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みんなの党 消えぬ分裂の火種

2014年1月15日 08:00

渡辺喜美代表 昨年、15名もの離党者を出したみんなの党が、またしても分裂の危機にあるのだという。分裂話の原因となっているのは、渡辺喜美代表のあいも変わらぬ猜疑心。党分裂後、渡辺代表をはじめとする幹部議員が失地回復を狙って「全国行脚」をつづけているものの、内紛の火種は消えていないらしい。
 特定秘密保護法の取扱いをめぐり、政権にすり寄ったことで低下する一方の支持率。「政党の体を成していない」」(同党衆院議員)と言われるみんなの党の現状を取材した。
(写真は、党分裂後、福岡市内で記者会県に臨んだ折の渡辺代表)

党内に新たな抵抗勢力?
 ある同党関係者はこう述べる。「渡辺氏は、いまだにみんなの党を自分が所有する私党だと思いこんでいる。だから、自分に逆らう者を、抵抗勢力とみなし排除しようとしてきた。いままではそれが柿沢未途衆院議員であり、江田憲司氏だったが、その江田氏も離党していなくなった」。

 最大の「邪魔者」だった江田氏が去ったといっても、渡辺代表の猜疑心は消えることがない。むしろ、「次の獲物」を見つけようとしているのだという―「次のターゲットが見つかった。幹事長の浅尾慶一郎氏であり、政調会長の水野賢一氏だ。この2人は渡辺氏が代表にふさわしくない、と思っているんじゃないかと、(渡辺氏は)考え始めたようだ」(同関係者)。

 しかし浅尾氏も水野氏も、渡辺氏の「引き」で幹事長や政調会長に就任している。浅尾氏はその恩を感じているのか、「江田斬り」の際には江田氏との折衝役を務めるなど、理不尽な仕事でもすすんで引き受けてきた。また水野氏についても、江田氏の幹事長更迭が決まった昨年8月の同党の両院議員総会でただひたすら、渡辺氏の援護をしている。

 ところが最近になって、様子が変わってきたのだという。
「最近、水野氏の様子が変なんだ」。
 水野氏を良く知る関係者は、そっと筆者に囁いた。
「政調会長なのに、党内での会合などで、一切口をきかなくなった」。

 たとえば1月7日に都内のホテルで開かれたみんなの党の懇親会。水野氏の政調会長としてのスピーチは、わずか30秒程度。その場の関係者が拍子抜けするものだった。
「話した内容は『みなさん、がんばりましょう』程度で、政調会長の挨拶としてはあまりにもそっけなく、短かすぎるものだった」(同党関係者)。

 そもそも水野氏は、渡辺氏に批判的だったという。
「それがひっくり返ったのが、昨年8月の江田斬りの後の政調会長への抜擢だ。以来、すっかり渡辺よりの発言になってしまった」(同)。
 そんな水野氏の態度が急に変わったのは、特定秘密法案がきっかけだったという。
「みんなの党は衆院では同法案に賛成したものの、参院では棄権した。水野氏は本来、法案に反対したかったようだ。それが態度に出ている」(同)。
 水野氏の異変に気付いた渡辺氏が、疑心暗鬼の状態になってしまったのは言うまでもない。渡辺氏にとっては、新たな抵抗勢力の出現なのである。

 党に残っているメンバーは21名。最盛期と比べて半減したみんなの党。人数を減らしてもまだ、仲間割れを繰り返すのだろうか。鬱積された不満はマグマだまりのようになって、いつかは噴火することになる。その前に渡辺氏が水野氏を斬り捨てるとの見方もあるが、党と有権者との距離は広がるばかりだ。

<天城慶>



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