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みんなの党 止まらぬ崩壊現象

2013年8月16日 08:50

みんな.jpg みんなの党の崩壊現象が止まらない。
 8月7日に開かれたみんなの党の両院議員総会で、渡辺喜美代表が江田憲司幹事長を更迭した。これまで仲の悪さが囁かれていた2人だが、決裂が決定的になった瞬間だった。
 渡辺・江田両氏を退出させて開かれた7月25日の両院議員総会では、渡辺氏に対する不満の声が続出。6月の都議選で7名の当選者を出した東京都議会のみんなの党は、幹事長人事をめぐって2つに分裂していた。

噴き出した渡辺独裁への不満 
 江田氏はみんなの党を「渡辺個人商店」と呼んでいる。17億円もの政党助成金に加え、2億円の立法事務費を国庫から支給されながら、それを使う際の明確な基準を、渡辺氏は作ろうとしないからだ。

 公認決定に至るプロセスの明確化も、江田氏が求めるところだった。7月に行われた参院選では、次々と「とんでもない候補」(みんなの党関係者)が公認された。例えば大阪で擁立されたホテルマン。この候補者、実は公示日の早朝までホテルで勤務しており、選挙は「片手間」だったことが分かっている。

 福岡選挙区の公認候補は公示前、自身のホームページ上に嘘や不正確な経歴を公表。HUNTERの報道(⇒「問われるみんなの党・参院選立候補予定者の『資質』」)を受けて即日訂正したが、選挙後に公選法違反容疑(買収、事前運動)で逮捕されている。選挙のイロハさえ知らない人間だったということだ。

党内事情を暴露する怪文書 粗製濫造ともいえる候補者擁立をリードしてきたのは渡辺氏。当然、その独善的な党運営に対する不満が噴き出す。参院選後、永田町に党内事情を暴露する複数の怪文書が出回りはじめたのである。

 右はそのうちの1枚。渡辺氏の候補者選びを「ガラクタ集め」と罵倒し、江田氏など他の党役員に対する処遇を批判。前述したホテルマンや東京をはじめとする候補者たちの資質について、厳しく指弾している。

 あるみんなの党の関係者はこう話す。「これは怪文書ではない。書いてある内容は事実なんだ。(参院選の)公認候補は渡辺代表とその奥様が選んだ奴ばかり。とんでもない連中だったことは誰の目にも明らか。責任を問われて然るべきだが、代表の口からは謝罪の言葉すら出ない。もともと渡辺さんが億単位のカネを党に貸し付けて発足しただけに、『個人商店』には違いない。しかし、躍進した以上、公党としての自覚を持つべきだった。党勢が拡大するにつれ、渡辺家支配の様相が強まっており、これではまともな政党とは言えない。分裂は必至だろう」。

「江田新党」の可能性も 
 渡辺氏との暗闘に敗れた江田氏だが、更迭後の会見で「私から離党はしない」と述べている。渡辺氏は「追い出すようなことはしない」と余裕の構えだが、むろん追い出して世間から批判を浴びることを恐れてのことだ。本心では江田氏に出ていってもらいたいと思っている。

 「江田氏が離党するなら、それは江田新党を作る時だ」―別のみんなの党の関係者はそう話す。
 江田氏は日本維新の会の松野頼久氏や民主党の細野豪志氏らと会合を重ねてきた。これは来るべき野党再編に備えるためだ。実現すれば、江田氏の存在がより大きくなる。これまで渡辺氏の独壇場だったみんなの党だが、新党となればそうはいかない。渡辺氏にとっては癇に障る動きだ。「党首の自分に内緒で、ごそごそ動いている。許せない」―渡辺氏がそう感じていたことは、その後の動きが証明している。

 渡辺氏と江田氏の関係が修復されることはないだろう。週明けの永田町ではみんなの党の分裂が大きな話題になるはずだ。すでにそれぞれの陣営は、自派が有利になるような材料をそろえ、お抱えジャーナリストに記事を書かせる準備を整えている。

 みんなの党が結党したのは平成21年8月。それから4年。順調に勢力を拡大してきた同党が、このような結末を迎えるとは、誰も予想していなかったことだろう。参院選前でさえ、同党の崩壊を予想した人間はいなかった。“一寸先は闇”、これが政治の世界なのである。

 ところで、渡辺代表の政治資金を精査していたHUNTER取材班は、みんなの党に関するもう一枚の「怪文書」を入手した。次週、その驚愕の内容と渡辺氏のカネ集めの実態について報じる予定だ。 



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