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鹿児島市交通局に公文書毀棄の疑い
鹿児島市の闇(2)

2016年6月15日 07:55

交通局 JT(日本たばこ産業株式会社)鹿児島工場跡地の取得過程に関する情報公開で、いったん出した開示決定を取り消したり、跡地の評価額を隠していたことなどが明らかとなっている鹿児島市に、今度は公文書毀棄(きき)の疑いが浮上した。
 捨てられていたのは、JT跡地開発に伴い移転した市交通局が、バスの営業所用地として新たに購入した土地に関する内部文書。鹿児島市への情報公開請求を通じて分かったもので、市内部で交通局施設の再整備について検討した際の会議記録から、一部分だけが抜き取られていた。
 市側は、文書廃棄のいきさつについて「分からない」としている。

抜き取られたバス営業所候補地のページ
 廃棄されたと見られているのは、平成19年のJT跡地取得後、市内部で交通局施設リニューアルの方向性を話し合った「平成22年度第1回交通局施設リニューアル調査・検討委員会 同幹事会合同会議」の会議記録の一部。31ページに上る文書のうち、バス施設の移転候補地について記した『P28』と『P29』が、抜き取られる形で無くなっていた。

 施設リニューアル調査・検討委員会は、同委幹事会との合同会議を含め平成15年から24年にかけて42回にわたって開かれており、問題の会議記録は22年5月11日開催分だった。下が、当該文書の表紙にあたるページ。廃棄されたと見られるのが赤い囲みで示したページだ。

会議記録.jpeg 交通局のJT跡地移転にともない、高麗町にあった市バスの施設(営業所と整備工場)は、昨年5月から11月にかけて浜町と新栄町の2カ所に分けて整備された。市側の説明によれば、当初1か所に集約する方針だったものが広い土地が見つからず、平成24年になって分割移転に転換したという。問題の会議が開かれた22年5月頃は、2カ所分割を決める前。バス施設用地を探している段階だった。

 じつは、浜町と新栄町の土地が営業所移転候補地として初めてテーブルに乗せられたのがこの日の会議。無くなった2ページに何が記されていたのか分からないが、両候補地の現況や候補地としたピックアップした理由などが記されていた可能性が高い。

とぼける市側 問われる違法性
 なぜ移転候補地のことを記した2ページだけが無くなっているのか――。市交通局に対し、当時の担当職員に確認するよう求めたが、数日後の回答は「分からない」。推測と断りながら「会議で使用した文書を、直後に回収するなどして、誤って捨てたのでは」と言う。しかし、この言い訳は通用しそうにない。上掲の文書、赤い矢印で示したのはホッチキスの針の跡。会議出席者に配布した文書を廃棄したとしても、ホッチキスで綴じられた所管課の書類の該当ページを、わざわざ抜いて捨てるはずがない。捨てたとすれば意図的。残すと都合の悪い内容だったと見ることもできる。

 破棄した理由は容易に想像がつく。浜町の土地は公有地で新栄町の方は民間の土地。次の配信記事で詳述するが、新栄町の土地を事業用地として選んだ過程が、極めて不透明なのだ。前述した通り、公文書上、新栄町の土地のことが登場するのは問題の会議が初。それ以前に検討された形跡はない。通常、用地探しの段階で複数の候補地の資料などを揃えるものだがそれもなく、まさに、唐突な形で新栄町が候補地に浮上していた。早すぎた候補地の提示だったからこそ、「廃棄」が必要だったということだろう。
 
 意図的な廃棄なら「公文書毀棄」。刑法は、≪公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する(第258条)≫と規定している。



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