論を封じる小池流に、嫌気がさしたといったところだ。北朝鮮や中国並み管理統制は、「排除」を当然とする小池氏の性格に起因する。

■橋下元大阪市長―「ボケ」
 小池都知事と日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事をつなげ、希望と維新の選挙協力を演出したのは橋下徹元大阪市長。その橋下氏は、維新所属で3回目の当選を果たした丸山穂高衆院議員のツイッターへの投稿に激怒し、徹底的なつぶしに出た。

 丸山氏は、維新が代表選を行っていないことを問題視し、ツイッターに「今、松井代表が再び再選してもしなくても、堺・衆院選総括と代表選なしに前に進めないのでは。有言実行の政党なら、自らも身を切る改革を進めてこそ、苦しい時も支えて下さる党員や全国支部の声を聞いての再始動の先にこそ、都構想再挑戦や次に向けて浮かぶ瀬がある」「どう考えても維新は総括と代表選が必要。若造に言われんでも代表は言うだけの人ちゃうし、ちゃんとやりまっせですね、失礼をば」などと投稿。もっともな意見ととれなくもないが、橋下氏はこれに激怒した。

 「維新国会議員にも丸山という口のきき方も知らない若造が勘違いしてきた。国会議員は永田町病にすぐかかる。丸山も自分の力で当選したと錯覚している。お前が勝てたのは松井さんが知事をやっているからだ。ボケ!代表選を求めるにも言い方があるやろ。ボケ!こいつには一度注意したのにあかんな」に始まったツイッター上での丸山氏への攻撃は、投稿を重ねる度に過激さを増すばかり。チンピラまがいの「ボケ」を連発し、ついには「丸山の政党交付金や政治資金の流れを追うべき。金で公認を得ている。こんな日本維新の会は消滅すべき」と踏み込んだ。「金で公認」は裏付けなしの話だったらしく、さすがの橋下氏も撤回したが、丸山氏への攻撃はその後も続いている。橋下氏が人を批判するときの言葉は、聞くに堪えない激しさ。「言葉遣いから学べ、ボケ!」は、橋下氏自身に向けられるべき言葉だろう。人としてどうかと思うが、同氏を支持する人は少なくない。

■分断国家への道
 安倍、小池、橋下に共通するのは「排除の論理」。自分の味方は大事にするが、批判的な人たちは徹底的に攻撃し、つぶすことも厭わない。味方と敵を選別し、それぞれに応援団がつく。そこに生まれるのは「分断」である。

 下は、衆院選で安倍首相が街頭演説した秋葉原の状況。毎日新聞が配信した動画ニュースの画面である。日本も、トランプ支持者と反トランプ派が激しくぶつかる様とよく似てきた――そう感じたのは記者だけではなかったはずだ。

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 森友の幼稚園を彷彿させる「頑張れ安倍総理」の横断幕。その前で警備にあたる警察官。普通に政権の監視を行っているテレビ局を攻撃するプラカード。「北朝鮮を潰せ」と書いたプラカードもあった。正直、ウンザリである。これは、一体どこの国の光景なのか!?勇ましいリーダーのもと、この国の分断は進む。



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