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飴とムチ ― 福岡市政記者クラブ「不作為」の裏(下)

2015年1月19日 08:35

市政記者室 批判精神を忘れて惰眠をむさぼる記者クラブ――その典型が福岡市政記者クラブである。とにかく書かない、報じない。高島宗一郎市長の失政や公人としての資質を疑わせる事例は枚挙に暇がないが、記者クラブ発の調査報道は皆無。認可保育園移転や市長の公費出張をめぐって疑惑が噴き出してもダンマリを決め込み、議会でのやり取りを報じる程度だ。
 背景にあると見られているのが“飴とムチ”。高島氏の市長就任後、急増した広報・宣伝費と市幹部による恫喝の実態について検証する。

急増した新聞への広報・宣伝費
 福岡市への情報公開請求によって、高島氏の市長就任後、市政記者クラブ加盟の報道各社に市が委託した広報・宣伝費が急増したことがわかった。平成22年度の約4,300万円から23年度には約6,400万円に上昇、24年度には約9,200万円にまで伸びていた。25年度は落ち着いた形となったものの、市長選が行われた26年度には再び急増。8月初旬までの4か月間に6,000万円を突破しており、過去最高だった24年度同時期(4~8月)の額を上回っている。

 高島氏の初当選は平成22年12月。予算面に高島氏の考えが反映されるようになったのは平成23年度からだ。同年度からの広報・宣伝費の急増、さらには選挙年の異常な支出額に、税金で報道をコントロールしようとする市長の意思が透けて見える。

 支出の大半は新聞に向けられている。高島市政になって急増した広報・宣伝費の、新聞に対する割り当てはどうなっているのだろう。契約は、一部をのぞき各新聞の系列である広告代理店を通じて行われていることから、新聞系列ごとの契約金額を、年度毎にまとめた。

新聞系列ごとの契約金額

 高島市政になって、西日本以外の新聞社に配慮するようになったことがわかる。いずれの新聞に対しても契約金額がアップしており、かつては西日本の一人勝ちだった状況が、明らかに変化している。とくに目立ったのは読売への支出の増加。吉田宏前市長時代には数百万円程度だったものが、平成24年度は一気に3,000万円台に。26年度も、8月の時点ですでに2,000万円超となっている。

 福岡市における新聞の発行部数は、西日本、読売、朝日、毎日の順。高島氏にしてみれば、圧倒的な強さを誇る西日本と、それに次ぐ読売を押さえておけば報道によるダメージは防げる。両紙への厚遇には、そうした意味があるとみられる。

副市長の恫喝に記者沈黙
 広報・宣伝費という飴をしゃぶらせる一方、ムチも効果的に使うのが高島流だ。昨年10月、福岡市の貞刈厚仁副市長が、現市政に批判的な記事を書いた朝日新聞の記者に、「今後の付き合いを考える」と記した脅しともとれるメールを送信していたことが明らかとなった。報道の自由を否定する暴挙に対し、メールを受け取った側の朝日新聞は沈黙。権力側の圧力に屈した形となった。腐敗した市政と記者クラブの関係を象徴する出来事だ。(参照記事⇒「福岡市副市長 市政批判報道に圧力メール」)

 市関係者によれば、同じような話は他にもあったとされ、少しでも現市政に批判的とみなされる記事を書いた記者は、即刻市の幹部に呼び出され、厳しい抗議を受けるのだという。ある市職員は次のように話す。
「高島市長の気に障るような記事には、即座に反応するのが今の副市長たち。記事を書いた記者を呼びつけ、ネチネチと脅しあげている。報道を押さえるのが、ご奉公の一環とでも思っているのだろう。記者クラブの連中は、副市長らの一括で意気消沈。陰口をたたくばかりで、市政の暗部を報じようという意気込みはまるでない。こんな連中に、税金で記者室をあてがう意味はない」

 広報・宣伝費で会社側に恩を売り、不利な記事にはネタ落ちをチラつかせて恫喝で対応――これが高島市政の4年間だ。だんまりを決め込む記者クラブ加盟社もお粗末。どちらも腐っているとしか言いようがない。

【参考データ】
契約書類



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