安倍政権の一員らしい“不誠実”極まりない対応だった。
義家弘介文部科学副大臣の資金管理団体「義家弘介後援会」が、神奈川工科大学を運営する学校法人「幾徳学園」(厚木市)から、パーティー券購入の形で政治資金を提供されていたことが判明(参照記事⇒「義家文科副大臣に学校法人から政治資金」。義家氏の事務所に資金提供の実態と見解を問うたところ、文書取材を要求しながら電話で回答をよこし、話に詰まると一方的に電話を切るという行為に出た。以下、教育の専門家「ヤンキー先生」の事務所に対する取材の顛末である。
(写真が“ヤンキー先生”こと義家副大臣。義家氏の公式サイトより)
■一方的に電話をガチャン
義家氏の資金管理団体「義家弘介後援会」の届出上の事務所は、永田町にある議員会館の中。記者は先月30日、政治資金提供の実態と同氏の見解を聞くため、会館の事務所に電話を入れた。応対したのは義家後援会の事務を担当する義家議員の秘書。取材の趣旨を説明したところ、数時間置いて、質問事項を文書にまとめてFAXするよう指示してきた。義家事務所に送付したのは、次の質問文書である。
文部科学副大臣 衆議院議員 義家弘介様
取材質問書
ご多忙のところ恐れ入ります。取材のため、以下の点についてお尋ねいたします。
・義家議員の資金管理団体「義家弘介後援会」は、平成27年5月25日と同年10月23日に、神奈川工科大学を運営する学校法人「幾徳学園」から、それぞれ30万円の政治資金提供を受けておられます。これ以外に、同学園からの政治資金提供がありますか?
・義家議員は、自民党政務調査会文部科学部会長、文部科学大臣政務官などを歴任され現在は文部科学副大臣という要職にある、いわゆる文教族の代表的な政治家であると認識しております。大学は文科省の所管であり、幾徳学園からの政治資金提供は不適切と思料致しますが、いかがお考えでしょうか?
以上
平成29年6月30日
難しい質問ではなかったはずだが、義家後援会の事務担当者からは、回答は月曜日まで待ってもらいたいという連絡。3日夕方になって、義家事務所側からの電話があり、いきなり「ご指摘の件以外には、パーティー券を買ってもらったことはありません」で回答が始まった。以下、義家事務所の秘書とのやり取りである。
記者:口頭での回答ということですか?
秘書:そうですね。
記者:分かりました。では、これ以外にパー券購入はありませんか?
秘書:それ以外というのは、ほかの年ということですか?
記者:この2件以外に、幾徳学園側からの政治資金提供がありましたか、という意味です。
秘書:それは、その年ということではなくてですか?それだったら、ちょっとお調べしなくてはいけないので……。私も、経理担当ではないので。
記者:分かりました。それでは、2件の政治資金提供については間違いない、ということですね。
秘書:資金提供という言葉をそちらは使われているんですけども、まあ、パーティー券としての対価としての、あの、あれですので。
記者:対価であることは分かりますか、政治資金パーティーですよ。政治資金を集めるためのパーティーですよね。
秘書:それについては、お答えを控えさせていただいてもよろしいですか。私どもは、そのように考えておりますので。
記者:要するに、政治資金提供ではないというふうに考えていらっしゃる。そういうことでよろしいですか?
秘書:パーティー券ですので、政治資金パーティーではごございますけど、はい。
記者:いやいや、それは……。
秘書:すみません、それであれば、もうちょっと。お答えは文書でさせていただきますので、きょうはできません!失礼いたします――――。
■「パーティー収入は政治資金ではない」の不見識
話の途中で一方的に電話を切る義家氏の秘書。文書取材を要求しながら、電話で用件を済まそうとし、話に詰まったらいきなりガチャンというのだから呆れるしかない。さらに驚きなのは、政治資金パーティーの収入を「政治資金ではない」と強弁する姿勢。義家氏の秘書は、“政治資金パーティーの収入は政治資金ではない”という主張が「私ども」の考え方だと断っており、つまりはこれが義家氏本人の考え方。政治資金のイロハを知らないただの無知か、政治資金と認めれば都合の悪いことになるのかのどちらかだろう。追及されると居丈高になり、一方的にやり取りから逃げるのは、説明責任を軽んじる安倍政権の姿勢そのものだった。
余りの身勝手さに電話を折り返したが、今度はどうやら着信拒否。やむなく、衆議院の代表電話から内線で義家事務所につないでもらい、件の秘書氏に抗議した。当方は義家事務所の要求通りに手順を踏んでおり、一方的に電話を切られるようなマネはしていない。経過を確認しようとするが、記者の話を聞くつもりはないらしく、「文書で答えるが義家は出張した。回答がいつになるかは約束しない」(義家氏の秘書)というふざけた話で終わってしまった。不見識に加え不誠実。「ヤンキー先生」に、教育を語る資格などあるまい。