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呆れた屁理屈 南日本新聞のお粗末

2013年5月13日 10:10

南日本新聞 先週金曜日、鹿児島の地元紙「南日本新聞」の報道姿勢に疑問を呈する一文を配信した(⇒「南日本新聞への警鐘 」)。
 定まらぬ原発に対する姿勢、地域住民の声を少数意見とみなし冷淡に扱う記事、権力に寄り添う記者・・・・・。いずれも、報道機関としての質を問われる事案だ。鹿児島県を代表する新聞として、県民の期待に応えてくれることを望んだつもりだったが、どうやら無理のようだ。
 HUNTERで紹介した鹿児島市内の町内会が、改めて同紙に記事の内容を確認したところ、およそ報道機関とは思えぬ屁理屈を並べて、“読者”をあしらっていたことが分かった。

呆れた詭弁
新聞2-thumb-500x374-7057.bmp 南日本新聞の記事の記述をめぐって、同紙側とやり取りしたのは鹿児島市松陽台の町内会。次のような経緯である。

 同紙は、今年4月の朝刊で、鹿児島市松陽台町の町内会が市議会に提出していた陳情書が不採択になったことを伝えたが、その中で、『一部住民』という言葉が2度にわたって使われていた(記事の中の赤いアンダーラインの部分)。
 HUNTERが不適切と判断したのは、この『一部住民』という記述が事実誤認であることと、町内会側が記事の記述は間違いだとして抗議したものの、南日本新聞からの回答や説明は一切ないという点だった。(右が南日本新聞4月23日朝刊の記事。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)

 陳情書を提出した松陽台町の町内会は、分譲地の住民だけで構成されている。しかも、同町がある「ガーデンヒルズ松陽台」は、もともと県住宅供給公社が造成した“戸建住宅”専用の分譲地だ。従って『分譲地を購入した一部住民』という表現は誤りで、南日本の記者は、事実関係を踏まえずに記事を書いた可能性が高い。そうでなければ権力擁護のための住民弾圧に等しい。

 HUNTERの記事を読んだ松陽台町の住民が、町内会長に「そういえば、南日本新聞の『一部住民』の件はどうなった」、と問い合わせてきたという。町内会長が南日本新聞に電話したのは言うまでもない。以下は、町内会長に確認した南日本側とのやり取りである。

 南日本:問い合わせの件は?
 町内会:改めて、『一部』住民の『一部』の定義を教えていただきたい。

 南日本:『全部』ではない、100%ではないので、『一部』と表記した。
 町内会:そんなおかしな話があるか。南日本は100%でなければ、すべて一部と表記するのか。

 南日本:そんなことは言っていない。
 町内会:いま、そう言ったじゃないか。そちらの論法だと、正確を期すなら過半数とか、何割とか、
       何十%とか書くのが普通だろう。町内会の総意がなぜ、『一部住民』なのか。
       『一部住民』という書き方では、反対住民が少なく、一部の住民が反対しているだけだという
       印象を読者に与える。意図的に事を矮小化しているのではないか。

 南日本:そんなつもりはない。
 町内会:しかし、読者は普通そう読む。では、読者が誤読しているとでも言うのか。
 南日本:・・・・・。

 南日本:陳情は町内会長名で出されているので・・・。
 町内会:これは反対署名じゃない。署名はひとりひとり名前を書く。だが、陳情は町内会などの
       組織名だけでは出せない。全て組織の代表者名で、住所、連絡先を書いて出すことになって
       いる。県も市も同じ。報道に携わりながら、そんなことも知らないのか。県や市に確認して
       もらいたい。

 南日本:ということは松陽台町内会が出した陳情とも書けないんですかね。
 町内会:気は確かですか。松陽台町内会で承認されたものを、町内会長名で出している。
       そうでなければ、なぜ、松陽台町内会長と書くのか。
 南日本:・・・・・。

 町内会:第一、そんなことは、私が答えることではない。他の新聞社の方にでも尋ねてみるといい。
       再度、確認だが、『一部』住民とは『全部』、『100%』ではないから、そう表記している、
       ということでいいか。住民の方からの問い合わせにそのように答えていいいか。
 南日本:・・・・・。
 
 このやり取りについて、詳しく解説する必要はあるまい。南日本新聞側の言い訳は、明らかに詭弁。自らへの追及にはとたんに鈍感を装う、日本の大手メディアの象徴的な事例ではある。

寄り添う相手が違うようだが
 もちろん、町内会側の怒りはおさまらない。会長はこう話す。「問題の記事が出た4月23日の時点で、南日本新聞に対し抗議の電話をしていました。その時に応対した社員は、『宅地購入者の一部なる表現は確かにおかしいですね』と話していたんです。記事について、確認して連絡をする約束も守られなかったが、今回の対応には怒りを通り越して呆れるしかない。南日本新聞が言っていることは詭弁ですよ。屁理屈、ごまかしと言ってもいい。これで報道を名乗る資格などあるんですかね」。

 町内会側が反発するのは無理もない。これまで町内会側は、陳情や要望書などの提出に際しては、その都度記者クラブなどにFAX送信し、取材にも応じている。陳情が町内会の総意で出されることも、きちんと説明していたのだ。いまさら『一部住民』であるとか、『100%ではない』などというインネンをつけられる覚えはないのである。
 
 詭弁を弄して、自らの間違いを否定する南日本新聞側の姿勢は、腹黒い政治家や官僚組織と同じ。どうやら南日本新聞が寄り添っているのは、権力組織ということのようだ。



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