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鹿児島伊藤県政 今度は海砂採取で隠蔽か

2013年6月 3日 09:55

県庁.jpg 自県にとって都合の悪い情報に対する開示請求を拒否するなど、県情報公開条例の恣意的な運用を続けてきた鹿児島県が、またしても隠蔽姿勢を露わにした。
 今回、県側が隠そうとしているのは県内の「海砂採取」に関する公文書。HUNTERの情報公開請求に対し、開示実施を2か月も遅らせたあげく、ようやく示された海砂に関する文書には、採取の実態を検証可能とする文書など何一つ含まれていなかった。
 海砂の違法採取による自然破壊を懸念する声が上がる中、利権擁護を優先する伊藤県政の姿勢を、まざまざと見せつけた形だ。

海砂採取 九州の現状
 海砂は、主として建設用コンクリートの骨材に用いられるほか、農業用の客土や、福岡県沖などで実施されている「覆砂」などにも利用されている。山砂が豊富な東日本に対し、西日本側が海砂利用に頼ってきたという経緯がある。海砂の減少による深刻な環境破壊が問題となり、平成18年までに瀬戸内海での採取が前面的に禁止されてからは、海砂市場は九州各県の採取業者の独壇場となっている。

 しかし、海砂採取をめぐる不祥事は絶えない。佐賀県の採取業者が脱税で摘発されたほか、福岡県では海砂の現状を確認する調査―「賦存量調査」(ふぞんりょうちょうさ)―を、28年間にわたり実施していなかったことなどが分かっている。

 また、佐賀や長崎で採取された海砂を有明海にばら撒く「覆砂」工事では、海中に撒く砂の量をごまかしたり、指定された規格とは違う砂を放り込むなど、業界ぐるみの不正が疑われる事態となっており、海砂が一部の人間達の汚れた利権になっていることは疑う余地がない。

鹿児島県 情報開示まで3か月
 状況は鹿児島県も同じらしく、海砂採取の問題点を訴える声が、昨年から何度もHUNTER編集部に寄せられるようになっていた。
 このため今年2月10日、鹿児島県に対し、県内の海砂採取に関するすべての文書を開示するよう請求したが、開示決定期限(鹿児島県は請求から30日)の3月14日過ぎになって、下の文書が送られて来た(その一部を掲載。赤いアンダーラインと数字はHUNTER編集部)。
 文書は、開示決定までの期間を1か月延長するという通知。その理由として、対象文書を出先機関が保有しているため、取りまとめや開示・不開示の審査に時間がかかることをあげている。

鹿児島 242.jpg

 HUNTERが請求したのは、鹿児島県内の海砂採取に関する文書のうち、関係条例や規則のほか、次の三つに分類される公文書である。
 ①賦存量調査結果(過去10年間分)
 ②各海砂採取業者の年度ごとの採取量が分かる文書。
 ③採取業者が県に届け出た文書

 条例や規則は県庁内部で保管すべき文書であり、開示決定期限の延長理由である『出先機関が保有』とは一切関係がない。①の賦存量調査結果も同様で、出先機関が保有する性質の文書ではない。

 問題は②と③に関する文書で、②に該当するとすれば、業者ごとに提出する海砂採取の実績報告、③なら詳細な採取計画など、ということになる。実際の採取量が計画量を超えていなかったかどうかを確認するためには、両方を揃えて比較検討するしかない。鹿児島県内の採取業者は12社。対象となる文書がある程度大量となることが予想されたため、決定期限の延長はやむなしと考えていた。

 ところが、延長された開示決定期限の4月15日過ぎになってHUNTERに届いたのが次の「開示決定通知書」(赤い書き込みはHUNTER編集部)。驚いたことに、開示実施日をさらに1か月先の「5月16日」に指定している。事実上の再延長だ。

 意図的な引き延ばしではないか!― 所管の県河川課に抗議したところ、「文書量が多く、マスキング(文書の黒塗り)に時間がかかる」という。膨大な文書量だというのならあり得ないことではない。やむなくこれを承諾していた。

鹿児島 243.jpg

露わになった隠蔽姿勢
 そして5月16日の開示実施日。3か月も待たせたあげく、記者の目の前に置かれたのは、たった3冊のファイルだけだった。しかも下の写真にあるとおり、この薄さしかない。

ファイル22.jpg

 ファイルを開いてみると、前述②③にあたるはずの、業者側から県に届け出られた文書はほんの一部しか見当たらない。しかも、黒塗りされた部分は印影や個人名などに過ぎず、たいした数の箇所ではないことも分かった(下の写真参照)。

鹿児島 240.jpg  鹿児島 241.jpg

 鹿児島県は、たったこれだけの文書、しかも不十分なものを開示するために、3か月もかけたのである。明らかに隠蔽という目的を持った、意図的な行為である。

 鹿児島県の情報公開をめぐっては、平成23年、薩摩川内市で県が住民を弾圧して建設を強行している産業廃棄物の最終処分場や、同じく住民無視で計画が進められている鹿児島市松陽台町の県営住宅増設に関する公文書をHUNTERが情報公開請求。これに対し県は、開示決定期限の延長を行ったあげく、「開示・不開示のいずれの決定も行なわないと判断致しました」として情報公開を拒否。その後のHUNTERをはじめとする報道機関の動きを受け、一転して開示に応じるという失態を演じていた(参照記事→「鹿児島県が情報公開請求を拒否」)。

 いずれの件も伊藤祐一郎県知事の独断でことが進められ、公費支出の正当性が疑われる事案。しかも、事業に反対する住民らの声を権力で押しつぶすという手法だ。案の定、引っ張り出したそれぞれの事業に関する公文書からは、これまで度々報じてきたように、次々と不適切な事業の実態を示す証拠が見つかっている。背景にあるのが「利権」であることは言うまでもない。そして今回の「海砂」だ。

 鹿児島県内の海砂採取の現状については、近々詳細を報じる予定だ。そこには、全国注視となった南大隅町の嘘つき町長も登場する。



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