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中央保育園移転でまかり通る「嘘」と「ごまかし」
福岡・高島市政を蝕む隠蔽体質(下)

2014年1月30日 08:30

 福岡市(高島宗一郎市長)が、情報公開請求に対する意図的な隠蔽、放置、さらには公表された文書まで非公開にするという呆れた対応を繰り返していることを、2回にわたって報じてきた(参照記事⇒「福岡・高島市政を蝕む隠蔽体質(上)」、「市職員が告白していた意図的な文書隠し ― 中央保育園問題で」)。
 いずれも、不透明な計画決定過程に疑惑のが存在が指摘されている認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)の移転に関する公文書をめぐってのこと。子どもの命を軽視した間違った施策の実態を、なんとしても隠し通す構えだ。
 残念ながら、市や保育園の運営法人には反省の色もなく、いまだに平気で嘘やごまかしを重ねている。その実情は・・・・・。

運営法人の「嘘」

【お知らせ】 今月23日、中央保育園に子どもを預けている保護者らに、「お知らせ」と題する1枚の文書が配布された(右の文書参照)。内容は、4月に開園予定としてきた移転先での新園の建設工事が遅れ、竣工できた部分と現在の園舎を併用することになった、というもの。その中で、経過について《開園に向けて最大限努力を行って参りましたが、工事を一時停止していたこともあり、工事業者から工期内に施設を完成させることは困難である旨、報告を受けました》とある。 

 あたかも、今年になって工期内に施設を完成させることは困難である旨の報告を受けたかのような記述であるが、これは真っ赤な嘘。こうなることは、昨年10月の段階で、福岡市、運営法人、施工業者の共通認識となっていた。

 その証拠が、HUNTERが入手し、同11月に報じた、工事関係者会議の議事録や、会議に提出された施工業者作成の文書である。下は、昨年10月の工事関係者会議で示された施工業者作成文書。最終的な工期などが明記されている(赤い書き込みはHUNTER編集部)。

業者提出文書  北洋提出

 この中で、施工業者側は、修正された工程でのA園について、「平成26年5月31日 引き渡し予定」、「6月1日 開園予定」。B園は、「3月29日」に建物の引き渡し、開園が4月1日と明記。文書が提出された後の会議議事録によれば、開園が遅れることを前提にした議論が交わされていた。
(注:文書中のA園とは、定員135人の「第2中央保育園」。B園とは、午前2時までの夜間保育を実施する予定である定員165人の新「中央保育園」)

 会議には、福岡市から職員2名が参加。運営法人側からは、理事や中央保育園の園長らが出席していた。同園の園長は昨年12月で交代しているが、議事録によって、新園長が法人の理事として参加していたことも分かっている。今頃になって、《開園に向けて最大限努力を行って参りましたが、工事を一時停止していたこともあり、工事業者から工期内に施設を完成させることは困難である旨、報告を受けました》などという、とぼけた言い分は通用しない。

 10月31日の会議の議事録には、移転先での開園時期が遅れることについて、《マスコミ・保護者等から問い合わせがあった場合は、契約工期にて完成を目指す旨で対応してほしい》と、事実上隠蔽を申し合わせたことを示す記述もある。

 これに先立つ10月25日の会議では、新たな工期の公開時期について話し合っていた。下の議事録、HUNTER編集部による赤いアンダーラインの記述を見ると、《平成26年2月の会議議題に挙げた時点で、修正工程の公開は可能》とある。つまり、今年2月まで正しい開園時期を隠そうということ。在園児保護者らの反発や、新年度の園児募集に支障を来すことを恐れたためと見られる。また、工期が年度をまたぐため、施設整備補助金の扱いが変わり、市議会で新たな議決を要する。議会に対して、工期変更と再議決を説明する必要があったが、次の議会は2月。ぎりぎりまで引き延ばそうという算段だったようだ。

第11回 定例会議議題

 早い時期に開園遅れが表面化すれば、避難経路がなくなることを含め、計画の杜撰さが批判を受ける。これを避けるため、市、運営法人、施工業者がグルになって真相を隠し続けていたことになる。市民への背信行為であることは明らかだ。

市長の「ごまかし」
 1月14日の市長会見で、中央保育園の工期が遅れる可能性について聞かれた高島市長は、次のように答えていた。

もし間に合わなかった場合は、今ある園を使いながらですね、ということを検討しておりますが、今どういう状況になるのか、もうとにかくできる限り4月に間に合うように頑張ってほしいというお願いは、原局の方からしているというふうには聞いておりますけれども。ただ、同時にやっぱり報告で聞いているのが、今とにかく全国的にですね、景気がこのように急激に回復をしているので、これは保育園に限らず、どこでも建築の現場の職員が足りない。資材の高騰、それから人員不足、これによって、これは他の分野に関してもすべてやはり遅延が起きるとかですね、資材の高騰で現場が非常に厳しいという状況を聞いております。ですから、少し前ならできたことでも、今はですね、人が足りないという状況があるそうなんですよね。ですから、非常に厳しい状況、もうかなりぎりぎりの状況ということは伺っております。ただ、最終的に今、年が明けてどういう状況になっているかということは、まだ報告は受けておりません。ただ、まあ仮に、当然遅れた場合というのはですね、今の保育園を活用しながら、今はまあ実際に使っている保育園はありますからね。ただ、それにしても、遅れるということですから、そんなに長期間になるものではないんですね。ですから、まあ仮に例えば1ヵ月間とかですね、現在の保育園と併用しながらということであっても、少なくとも遅れるにしても、もう仕上げ段階が要するに遅れるということになるわけですから、まあそうした最後の作業をしながらということにはなろうかと思います》

 高島市長は、建築現場の人手不足や資材の高騰が原因で工期が遅れたと話しているが、前掲の運営法人の「お知らせ」にあるとおり、工期の遅れは工事を一時的に停止させたことによって生じたもの。そして、工事停止を命じたのは「福岡市」である。中央保育園の移転計画が明らかとなり、前面道路の危険性や、該当地が風俗街にあることが問題視される事態となり、保護者から猛反発が出たことを受けての措置だった。

 保護者らの反対運動を招来した非常識な保育園移転計画、不自然な用地取得過程、市民への説明不足―混乱のもとを作ったのは福岡市。これは、現行のまま市立中央児童会館と保育園を併設する計画を、「商業施設」が欲しくてたまらなかった高島市長がひっくり返した結果なのだ。会見での発言は、責任転嫁に過ぎない。

 移転にともない新設されるのは、新「中央保育園」と「第2中央保育園」の2園。4月開園が可能なのは新「中央保育園」だけ。「第2中央保育園」の完成は2ヶ月遅れとなる。この間、前掲の業者作成文書にある通り、工事のため園庭が使えなくなる。園庭は、災害が起きた場合の子どもたちの集合場所とされていた重要のスペースだが、使用不能なら避難計画が成り立たない。高島市長が、こうした実情を知らなかったはずはないが、会見では《仕上げ段階が要するに遅れる》《まあそうした最後の作業をしながら》と、たいした話ではないと言わんばかりの語り口だ。数ヶ月間とはいえ、避難計画が破たんしていることは事実。この点について詳しく聞こうともしない記者クラブ側にも問題があるが、そこを割り引いても市長の無責任な「ごまかし」は容認できない。

 中央保育園に関する「嘘」や「ごまかし」はまだある。そのことについては、別の稿で詳細を報じる予定だ。



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