福岡市が昨年8月からはじめたネット上の仮想行政区「カワイイ区」にからみ、高島宗一郎市長の友人で、福岡市顧問を務めている会社社長・後山泰一氏が、HUNTERの記者が福岡市に情報公開請求した内容を他の報道機関の記者に漏らしていたことが明らかとなった。情報公開制度の根幹を揺るがす事態である。
問題の情報公開対象文書をめぐっては、先月31日に福岡市内で行われた講演の中で、後山氏がそのデータを持ち出し披露していたことも分かっている。同氏は特別職の公務員。守秘義務違反は明らかだ。
HUNTERの事実確認と抗議に対し、市側はシラを切る構えを見せている。
疑惑の「都市認知度調査」
HUNTERが福岡市に情報公開請求を行っていたのは「福岡の認知度調査に関するすべての文書」。市広報戦略室の顧問を務める後山氏が、先月31日に行われた「財団法人九州経済調査協会」(九経調)主催のセミナー『福岡市に見るシティプロモーションのいまーカワイイ区の先にあるもの』で、この調査に言及したことを受けての請求だった。
後山氏は、この講演で、市内部から持ち出した作業途中の都市認知度調査結果を披露、次いで『佐賀がカワイイ区って言っても、多分、佐賀だったらカワイイ区、イメージつかないと思うんですよね』という暴言を吐いていた(参照記事⇒『福岡市顧問 未公表内部資料を講演で披露』。
漏れた情報公開請求の内容
請求を行ったのは2月5日。そのわずか3日後の2月8日、後山氏は地元メディアの記者に対し、HUNTERが認知度調査に関する情報公開請求を行った事実を漏らしていた。
福岡市の情報公開条例は、開示・非開示の決定を、公開請求があった日の翌日から起算して7日以内に行うことを定めている。後山氏がHUNTERによる請求の事実を漏らしたのはその決定日の前で、明らかな守秘義務違反である。
HUNTERが行った情報公開請求については、今月12日頃から、直接「何が狙いか?」といった問い合わせが増加。守秘義務違反を確信した記者が情報ルートを探る中、地元メディアの記者から事実関係を確認した。
シラを切る構えの後山氏 同調する福岡市
20日午前、問題の認知度調査の担当部署である市広報戦略室の則松和哉室長に抗議し、合わせて市長室に高島市長のコメントを求めた。
夜になって連絡してきた則松室長は、後山氏が事実関係を否定していることを告げるばかりで、ほかには何も語ろうとしなかった。高島市長もコメントを出していない。
シラを切る構えの後山氏と福岡市だが、そうはいかない。明日の配信記事で、後山氏の情報漏えいについての詳細な経緯を、証拠を挙げて明らかにする。