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歪む福岡市役所 ― 市長ら擁護でドタバタの連続

2014年9月22日 08:30

fukuoka-shiyakusho03_t.jpg 高島宗一郎福岡市長に続き、市議会議長と副市長が東京でハイヤーを利用していた問題をめぐり、説明責任が果たせぬ福岡市の現状が浮き彫りとなった。
 議長・副市長のハイヤー利用について、福岡市東京事務所に理由を聞いたところ、当初は「ハイヤーでなければ入れないところがある」と回答。国内に、ハイヤーでなければ入れない施設などあるはずがなく、再度同事務所に≪ハイヤーでなければいけない理由≫を尋ねたところ、数日してメールで回答が送られてきた。案の定、ハイヤー利用の理由は別のものに変わっていた。(写真は福岡市役所)

「正装」だからハイヤー???
 福岡市東京事務所の回答メールは以下の通り。

問い)ハイヤーでなければいけないという理由は何ですか

回答)
副市長の移動手段としては、通常はタクシー又は公共交通機関を利用しているところであります。
今回は、園遊会が天皇皇后両陛下がご招待される催しであり、出席者の服装について正装が求められるような公式な場であることなどから、当日の行程に際し総合的に勘案し、公用車の代わりとして、ハイヤーでの移動が適当であると判断したものです。
なお、議長の使用分については、議会事務局の所管となるため東京事務所では分かりません。

 市東京事務所は当初、副市長と議長のハイヤー利用について、「ハイヤーでなければ入れないところがあるから」と説明していた。HUNTERはこれに対し、今月17日の配信記事(『必然性は皆無 ― 福岡市長、議長らのハイヤー利用』)で、市側の主張を否定。改めて「ハイヤーでなければいけないという理由」について確認を求めていた。

 市側は、「ハイヤーでなければ入れないところがある」から一転し、≪正装で臨む場だから「ハイヤー」≫――これが福岡市の正式見解であるとすれば、あまりに市民をバカにした話である。

 園遊会の招待者は、皆が正装もしくはそれに準ずる服装で臨むのが普通だ。しかし、すべての参列者が黒塗りの車で乗り付けるわけではない。タクシーを利用する人もいれば、徒歩で会場入りする人もいる。正装だからハイヤーというのは、税金を使う言い訳としては最低。どうしてもハイヤーがよければ、自費で行くべきだろう。

 貞刈厚仁副市長が乗ったハイヤーの走行経路は、「羽田~平河町~赤坂御苑~霞が関~八重洲」。園遊会以外の日程を入れたとみられるが、タクシーで困ることなど何もない。≪総合的に勘案≫しても、ハイヤー利用を正当化する理由は見当たらない。

 質問取材から数日かかった割には≪議長の使用分については、議会事務局の所管となるため東京事務所では分かりません≫という回答。この質問に対する対応は無責任というしかない。

信頼性ゼロの市役所
 市長の東京出張に関する市東京事務所の説明には、信頼性がない。
 市長のタクシーチケットの私的流用について確認した折は、「断じてない」と明言。しかし、報じてきた今年2月25日からの東京出張をめぐっては、同月24日に私的流用があった疑いが浮上。その後、この出張における「旅行命令書」の改ざん疑惑にまで発展している。私的流用とみられる例は、「まだある!福岡市長のタクシーチケット私的流用」 でも報じたように何件も見つかっており、「断じてない」が揺らぐ状況だ。

 今月8日の市議会、民主党議員の質問に答えた市側は、市長が東京出張の度にハイヤーを利用していることについて「訪問先のセキュリティ対策として、前日までに車のナンバー等を伝えることが多く、当事者との手続が煩雑になる」という理由を挙げた。しかし、車のナンバーを事前に申告する必要のなる施設といえば、首相官邸と皇居だけ。行事としては園遊会や桜を見る会のみだ。警備が過剰となった中央官庁でも、付近に車を待たせておけばナンバーの事前通行など必要ない。そもそも、就任以来の市長の出張日程に、首相官邸や皇居はほとんど出てこないのだ。市の議会答弁自体に、「虚偽」が含まれている可能性が高い。

 確認する度に書き換えられる公文書、二転三転する説明、一般社会では到底受け入れられないような非常識な主張……。東京出張をめぐる福岡市のドタバタは、「隠ぺい」を図ろうとして齟齬をきたす時によくあるケース。上層部のために嘘やごまかしを繰り返す職員たちが、気の毒に思えてきた。ここまで市役所を歪めた責任は、間違いなく市政トップの高島氏にある。



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