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福岡市「カワイイ区」 新年度予算に約1300万円の愚行
怠慢業者に喰われる血税

2014年5月 7日 06:00

カワイイ区契約書 高島宗一郎福岡市長とタレントの思いつきで始められた仮想行政区「カワイイ区」に、今年度、約1,300万円の公費が投入されることが分かった。市民の暮らしとは無関係の施策に、税金を垂れ流すという愚行が続けられている。
 カワイイ区をめぐっては、昨年7月の運営事業者選考で、業者ごとに点数を記入する評価表の採点欄を誤記したまま、存在しないはずの業者に配点。選考結果と実際の業者が一致しないことを無視して結論を出していたほか、約1,000万円で同区の運用業務を受託した業者が、「仕様書」で定められた業務を怠っていたことなどが明らかとなっている。
 新年度の事業実施にあたって選ばれたのは、またしてもその問題業者。市は、怠慢業務に目をつぶり、税金の無駄遣いを続ける構えだ。

増加した予算
 福岡市への情報公開請求で入手した資料によれば、カワイイ区の運用業務に支出される税金は1,274万4,000円。前年度に同業務を請負った、福岡市に本社を置く広告代理店「BBDO J WEST」(ビービーディオー・ジェイ・ウェスト)と、4月1日付けで業務委託契約を結んでいた。契約は特命随契。新たな業者選定は行われていない。前年度契約期間が7月~3月の8か月間。今年度は12か月と契約期間が3か月長くなってはいるが、予算は約300万円も増えている。

 特命随契となった主な理由は、カワイイ区の区長を務めている外国人女性の起用が、「BBDO J WEST」の提案だったこと。他社では事業継続が不可能と判断しているが、この女性を区長として使い続ける限り、「BBDO J WEST」との契約は途切れないことになる。

 カワイイ区絡みの公式発表などでは伏せられているが、2台目区長となった外国人女性は、《所属事務所が売り出し中のタレント≫。前年度に「BBDO J WEST」が提出した提案書には、そのことが明記されており、タレント売り出しに市が税金を使って加担した形となっている。

BBDO J WESTが提出した提案書 1

怠慢業務の実態
 問題は、「怠慢業務」を行っていたBBDO J WESTを使い続けていることだ。前年度、契約金額約1,000万円で福岡市からカワイイ区の運用を任された同社は、契約時に示された「仕様書」に規定された業務を、事実上怠っていたことが分かっている。

 前年契約時の「仕様書」(赤い書き込みはHUNTER編集部)には、「10回以上の動画」制作や、メルマガ配信が義務付けられていたが、「実績報告書」では、約8カ月間の契約期間内で、市側が最低月1回を要請していたというメルマガ発信がわずかに7回。昨年7月と8月、今年の2月は「0」となっていた。7回のメルマガ発信のうち、2回は今年3月。HUNTERの情報公開請求後、駆け込み的に実行されていた。4万人弱とされる「カワイイ区民」の数は、メルマガ配信先の数。登録した区民に対し、市側からのアプローチを怠った形で、業者側の怠慢というしかない。

動画制作―情報公開請求受け年度末に集中
 仕様書に「10回」と規定された動画制作・配信については、さらにタチの悪さが際立つ。4月になってから新たに行った情報公開請求の結果、3月はじめ時点での動画制作は2回だったことが判明(下が業務委託の報告書)。前回3月初めの請求を受けて、残り8回分の動画が、駆け込み的に制作・配信されていたいたことが分かった。実態が暴かれることを恐れた市とBBDO J WESTが、契約終了間際の3月に8本もの動画を配信して、帳尻を合わせていた可能性が高い。税金の無駄遣いを、組織ぐるみで隠ぺいに走った形。カワイイ区の事業が、市民の血税を食い物にしている証左といえよう。

実績2.jpg

お手盛り審査で“盗人に追い銭”
 市長のメンツを立てるためか、市職員で組織された「総務企画局委託審査委員会」でのBBDO J WESTに対する業務委託内容審査では、前述した怠慢業務の実態を無視して、「適正」と結論付けていた。下は、同委員会の議事要旨だが、メルマガや動画の配信が、3月に集中したという業務怠慢については問題にもなっていない。実態を知らなかったのか、あるいは知っていて審査というアリバイだけを残したのか――どちらにしろお手盛り審査でお茶を濁したのは、この下らない事業を継続させるためだったと見るべきだろう。“盗人に追い銭”とはよく言ったものだ。

審査1.jpg

優先される市長のメンツ
 カワイイ区は市長の言い出した事業だが、業者の怠慢業務が示すように、施策としては破たんしている。BBDO J WESTが提出した「報告書」を見れば歴然。登録された「区民」は、BBDO J WESTが業務を開始した昨年7月時点で41,582人。10月の42,011人を最高に、今年5月1日現在は41,960人と減らしており、事業の成果が上がっているとは言い難い。

 なにより、カワイイ区が福岡市の有力なコンテンツになっておらず、外国人女性区長の活動ぶりが、たまにメディアに取り上げられる程度。市外はもちろん、市内でもカワイイ区の認知度は低く、市民の暮らしや市の発展になくてはならぬ事業とは到底思えぬ状況だ。

 元AKB48の篠田麻里子氏を初代区長に据えた初年度に約1,000万円。外国人女性タレントを二代目区長にした昨年度に約1,000万円。そして、今年度は増額で約1,300万円。怠慢業務を追認したあげく、無駄な事業に投入された税金はすでに3,000万円を超えた計算。市民の暮らしとは無縁の事業に、これ以上の税金投入を許していいはずがない。事業継続が市長のメンツを優先した結果なら、なおさらのことだ。



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