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「保育園落ちた日本死ね」 ― 窮状無視する自・公の議員

2016年3月10日 09:20

 無題.png保育園の入所選考に落ちた母親が書いた「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したブログの記事が、国会を動かす事態となり注目を集めている。
 子育て世代である記者も、そのブログの内容には同感。言葉は荒いが、子どもを抱えて働く親の心境を、ストレートに文字に落とした名文である。
 少子化が進むなか、子育て支援は国を挙げて取り組むべき課題。政治家の皆さんも、さぞや力を入れて施策の実現に邁進しておられるはずだと思っていたが、福岡県のある地方都市で、保育の充実を訴える請願を自民、公明の議員たちが葬り去っていた。(右が、「保育園落ちた」のブログの画面)

「保育園落ちた日本死ね!!!」
 記者が激しく同意した問題のブログの記述を、改めてご紹介させていただきたい。待機、未入所といった扱いを余儀なくされた世の親御さんの多くが、「ごもっとも」とうなづくのではないだろうか。

何なんだよ日本。

一億総活躍社会じゃねーのかよ。

昨日見事に保育園落ちたわ。

どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。

子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?

何が少子化だよクソ。

子供産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だからwって言ってて子供産むやつなんかいねーよ。

不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。

オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。

エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ。

有名なデザイナーに払う金あるなら保育園作れよ。

どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。

ふざけんな日本。

保育園増やせないなら児童手当20万にしろよ。

保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよボケ。

国が子供産ませないでどうすんだよ。

金があれば子供産むってやつがゴマンといるんだから取り敢えず金出すか子供にかかる費用全てを無償にしろよ。

不倫したり賄賂受け取ったりウチワ作ってるやつ見繕って国会議員を半分位クビにすりゃ財源作れるだろ。

まじいい加減にしろ日本。

 おっしゃっていること、一々ごもっとも。説明するまでもなく、多くの国民が思っていることばかりだ。政権批判ともとれるが、政治全体に向けられた怒りと解釈するのが妥当だろう。昨年9月、安倍首相は「一億総活躍」という怪しげな目標を打ち出し、アベノミクス「新三本の矢」とやらを持ち出してきた。それぞれの矢の名称は「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」だ。それから半年、一億総活躍はもちろん、いずれも矢も具体的な形は見えていない。とりわけ、「夢を紡ぐ子育て支援」などまさに夢物語なのが現状で、保育園に入れない子どもは増える一方となっている。

「保育の充実」求める声を自・公が圧殺
 保育園が増えない原因の一つが、保育士不足。保育士の待遇改善が叫ばれて久しいが、低賃金はあいも変わらずで、なり手が少ない。ハコを造っても保育士がいなければ保育園は成り立たず、子育て環境は悪化の一途。解決するには、財源確保が重要だ。注目されたブログに限らず、子育て支援策の充実を求める声が上がるのは当然。問題は、そうした声を聞き届ける側となる政治家の姿勢である。

 昨年12月、大都市福岡の隣に位置する福岡県春日市の議会で、1件の請願が「不採択」になった。請願は、子育て支援の一環として、保育施設向けの予算や施策の充実を求める「意見書」を国に提出するよう求めたもの。意見書の原案は、次のような内容だった。

 2015年4月、子ども・子育て支援新制度(以下 新制度)が施行された。新制度では、消費税を財源に、保育の「量的拡充」及び「質の改善」をめざしているが、財源確保も含めて未だ十分とはいえない現状である。
 よって国及び国会におかれては、新制度の実施主体である地方自治体が十分に役割を果たし、「すべての子ども・子育て家庭を対象に、幼児教育、保育、地域の子ども・子育て支援の質・量の拡充を図る」とする子ども・子育て支援法の趣旨をふまえ、取り組みのいっそうの推進が図られるよう、以下について要望する。

1、子ども・子育て支援新制度の実施にあたっては、子どもの健やかな育ちが等しく保障されるよう、必要財源を早急に確保し、関連予算を大幅に増額すること。
2、保育施設の開所日数、開所時間に見合う単価設定など、実態をふまえて公定価格を改善すること。
3、保育の質を確保・向上させるために職員の処遇、配置基準を抜本的に改善すること。
4、保育料など保護者負担を改善させること。


 
 2015年に、「子ども・子育て支援新制度」がスタートしたのは事実。その取り組みを推進するための要望事項として、記された4点はいずれも的を射た内容だ。共働きで育児に奮闘している親御さんはもちろん、大半の保育関係者が望んでいることばかりだろう。だが、審議の結果は不採択。春日市議会が発行している『かすが市議会だより』によれば、採決の結果は次のようになっていた。(赤い囲みはHUNTER編集部) 

春日市議会.jpg

 賛成議員は2人。19人中17人が不採択と判断していた。主体となって請願を葬り去ったのは、自民党系会派と公明党の議員(4名)。賛成したのは、民主と共産の議員だった。

 反対理由は、「子ども・子育て支援新制度」が消費税10%を前提に設計されたもので、時期尚早というもの。10%になってから考えましょうというわけだ。子育て支援は先送りして構わないというふざけた姿勢だが、反対した最大の理由は別にあったと見られている。

 請願書を提出したのは、共産党色の強い団体で、紹介議員は民主党系。与党系の議員たちは、この構図がお気に召さなかったというのが真相だろう。つまりは党利党略。民主、共産が出した請願など、ハナから採択する意志がなかったということだ。同様の請願が、他の自治体でも提出されていたが、継続審議もしくは不採択が大半。自民、公明の地方議員たちは、こぞって反対に回っていた。「保育園落ちた日本死ね」について、「匿名である以上、実際に本当であるかどうかを確かめようがない」と突き放した安倍首相の発言と通底するものだ。

 誰の発案だろうと、請願の内容が市民のためなら積極的に賛成するのが政治家の務め。保育環境の改善が喫緊の課題であることは、誰の目にも明らかのはずだ。待機児童や未入所児童の増加は、政治が対応を誤ってきた証左であり、地方議員にも責任の一端はあろう。保育環境の改善は、政党の垣根を超えて進めるべき課題なのだ。



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