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福岡市長「釜山の夜」II ホステスはべらせクラブで遊興

2015年7月21日 06:00

高島市長選.jpg やはりこの市長に「公人」としての自覚はなかった。
 平成25年2月、福岡市と釜山市の産学関係者が経済連携の在り方を討議するため開かれた「福岡―釜山フォーラム 第7回釜山会議」に参加するため出張していた高島宗一郎福岡市長(写真)が、会議初日の夜、福岡市の会社社長とクラブでホステス遊びに興じていたことが明らかとなった。
 この出張を巡っては昨年、宿泊先のホテルで市長が女性と一夜を共にしていた疑いが浮上。疑惑を報じたHUNTERの記事を、自社の新聞に転載し配布した地元メディア「データ・マックス」が、市長から名誉棄損にあたるとして損害賠償を求める訴訟を起こされていた。クラブでの遊興は、この裁判の審理を通じて分かったもの。17日に開かれた公判で、市長と会社社長がともにクラブでの遊興を認めている。
 プライベートの時間とはいえ、公務出張中のクラブ遊び。韓国側への配慮も欠いており、政治家としての姿勢が厳しく問われそうだ。

クラブで遊興――法廷で証言
 17日、福岡地裁で開かれた法廷で原告として登場した市長は、平成25年2月1日の夜に福岡市内の会社社長と釜山市内のクラブで飲食していたと明言。市長側の証人として出廷した会社社長も、事実関係を認めた上で、代金(社長によれば日本円で5~6万円)全額を支払ったと証言している。会社社長が提出した陳述書では、当時の様子について次のように述べられている。

 本件記事に出てくる2月1日の夜のことですが、ロッテホテル3階アートホールで、フォーラムの歓迎晩餐会があり、当初の予定より若干遅れて午後9時30分すぎに終わりました。私は、高島市長がKBCに勤務していた頃からの旧知の間柄なのですが、二人だけで街中に飲みに行こうという話になりました。晩餐会会場からホテルの玄関口で客待ちをしていたタクシーに乗り込むまで、市長が部外者と会話を交わした場面はありませんでした。

 飲みに行ったのは、わが社の取引先(物流関係)の現地駐在員に紹介してもらった店で、その時初めて行ったため、名前も場所も記憶にありません。それでもその店に行けたのは、私が携帯電話で、店を紹介してくれた駐在員に電話をし、通話状態のまま携帯電話をタクシー運転手に渡して、行き先について駐在員と運転手とで直接話をしてもらったからです。 

 高島市長と二人で入った店は、いわゆるクラブ形式の店で、女性のホステスさんが何人か席について接客してくれました。店には1時間ほどいたと記憶していますが、翌日も公式行事があるので、遅くまでは飲まず、店の人に言って帰りのタクシーを呼んで貰い、来てくれたタクシーに市長と二人で乗り込み、ロッテホテルに帰ったのです。

 会社社長は、17日の法廷で陳述書通りの証言を行っており、ホステスをはべらせてのクラブ遊興は明らか。政令市の市長が、訪問国の女性に「接待」をさせた形だ。所業としては余りにお粗末。「公人失格」であることは、疑う余地がない。

 裁判の中で市長は、昨年HUNTERが指摘した釜山の夜疑惑について“”両都市の財界人などが集まるフォーラムが行われている同地で、女性と一夜を共にするようなバカなマネをするわけがない”といった趣旨の証言を行った。しかし、ホステス遊びも“バカなマネ”であることに変わりはない。訪問国の女性に接待させる形となるクラブ遊びは、日本人女性と一夜を共にする以上に問題がある。そのことに気付かないというのであれば、呆れた国際感覚。市長が標榜してきた「アジアのリーダー都市ふくおか」は、上から目線の独りよがりということになる。

政治資金規正法違反の疑いも
 問題はまだある。法廷での市長と会社社長の証言によれば、クラブでの遊興代金を支払ったのは社長側。これは政治家への寄附にあたる。しかし、市長は金額について「覚えていない」としており、きちんと政治資金処理が行われたのか疑問。さらに、代金を支払ったという会社社長が会社のクレジット―カードを使用した可能性があり、法人カードでの支払いなら、高島市長に対する会社からの寄附。政治資金規正法が禁じる「企業献金」となり、同法に抵触するクラブ接待だった疑いが否定できていない。

問われる市長の政治倫理
 「福岡市長の政治倫理に関する条例」は、市長が遵守すべき事項について、次のように規定している。

  • 政治不信を招くことのないよう、品位と名誉を損なう行為を慎み、その権限又は地位のもたらす影響力を私的な目的のために行使しないこと。
  • その地位又は権限を利用して金品を授受しないこと。
  • 政治活動に関し、道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しないものとし、その資金管理団体についても、当該寄附を受領させないこと。

 高島市長の釜山での行動は、市条例にも抵触する可能性がある。

市関係者から厳しい批判
 市長の軽率な行動を、市関係者はどう見るか――ある職員は怒りに声を震わせる。
「韓国に行ってホステス遊び?冗談でしょう。アジアのリーダー都市になるんだと訴えてきた市政のトップが、隣国に出張してクラブ接待など、非常識にもほどがある。職員には禁酒まで強要しておきながら、自分は公費出張でホステスといちゃいちゃ。飲食代金まで払ってもらっていたとは、開いた口が塞がらない。事実関係が分かれば、韓国側も不愉快になる話。即刻辞任が妥当なとこだろう。

 別の市議会関係者は、こう話す。
「去年、HUNTERが報じた片道自腹の東京出張のことが思い浮かんだ。証拠がないのをいいことに、キーマンと会うためだったなどと言い訳していたが、『遊んでいた』という指摘は事実としか思えない。出張先での無軌道ぶりは、市長に就任した早々から噂になっていたこと。韓国だからばれないとでも思っていたのだろうが、世の中は甘くない。特別職だから、プライベートなら何をしてもいいというわけではあるまい。とりわけ高い倫理性を求められるのが市長。恥を知れ、と言いたい」

「市民オンブズマン福岡」・児嶋研二代表幹事の話
 「高島さんは市長。一般人が飲みに行くのとはわけが違う。自分の立場とその時の状況を理解していれば、クラブに出かけるなどということはできないはず。公人としての自覚がなかったということだろう。飲食代金を民間企業の代表者に払わせたということについても、自覚のなさを証明したようなものだ」



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