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「腐敗の温床」-歪められた市業務委託の業者選定
9件中8件 同業の市顧問が選考委員
― 腐敗する福岡市政(下) ―

2013年3月28日 10:05

福岡市役所 福岡市発注の業務委託をめぐり、自社の取引先企業が選ばれた業者選定で選考委員を務めていたことが明らかになった同市顧問の民間企業社長・後山泰一氏が、問題となった3件を含む計9件の業者選定で選考に関わっていたことが判明。このうち8件の業務委託の内容が、後山氏の会社の業務に合致しており、同業者を対象とした業者選定だったことが分かった。
 後山氏が業者を選ぶ側として関わった時点で、業者選定の公平・公正を著しく欠く形となっており、市の事業が「腐敗の温床」(市幹部OBの話より)となっている疑いさえある。同氏を顧問に据えた高島市長の責任が問われる事態だ。

9件もの業務委託で選考委員
 後山氏が選考もしくは選定委員として関わった業者選定は9件。その件名と契約日、契約金額をまとめた。

①「福岡市本庁舎1階ロビー改装工事設計業務委託」
  契約日:平成23年10月3日
  契約金額:4,893,000円

②「電子掲示板コンテンツ整備等業務委託」
  契約日:平成23年10月11日
  契約金額:8,570,100円 

③「飲酒運転撲滅キャンペーン業務委託」
  契約日:平成23年11月22日
  契約金額:14,990,508円

④「テレビを活用した広報業務委託」
  契約日:平成24年7月1日
  契約金額:13,041,000円 

⑤「アイランドシティのPR委託」(注:2社を選定)
  契約日:平成24年10月18日
  契約金額:3,150,000円、2,152,5000円

⑥「飲酒運転撲滅・自転車安全利用推進業務委託」
  契約日:平成24年11月14日
  契約金額:24,999,999円

⑦「戦略的広報に関する調査業務委託」
  契約日:平成24年12月14日
  契約金額:5,964,000円

⑧「歴史資源とさくらまつりを活かした舞鶴公園の広報・集客事業業務委託」
  契約日:平成25年1月31日
  契約金額:9,999,990円 

⑨「自転車安全利用条例の施行に伴う広報啓発業務委託」
  契約日:平成25年2月25日
  契約金額:5,461,690円

8件は顧問の会社の業務に合致
 9件中、設計業務である ①「福岡市本庁舎1階ロビー改装工事設計業務委託」とマーケティング調査業務の ⑦「戦略的広報に関する調査業務委託」を除く7件は、すべて「広告代理店」を決めるための選定だったことが、市への情報公開請求で得た契約書や仕様書から分かっている。

 ここで後山氏が代表を努める会社の法人登記上の目的欄を見てみたい。

法人登記に記載された目的欄

 後山氏の会社の業務が、主として「広告代理店業」であり、さらには「マーケティング」も行うことが明記されている。
 すると①の設計業務を除く8件の業務委託に関し、後山氏の会社の仕事内容が合致することになる。つまり後山氏は、市発注事業の業者を選定する作業で、同業者を選ぶという優越的な立場にあったのだ。

 一連の業務委託で後山氏が業者選定に関わったことは、福岡市が同氏に対し、同業者に便宜を図る機会、あるいは恩を売るチャンスを与えたに等しい。どう弁解しようと、後山氏が利害関係を有する業者がらみの委託先選定で、キーマンになったことは紛れもない事実。事前に接触はなかったか―、事後に自社を売り込んではいないか―、厳しい調査が必要となることは言うまでもない。

選考委人選に高島市長の影
 後山氏の会社の業務とは関係がなさそうな①「福岡市本庁舎1階ロビー改装工事設計業務委託」の業者選定についても問題はある。
 高島市長の発案で急遽予算化された市役所の改装工事だが、後山氏はこの事業の設計業者選定において「選考委員長」を務めていた。
 市役所の改装工事を所管しているのは市財政局公有財産課である。しかし、後山氏は市長直轄ともいえる広報戦略室の「広報戦略アドバイザー」として顧問に就任しており、財政局の仕事に関与するのは明らかな越権行為だ。
 HUNTERが入手した同業務委託の関連文書は、選考委トップの決定にあたり、市上層部からの指示があった可能性を示唆しており、高島市長の関与が疑われていたのである。高島-後山のお友達コンビで事業を牛耳った構図だが、到底、まともな市政とは思えない。
(参照記事⇒「市役所改装工事・業者選定委員長に市長の友人」)

問われる「私物化」
 ある福岡市の幹部OBは次のように話す。「同業他社を選ぶ業者選定で、同じ業界の人間が選考委員を務めるなんて聞いたことがない。問題の顧問が市役所の外で何をやろうと分からないんですからタチが悪い。市役所が腐敗の温床になったと言われてもおかしくない事実でしょうね。そもそも民間企業の代表者を公共工事の設計業者選定委員会のトップにした時点で、市役所は死んでいたんですよ」。

 別の市議会関係者は、ため息まじりにこう語る。「高島は市議会のことなんか眼中にない。(市長の)私設秘書や後山とかいう顧問が幅を利かせる市役所は、異常な事態に陥っていると見るべきだろう。麻生さん(財務相)を後ろ盾にした形を装っているから、自民党の長老市議も高島に媚を売っている。 情けない。業者選定で利害関係者を選定委員に据えるなんて、前代未聞だろう。市が犯罪を招いていると言われてもおかしくない。そのうち市役所が家宅捜索を受けることになるんじゃないか」。

 パフォーマンスだけがお得意のタレント市長の周辺から、腐臭さえ漂う市政・・・。
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