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福岡市保育園移転 捏造された立地条件

2013年8月27日 09:10

移転用地付近 高島宗一郎福岡市長が移転強行を決めた認可保育所「中央保育園」(運営:社会福祉法人福岡市保育協会)に対する施設整備補助金の審査過程で、周辺環境の問題点が伏せられていたことが明らかとなった。
 審査用の書類には、移転用地付近にラブホテルが林立していることや、隣接地にパチンコ店があることが明示されていない。さらに、前面道路の狭さや避難経路の不備といった問題点も明かされておらず、意図的に省いた形。移転ありきで走った証拠が、またひとつ見つかったことになる。

隠されていた問題点
移転用地付近地図 中央保育園の移転にともなう施設整備費は約5億3,000万円。このうち3分の2を福岡県が、12分の1を市が補助する予定だ。この補助金の審査は、外部の有識者らを中心に構成される「福岡市社会福祉施設整備費等補助対象施設選定委員会」(以下「選定委」)が行う仕組みとなっている。

 選定委は、補助金申請を行った運営法人と市側が作成した必要書類を基に審査を行うが、市への情報公開請求で入手した選定委関連文書を精査したところ、移転用地周辺にラブホテルが7軒もあることや、隣にパチンコ店が営業していることはいずれの文書にも記されていなかった。風営法上の問題が提起されることを避けたということだ。

 前面道路の問題点も明示されていない。移転用地に面する道路は、「国体道路」に向けての一方通行となっており、道幅はわずか5.5メートル。交通渋滞も激しい。市の計画では、0~5歳の子どもたち300名を、この道路に誘導して緊急時の避難を行うこととなっているが、到底無理な話。最重視されるべき安全確保が軽視された移転計画なのだが、補助金審査の時点では、この点が議論されることはなかった。

もはや「捏造」
 下は、補助金審査用に作成された「社会福祉施設整備調書」の中の『立地条件』の項目だ。

資料.jpg

 交通事情等 ― 福岡市一の繁華街天神に非常に近く、地下鉄、電車、バス、私鉄等の交通の便もよい。また、大通りからは、少し入りこみ、近隣にはコインパーキングも点在する。

 環境 ― 市の中心地で、商業施設が多いが、建設予定地は、商業地からは少し入り込んでおり、昔からの面影が残る地区で、近隣に公園も整備(現在整備中)されている。

 その他 ― 保育園が建設予定地に来ることにより、子どもたちの安全・安心を守る為にも、地域ぐるみでご協力いただけるとの事、そのことが地域の安全・安心につながり、地域づくりづくり(ママ)にもつながると、保育園建設に協力的である。

 狭い道路幅が安全確保を妨げることなど、どこにも記されていない。《商業地からは少し入り込んでおり、昔からの面影が残る地区》という記述に至っては、捏造と言っても過言ではあるまい。周辺は商業ビルばかりで、ラブホテルやパチンコ店が林立する風俗街なのである。調書に書かれた立地条件が、実情をねじ曲げ、審査を通すための作文だったことは明らかで、補助金の虚偽申請に等しい。

 選定委をめぐっては、正式な会議の開催を怠り、“持ち回り”という杜撰な手法で結論を出していたことや、間違った書類を基に審査していたことが分かっている。さらには、審査に供された書類を市側が偽造した疑いまで浮上しており、補助金行政の信頼性が損なわれる事態となっている(⇒「福岡市、中央保育園移転にからみ文書偽造の疑い」)。

 子どもや保護者を置き去りにした中央保育園の移転は、高島市政の傲慢な姿勢を象徴する事例だ。その裏で嘘やごまかしが重ねられ、結果的に不動産屋を儲けさせることにつながっていたとすれば、あまりに醜い保育行政というしかない。



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