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維新の内情

2015年11月13日 09:05

維新の党 維新の党は11日、除籍処分とした“大阪組”の議員らを相手取り、政党交付金6億6,600万円が入金された銀行預金口座の通帳と印鑑の返還を求め大阪地裁に提訴した。交付金の配分ができないことから、職員への給与支払いなどが滞るなど、党務の運営に支障が出たためといい、政党の分裂騒ぎが、法廷に持ち込まれるという前代未聞の事態だ。
 そうした中、橋下徹大阪市長を中心とする大阪維新は府知事、市長を選ぶダブル選に狂奔。松野頼久氏らの東京組は、民主党との新党設立に前のめりとなっている。
 有権者不在の権力闘争に支持率が下がる一方だが、議員たちの幼稚な争いにうんざりなのは国民だけではない。ある大阪維新関係者が、実情を語った。

戸惑う職員、会計責任者
 選挙目当ての寄せ集めが多い野党は、当然のことながらまとまりがない。民主党は内部抗争が続いて何も出来ず、最後は分裂。党首の不祥事が原因だったとはいえ、みんなの党も空中分解し、日本維新の会、さらには維新の党もバラバラになった。当選することが目的で集まった集団だから仕方ないと言えば仕方ないが、維新の党の分裂騒ぎは前代未聞。政党史を汚したうえ、議員たち以外のすべての関係者に多大の迷惑をかけている。無責任にも程がある。

 思いつきのように橋下市長が離党したかと思えば、いきなり「おおさか維新の会」を立ち上げた。分党して政党交付金をもらおうとしていた矢先、タウンミーティングで市民からの批判を受け、急遽、国への交付金返納を言い出す。猫の目のようにコロコロ発言が変わることで迷惑を受けているのが、党の職員と議員事務所の会計責任者である。

 大阪にいる党職員は本部ビルで「おおさか維新の会」として働き、東京の党職員は「維新の党」職員として国会近くの十全ビルに集められている。今後の立場は決まっていない。何しろ10月に振り込まれた政党交付金は銀行口座に凍結されたままで、12月に振り込まれる予定の交付金も引き出せるめどが立っていないからだ。

 分党や解党をはっきりさせれば手続きを済ませられるが、何も決まらず法廷闘争に持ち込まれると手が付けられない。交付金は1月1日から12月末日までの間で使い切るか、基金に入れて翌年に持ち越すかの手続きをしなければならない。このまま銀行口座が凍結されていると、自動的に国庫へ返納しなければならないのだが、誰も解決策を探っているようには見えない。こんな人たちに、国民の税金を使う資格があるのかと問われれば、「NO」と答えるしかないのが実情だ。

支部解散もできず
 ちょっとわかりにくいが、各国会議員はいまだに「維新の党」の政党支部を持っている。政党がなくなり支部を解散するのなら2週間以内に解散届と収支報告書を選挙管理委員会、政党交付金の使途報告書を総務省に提出しなければならないし、交付金に残高があれば国庫に返納しなければならない。

 議員側が政党支部の解散届と収支報告書を選挙管理委員会に提出すると、期限内に政党から政党交付金の使途報告書を総務省に提出しなければならないのだが、維新の党の残留組と大阪系が正当性を争っているために、政党から総務省に提出する使途報告書が出せない状態に陥っている。

 こんな乱れた事態を国は想定していないので、維新の党の残留組と大阪系のどちらかが使途報告書を提出しても総務省は受け付けられない。こどもの喧嘩がいつまで続くのか分からないが、困っているのは給与をもらえない職員や、事務処理ができない会計責任者。足もとのことさえ始末できない人たちに、国や地方のかじ取りができるわけがない。東京も大阪も、全員辞職して国民に謝罪するべきだろう。騒ぎの張本人である橋下市長は、約束通り政治から身を引くべき。二度と政治に口出しするなと言いたい。



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