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防衛相の関連政治団体 江渡氏個人に3年で1,850万円
大半は事実上の使途不明金

2014年10月10日 08:20

江渡聡徳防衛相 江渡聡徳防衛相が代表を務める政党支部や資金管理団体が、江渡氏個人に多額のカネを支出していたことが明らかとなった。
 政治資金収支報告書の保存期間となっている3年間での支出額は1,850万円。「寄附」や「組織対策費」の名目で、50万円から最大150万円が江渡氏個人にわたっていた。ただちに違法とは言えないが、支出額のうち1,200万円は、実際にどう使われたか分からない状況。江渡氏の生活費や遊興に費消された可能性も否定できず、ガラス張りとは真逆の政治資金処理に批判が集まりそうだ。
(写真が江渡防衛相。官邸HPより)

「寄附」「組織対策費」として支出
 江渡氏の関連政治団体は、資金管理団体「聡友会」、「自由民主党青森県第二選挙区支部」(以下、「二区支部」)、「江渡あきのり後援会」の三つ。このうちの聡友会と第二支部から、頻繁に50~150万円の資金を引き出していた。下は、平成22年、23年、24年に提出された政治資金収支報告書から、聡友会と二区支部における江渡氏個人への支出をまとめ、一覧表にしたもの。江渡氏にわたった政治資金の総額は、3年間で1,850万円に上る。

資金の流れ 1.jpg

 江渡氏受領の1,850万円のうち、平成24年12月に二区支部から江渡氏に寄附された500万円は、総選挙の折の選挙費用となっており、同氏の「選挙運動費用収支報告書」の記載内容と一致している。また、聡友会からの同年5月の100万円と12月の50万円は、新聞報道で問題視されたあと、同会職員の人件費だったとして支出先が変更されている。

 問題は残りの1,200万円。二区支部から江渡氏への3年間分計800万円は、「寄附」としての支出だが、平成23年に聡友会が江渡氏に出した計400万円は、驚いたことに「組織対策費(組対費)」として支出されていた。いずれの支出も、最終的にどう使われたのか分からない状況で、言うならば「使途不明金」。私的なことに費消したとみられても仕方のない格好で、江渡氏の政治資金処理に疑問符がつく状況だ。

疑惑まみれ
 政党支部から政治家個人への寄附は違法ではないものの、選挙目的以外の支出は異例。さらに、聡友会が支出した400万円の組対費も、支部単位のものとしては極めて珍しいケースだ。ザル法とはいえ、政治資金規正法の立法趣旨が、政治資金の透明化にあることは言うまでもない。江渡氏と同様の政治資金処理が横行すれば、政治家個人に渡ったカネの流れがわからず仕舞いになってしまうことは事実。江渡防衛相の政治資金処理は、抜け道利用の脱法行為と言える。

 政党支部には党本部から政党交付金が分配されており、その原資は税金。増税路線を進めてきた自民党の議員なら、まず自らの政治資金の収支をガラス張りにするのが筋だろう。

 江渡防衛相をめぐっては、朝日新聞の報道で、「聡友会」が平成21年と24年にそれぞれ200万円と150万円の計350万円を江渡氏個人に寄付していたことが発覚。江渡氏は、親族などへの人件費だったが、江渡氏名義で仮の領収書を書いたものと弁明し、政治資金収支報告書を修正している。今回明らかとなった聡友会から江渡氏への支出は、名目上「組織対策費」となっているものの性格は同じ。江渡氏個人へとカネが流れたことに変わりはない。二区支部からの寄附もまた、同様だ。

 二区支部は毎年、業者からの献金300万円を、『政経福祉懇話会』という任意団体からの寄附に偽装し、政治資金収支報告書に記載していたことも分かっている(昨日既報)。



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