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「結いの党」の前途多難

2013年12月24日 08:35

結いの党 18日、みんなの党を離党した江田憲司氏ら15名が、新党を結成した。名称は「結いの党」。代表に就任した江田氏は「由来は2つある。ひとつは政界再編政党として野党を結び付けるという意味。もうひとつ、『結』は古来助け合いの場であり、大震災以降に国民の心が痛感した人の絆をあらわす」と述べた。
 政界再編の捨石とならんとする覚悟のほどはわかる。期待もしたい。しかし、掲げた理念がいまひとつであることに加え、内部から不協和音も聞こえてきている。

新鮮味に欠ける「理念」
 結いの党が公表した「目標」には以下のように記されている。
《今こそ、政治理念と基本政策の一致を前提に野党勢力を結集し、与党・自民党に代わって、政権担当可能な一大勢力をつくらなければならない。
 我が党はそのための「触媒」となり、身を捨てる覚悟で、党の発展的解消も辞さず、真の改革勢力を結集していく。》

 文言は勇ましいが、国民の期待はいまひとつ。結党直後に産経新聞とFNNが合同で行った世論調査では、新党に「期待しない」が66.2%で、「期待する」の28.7%を大きく上回った。22日と23日の共同通信の調査でも「期待しない」が69.6%、支持率は1.4%にとどまっている。原因の一つは、参加者の面子に華やかさが欠けること。もうひとつは、新党の主張が、彼らが見限った渡辺喜美氏のみんなの党と変わらないことだろう。

 掲げた7項目の「理念」で使われている文言も、新鮮味を欠く。

  1. 「保守vsリベラル」(55年体制)を超えた政治を目指す。イデオロギーではなく国民本位に、内政、外交とも常に政策ごとに判断する。
  2. 「自由」(フリー)で「公正」(フェアー)で「開かれた」(オープン)社会を目指す。
  3. 「政治は社会的弱者のためにある」を旨とする。
  4. 課題を次世代に先送りせず、将来に向けた持続可能な制度・仕組みを構築する。
  5. 日本の旧き良き「伝統」は守り、豊かな自然と多様な文化の源である地域を育み、悪しき「因習」「既得権益」は打破する。
  6. 自律的な外交と安全保障で諸外国との平和的共存を図り、決して戦争への道は歩まない。
  7. 戦後、日本国憲法が果たしてきた役割を正当に評価するとともに、時代の要請に応じて不断の見直しを行う。

 正直、いまさら「55年体制」と言われても、ピンとこない。「フリー、フェアー、オープン」は10年以上前の規制緩和ブームの際に散々使われた言葉だ。「政治は社会的弱者のためにある」は江田氏が秘書官として仕えた故橋本龍太郎首相が好んだ言葉でもある。どうみても古い。時限政党とはいえ、この理念に共感を覚える有権者は少ないだろう。「次の衆院選までに野党再編も政界再編も何も起きなかったあかつきには、衆院議員を辞したい」―江田代表は意気込んだが、思惑通りにいくかどうか。

注目される維新の動向
 結いの党が船出したこの日、日本維新の会の石原慎太郎共同代表と平沼赳夫国会議員団代表は、安倍晋三首相と昼食をともにしたが、結いの党に関しては話題にすらならなかったという。維新との合流を目論む江田氏だが、政界再編に積極的なのは維新・橋下徹共同代表と関西組だけで、旧太陽組にその気はまったくない。橋下氏が尊敬する石原氏を切れるかどうか、注目されるところだ。

早くも不協和音 
 残念なのは結党早々の結いの党に、内部崩壊の話が出ていることだ。「新党に参加したものの、その左傾化にげんなりして、後悔している人もいるらしい。維新との合流がうまく運ばなければ、再離党する者がでるかも」。参加者の過半数は、江田氏に共鳴してというよりも、渡辺氏を見限っての離党。ある意味で当然の結果ともいえるが、腰の定まらぬ政治家の姿勢にはうんざりさせられる。

 こんな話も聞こえてきた。「比例区選出の13名は、自分の力で当選は難しい。他に『本業』を持っている人もいて、次の選挙には出馬する気がないのではないか」。もともとみんなの党の議員は、国家国益を語るというより、自分のビジネスや専門の延長として議員になった人が多かった。たしかに、結いの党に参加した13人の比例区議員は、議席への執着心が薄いのか、永田町で目立った動きをしたことがない。
 折しも同日の夜、猪瀬直樹東京都知事が辞任表明するとの速報が流れた。衆目は知事辞任と次期知事選に集まった。結いの党の注目度はさらに薄れる。それでも江田新党に期待したいのだが・・・・・。

<天城慶>



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