福岡市による退職した福岡県警警察官の再雇用が、今年度もまた増加していることが分かった。
この問題を最初に散り上げたのは平成24年。前年まで60人台だった県警OBの数が、23年の高島宗一郎市長就任直後から急増して70人台に。翌年も県警OBの天下りは止まらず、25年度には77人を数えるまでになっていた。改めてその後の状況を確認したところ、26年度、27年度と増え続け、現在は82人となっている。
県警OBの再雇用は福岡県庁の倍以上。福岡市だけが突出する状況に、疑問の声が上がりそうだ。(写真は福岡市役所)
増加する一方の県警OB天下り
県警OBの再雇用について、福岡市への情報公開請求で確認した、ここ5年間の推移が下。毎年その数を増やしており、前回調査時からさらに5人増えている。
ちなみに、それまでの採用人数は次の通りだ。
【県警OBの採用人数】
・平成22年度・・・60名
・平成23年度・・・64名
・平成24年度・・・72名
・平成25年度・・・77名
県警OBの人件費は、一人当たり20~30万円の水準だという。24年度に8名増えた際は、人件費も2,570万4,000円増加。この年には県警OBへの人件費が2億円を超えていたことが分かっており、その後の受入れ増で市民負担はさらに増えたものとみられる。
24年度に県警OBの市への再就職が8名も増えたのは、市役所内部の組織改編が原因だ。市は同年4月、暴追運動の強化などに対応するため、市民局内に「生活安全部」を新設。初代部長に現役警察官を招くとともに県警OB5名を嘱託で生活安全課に採用していた。新設課を外部の人間ばかりで構成することは前例がなく、市内部からも疑問視する声が上がっていた。
24年、県警OB天下りの増加について、県警OBから副市長に就任していた大野敏久氏(現・市顧問)はこう語っていた。
―― 治安を守るためには警察、行政の連携が必要。県警OBを招いて良かったと言われるような仕事をやっていく。どうか長い目で見て下さい。
長い目で見たきたつもりだが、市民から見て何か特別な成果が上がっているとは思えない。「長い目で見て」と話していた大野氏は、副市長を退任した後も月額20万円で市の顧問におさまっており、県警OBが優遇されていることだけは確か。職員数9,500人ほどの福岡市にあって、県警OB82人は少ない数ではあるまい。高島市政は、何を守るためにこうした人事を行っているのか?暴力に対抗するのは、現役警察官の仕事のはずだが。