政治・行政の調査報道サイト|HUNTER(ハンター)

政治行政社会論運営団体
行政

「二重行政ある」 知事にケンカを売った高島福岡市長

2015年6月 3日 10:30

高島市長 思慮が足りないというか、傲慢というか、高島宗一郎福岡市長(写真)の軽はずみな発言が、波紋を広げている。
 発端は、大阪都構想に対する記者団からの質問。会見で、二重行政について質問された小川洋知事と高島市長が対照的な姿勢を示したことで話題に――。大人の対応をみせた知事に対し、市長は敵意むき出し。県政界関係者の間から、県と市の関係悪化を懸念する声さえあがっている。
 多くの関係者が顔をしかめる高島発言の内容とは……。

大人の対応みせた知事に市長は・・・・・
 先月13日、会見で「福岡県内に二重行政はあるか」と聞かれた小川知事は、次のように答えて、自治体間の良好な関係をアピールした。

 二重行政があるかないかというところは、大阪府、大阪市の状況と我々の状況は違うのではないかと思っております。まず、面積が違うし、歴史的ないろいろな経緯が違うと私自身は思っています。

 本県では、二重行政は基本的にはないと思っていますが、共通の課題はある。共通の課題を解決するために、両政令市とはこれまでも個別の案件ごとに色々議論をし、調整し、連携してきている。具体的な案件を解決していく上で、連携、協力をしてきているわけです。そして、その連携の実効性を上げることによって、県民福祉の向上、市民福祉の向上を達成してきていると思っています。これからもそれでやっていきたいと思っています。

 翌14日、同じ質問をぶつけられた高島市長の答えはこうだった。 

 二重行政があるとするならば、これは、絶対に解消しなければならないと思っています。で、新聞見たら小川知事がきのう、『(二重行政は)ない』って言ってたので、私が『ある』と言えば、知事がおっとっと、ということになるんでしょうがね
 福岡の場合はですね、二重行政というか、いわゆる二元行政というものがあるわけですね。だから同じことを二つで同時に同じことをするという形ではなくって、一つの手続きを終わるまでに、例えば、県の手続き入っているとか、こういったもの、こういった2元行政であるとか。
 それから、政令市の中であるんですが、まだ県の権限が残っている分野があるんですね。例えば、河川に関すること。こういうのも問合せっていうのは、福岡市の区役所などに問い合わせが来るわけですね。ところがこれは、政令市の中にありながら、県の権限ですからさわれないとか。もしくは公園とかですね。こういうようなものも、いくつか県の権限が残っているところもありますね。
 例えば、こういうものがですね、しっかりと、きちんと基礎自治体優先の原則のもとで権限の移譲をしっかりと、基礎自治体の方に、あの、していただければ、より市民のために、あの、スピーディな対応ができるというふうに考えています。

 それから、ま、二重行政というか、例えば、なんと言うんだろう。消極的な二重行政っていうものもあるのかなと思うんですね。こういう視点では、他では聞いたことないんですけども。うーん、例えば、例えばですけど、うーん、そうですね。特別支援学校。特別支援学校というのは、これは県に設置義務があるわけですね。ところが政令市に関しては、じつは県が設置をしていただけていないので、これで、ただ実態はありますのでね、福岡市としては、やはり、これは本来県に設置義務があるというのは法律に書かれているんですけども、福岡市としては現場に対応しなければいけない。実際、今。糸島市でも特別支援学校のニーズが増していて、例えば近隣の市町村からも福岡市が受け入れているというような状況があるんですね。これは逆に、その、消極的な二重行政というか、あの、やらないというようなですね、政令市があるからやらないというようなものがあったりとか。

 それから、子ども医療費。それから子ども医療費に関しても、同じ県民税を福岡市民もみんな払ってますが、福岡市民と北九州市民に関しては、子ども医療費の、えー、まあ補助ですね、割合が四分の一なんですね。他の、福岡市、北九州という政令市以外は二分の一。ですから、半分しか子ども医療費の補助が、同じ県民税を納めている福岡市民、北九州市民は、あの、いただけないという、まあ、ようするに差別的な扱いということがあったりとか。それから、知的障害、それから身体障害のある方への補助金メニューをいただけない、ということから、全額政令市が負担しなければいけないということもあるし、これもいわゆる消極的な二重行政というか、やはり、あのぉ、こういう等しく県民税を納めていますのでね、そのへんはしっかり公平にやっていただきたいと、いうふうに思います。

もっともらしく聞こえるが……
 知事が「おっとっと」などと感じることはあるまいが、不快になるのは当然。親子ほど年の離れた相手から、発言を否定されて気分がいいはずがない。ある県議会関係者は「ケンカを売っているつもりだろう」と苦笑する。

 特別支援学校の件も、子ども医療費の助成額も、たしかに市長の言うような問題点はある。子ども医療費については、福岡県だけでなく、他県の政令市からも補助率の違いに批判が出ているのが現状だ。しかし、これらは大阪の「二重行政」とはまるで違う課題。「予算配分の在り方」をめぐる議論なのだ。

 市長は、河川についても言及している。“福岡市の中を流れる川は、福岡市に管理させろ”という主張だが、周知の通り河川は1級、2級に区別され、前者は国が、後者は都道府県が管理するよう河川法で定められている。川はいくつかの自治体にまたがって流れており、一自治体だけで管理するのは不可能だ。財政に余裕のある福岡市が、市内だけを整備するというのでは、それこそ不公平。市長の言い分はもっっともらしく聞こえるが、ただちに正論といえるものではない。そもそも、河川をめぐる議論は、権限の移譲をどうするかという問題。「二重行政」とは関係がない。県側からしてみると、ただの言いがかりに近い。

「まるで子ども」
 小川知事に対し、市長に含むところがあったのは事実だろう。都市高速の人工島延伸問題や、市内中央区にある大濠公園(県管理)と舞鶴公園(市管理)の一体整備などでさや当てを演じてきた経緯があり、両者の関係は決して良好ではなかったからだ。二重行政について聞かれた市長が、ここぞとばかりうっぷんを晴らしたと見ることもできる。だが、市長が提起した問題は、県と市が互いの立場を尊重し合って話し合いをすれば、解決策がみつかるものばかり。一方的に県を批判する姿勢は、自らその機会を奪う原因になりかねない。

 ある県政界関係者は、次のように話している。
「高島市長の姿勢は、まるで子ども。何か問題があるのなら、きちんとテーブルについて話し合えば済むことだ。知事は市長にとって、行政に関しても人生に関しても大先輩。礼を以て接するのが当然ではないのか。それ『「おっとっと』とは……。もともと傲慢な性格だと思っていたが、2期目に入ってその傾向がひどくなったということだろう。麻生さん(財務相)や首相を後ろ盾にして、やりたい放題。自民党福岡市議団だけでなく、県まで敵に回すつもりなんだろう。そのうち、気に入らない相手はすべて『抵抗勢力』とでも言いだすんじゃないか」



【関連記事】
ワンショット
 ガラスの向こうに積み上げられた洋書。オシャレな入り口の奥...
過去のワンショットはこちら▼
記事へのご意見はこちら
調査報道サイト ハンター
ページの一番上に戻る▲