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江渡防衛相の自民支部 献金実態を偽装
団体名義年間300万 ― 企業献金の疑いも

2014年10月 9日 08:40

江渡聡徳防衛相 収支報告書 資金管理団体の経理処理をめぐって政治資金規正法違反の疑いが持たれている江渡聡徳防衛相の自民党支部が、業者の集まりである任意団体から毎年300万円の寄付を受けていたことが明らかとなった。
 同団体は、江渡防衛相の選挙区である青森2区内の建設業者などで組織されているが、政治団体としての届け出はなされていない。
 政治資金規正法は政党支部及び政治団体が受け取る5万円以上の寄附について政治資金収支報告書への記載を義務付けており、江渡氏の自民支部は個別の寄附を任意団体のものにすることで、実態を偽装した形。閣僚の政治とカネの問題が、安倍政権の足元を揺らしそうだ。

収支報告 ― 業者の献金を団体名で記載
 下は、江渡防衛相が支部長を務める「自由民主党青森県第二選挙区支部」(以下「二区支部」)が、青森県選挙管理委員会に提出した平成22年、23年、24年分の政治資金収支報告書の一部。『政経福祉懇話会』という団体が、毎月25万円ずつ年間300万円を同支部に寄附してきたことが明記されている。

平成22年、23年、24年分の政治資金収支報告書の一部

 調べたところ、政経福祉懇話会の住所は、青森県十和田市東三番町にある二区支部や江渡氏の支援団体『江渡あきのり後援会』と同一。懇話会会長は、江渡氏の支援者である建設会社の社長が努めていることが分かった。

 江渡氏の公式ウェブサイト上にある活動報告には、平成23年9月17日に≪政経福祉懇話会納涼会≫とあり、ゴルフ場での集合写真とともに、次の一文が掲載されている。

エトマンの支援企業の会である政経福祉懇話会が恒例行事であるゴルフコンペと納涼会を開催し、今年も多くの会員が参加し大いに楽しんでいただきました。…以下略…≫(下の写真参照。江渡氏の公式ウェブサイトより)

政経福祉懇話会(江渡氏の公式ウェブサイトより)

 「エトマン」とは江渡氏本人のことで、政経福祉懇話会をハッキリと『支援企業の会』と記している。同会が『支援企業』の集まりであるなら、同会から二区支部への年間300万円の寄附は企業献金。5万円以上の寄附があるなら、政治資金収支報告書に個別の記載をする必要がある。また、それぞれの寄附が5万円未満であっても、任意団体名でまとめて収支報告書に記載すれば政治資金規正法の定めに背く形となる。政治資金の処理は、政経福祉懇話会の構成員が個人であったとしても同じこと。任意団体でまとめての寄附は認められていない。江渡氏の自民二区支部は、業者らの「顔」を隠すため、任意団体名を使って献金実態を偽装した疑いがある。

江渡氏側、「任意団体」認めるも……
 政経福祉懇話会について江渡防衛相の地元事務所に確認を求めたところ、同会が任意団体であることは認めたものの、「詳しいことは分からない」と回答。会計責任者に話を聞きたいと申し入れたが「連絡が取れない」の一点張り。再度の取材に「(議員)会館に聞いてくれ」と言い出したため、衆議院議員会館の江渡事務所に取材の趣旨を説明したが、多忙だという責任者の秘書からは出稿までに何の連絡もなかった。

疑惑拡大
 江渡防衛相をめぐっては、朝日新聞の報道で、同相の資金管理団体「聡友会」が平成21年と24年にそれぞれ200万円と150万円の計350万円を江渡氏個人に寄付していたことが発覚。江渡氏は、親族などへの人件費だったが、江渡氏名義で仮の領収書を書いたものと弁明し、政治資金収支報告書を修正している。政治資金規正法は、選挙運動に関するもの以外の資金管理団体から政治家個人への寄附を禁じているが、平成24年に行われた総選挙時の江渡氏の選挙運動費用収支報告書には、両年の寄附に該当する収入の記載はない。選挙とは関係のない両年の江渡氏への寄附が、人件費にすり替えられた疑いがある。

 就任早々の新大臣にかけられた政治とカネにまつわる疑惑。じつはこれだけに止まらない。



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