自民党・宮内秀樹代議士に対する建設業者からの報酬は、形を変えた政治資金提供だった可能性が高い。はじめは宮内氏が仕えた渡辺具能元国交副大臣に対するもの、そして渡辺氏の引退後は、宮内氏本人に対して行われている。政治資金規正法上の問題もあるが、公共工事の見返りに業者側から政治家にカネが還流する構図は、旧態依然の自民党政治そのものだ。
宮内代議士に報酬を支払っていた建設業者とは、神奈川県川崎市に本社を置く「三輝機工」。闇報酬の実態について語った関係者の話を確認するため、同社および宮内代議士への取材を行った。
(参照記事⇒「羽田・D滑走路と新人代議士の闇報酬」)
羽田D滑走路で下請受注
関係者の話は確かだった。三輝機工は、新日鉄エンジニアリングの一次下請として、羽田D滑走路の工事を受注していた。下は、同工事でも重要な部分だったといわれる「ジャケット製作工事」の施工体系図の一部である(赤い矢印はHUNTER編集部)。三輝機工は下請とはいえ、総事業費約7,000億円の大型公共事業、かなりの利益を得たと見られる。
業者側、宮内氏の在籍認める
HUNTERは今年7月、同社に対し、文書で次の質問を行った。
何の回答もなかったため、8月に再質問。その後、確認の連絡をしたところ、同社の代表を名乗る男性が応対した。結論は取材拒否。法律の専門家や、メディア関係者と相談した結果、「今回の取材に応える必要がない」ということに決ったのだという。ただ、宮内氏が顧問として在籍していたことだけは、「それは確かに在籍していた。顧問として」として、認めている。
宮内氏側は取材拒否
一方、宮内代議士に対しては9月、議員会館の部屋を訪ね、秘書に次のような質問書を渡している。
宮内代議士サイドからの連絡は、現在まで一切なし。こちらも事実上の取材拒否ということだ。しかし、渡辺元代議士の関係者は、宮内氏には建設会社の仕事をこなす時間などなかったとして、こう証言する。「勤務実態があるはずがない。宮内は、平成21年の総選挙以来、渡辺先生の秘書として活動していた。それから先はほとんど自分の政治活動だ。建設会社の仕事をこなす余裕などなかったはずだ。顧問だったというが、宮内が建設会社の役に立つとすれば、役所や業者への口利きだけ。いくらもらっていたのか知らないが、利権がらみの闇報酬であることは間違いないだろう」。
社会保険
じつは、三輝機工及び宮内代議士への質問にあった「社会保険」については、重大な問題が存在する。この点については、次週の稿で詳細を報じていく。