今年秋から来年夏まで、福岡では大型選挙が切れ目なく続く。今年11月には福岡市長選、来年1月には北九州市長選が行われ、春には福岡県知事選を含む統一地方選挙、息つく間もなく夏には参議院選というスケジュールだ。
それぞれの選挙の立候補者の動向に注目が集まっているが、先月頃から永田町で話題になっているのが参院選の構図。現職議員が病気のため国会を長期にわたって欠席しており、「辞職」が取り沙汰される状況となっているからだ。補選なら大型選挙が一つ増えるが、辞職の時期によっては、来夏の参院選が前代未聞の展開となる。
■注目される古賀参院議員の病状
参院選における福岡選挙区の定数は「3」。立候補すると見られているのは、すでに公認が決まった自民党現職の松山政司元男女共同参画担当相と民進党を離党して無所属になった現職の野田国義氏。新人では公明党が元教諭の下野六太氏を、共産党が前直方市議の河野祥子氏を擁立する。この他、立憲民主党も候補者を擁立する予定だという。
共産を除く野党各党が候補者調整で野田氏一人に絞る可能性もあり、現在のところ立候補が確実となっているのは松山、野田、下野、河野の4氏。だれかひとりが落選することになる。
ここで注目されているのが、2016年の参院選で民進党から立候補し初当選した古賀之士氏(国民新党)の存在だ。古賀氏は4月末から体調を崩して入院し、“めまい”が酷いため先週閉幕した国会を全休。退院したものの全快したとは言えず、秋の臨時国会にも出られるかどうか分からないという。病気との関係は不明だが、古賀氏が地元においていた2人の公設秘書が、最近になって辞職したことも分かっている。
■辞職時期で変わる参院選の構図
病状が好転せず古賀氏が「辞職」ということになれば、二つのケースが考えられる。欠員が当該選挙区の議員定数(改選議席数)の4分の1を超えて補欠選挙となるのは同じで、福岡なら1名欠員で補選だ。問題は辞職の時期で、先ずは来年3月15日までの辞職なら単独で補選。それ以降なら、夏の参院選で同時選挙となり「4議席」を争う戦いとなる。ただし、4番目の当選者は古賀氏の残り任期を務めることになるため、3年で次の参院選に出馬しなければならない。6年任期の参院議員を狙ったつもりが、結果次第で3年任期の議員になってしまうというわけだ。(*:下の写真は各議員の公式サイトから)
改選議席が「4」になれば、選挙戦の構図も大きく変わる。自民党内では、麻生太郎副総理兼財務相が2人擁立に固執しており、現状では不可能なこの案が現実味を帯びる。不人気の麻生氏が前面に出るようなマネさえしなければ、自民党は2議席を得るだけの支持率があるだけに、改選議席4のうち2を獲得する可能性がある。
仮に自民が2議席を獲れば、2019年の参院選は自民党2人と公明、それに野党を加えた少なくとも4人で3議席を争うことに――。同年に改選を迎える大家敏志参院議員にとっては、迷惑な話となる。
■「一寸先は闇」
福岡市長選、北九州市長選、県知事選――。いずれの選挙も現職有利とみられているが、「一寸先は闇」と言われるのが政治の世界。福岡市では、高島宗一郎市長にとって最大の支援者と目されてきた建設業者が「廃業」。その絡みで支援者と市長の政務秘書との密接な関係が取り沙汰される状況だ。北橋健二北九州市長にしても小川洋県知事にしても、議会との関係は微妙。失政があれば、現職と距離を置く勢力が新たな候補者を擁立する可能性がある。