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福岡市顧問 未公表内部資料を講演で披露
佐賀県卑下する発言も

2013年2月19日 09:35

 福岡市の顧問が、市が業務委託して行わせている未公表の都市認知度調査結果を持ち出し、自身の講演先で披露していたことが明らかになった。さらに、講演の中で「佐賀だったらカワイイ区のイメージはつかない」などと、他県を卑下する発言を行っていたことも分かった。
 講演は、シティプロモーションの一環として市が行っている仮想行政区「カワイイ区」に関するもので、HUNTERが独自取材でその内容を入手、発言内容を確認した。
 市顧問の立場を利用した内部資料の持ち出しと、他県をないがしろにする姿勢に、批判の声が上がっている。

顧問は市長の友人 
 問題の発言は、先月31日に行われた「財団法人九州経済調査協会」(九経調)主催のセミナー『福岡市に見るシティプロモーションのいまーカワイイ区の先にあるもの』で飛び出した。発言の主は高島宗一郎市長の友人で、福岡市広報戦略室の顧問を務める会社社長・後山泰一氏。

福岡市の戦略的広報に関する調査業務 講演の中で後山氏は、都市の魅力を内外に訴えていくシティプロモーションについて自身の体験などを語った後、福岡市が昨年8月から始めた「福岡市カワイイ区」事業に言及。福岡市の認知度が低いということを強調するためのくだりで、『ここにデータがあるんで、まだちょっと後ほど、今度記者発表されると思うんですね』と断った上、福岡市が民間業者に委託して行なわせている都市の認知度調査結果を読み上げていた。

未完の調査結果を持ち出し―呆れる市関係者
 後山氏が話した認知度調査は、昨年12月に福岡市が民間企業に業務委託した「戦略的広報に関する調査」のこと。同業務委託契約は今年3月までを履行期間と定めており、1月に業者が市に速報を提出した段階。このあと2月に中間報告、3月に最終報告が予定されており、未完成の状態の資料でしかない。

 公務員が、税金を使った事業の、しかも完結していない状態の資料を持ち出し、部外者に漏らしたしたとすれば、守秘義務違反に問われかねない話だ。
 後山氏は民間企業の社長とはいえ市の顧問として30万円以上の報酬を得ている「特別職の公務員」なのだ。
 市が民間企業と契約した業務委託は、税金を使った事業であり、何人といえども公表前の段階で個人的に利用することは許されない。

 ある市幹部OBは次のように話している。「言語道断。公私混同もはなはだしい。一体、市役所はどのような情報管理を行っているのだろう。完結していない業務委託の内容を、一顧問が勝手に持ち出して内容をしゃべるなど聞いたことがない。市政を私物化しているといってもおかしくない話だ。市長の友人ならなんでも許されると思っているのだろうが、とんでもない勘違い。公人としての自覚などまったくないのだろう。即刻、市役所から追い出すべきだ」。

「佐賀だったらカワイイ区、イメージつかない」??? 
 後山氏の問題発言はこれだけではなかった。カワイイ区について懸命に説明する中、調子に乗ったのか、他県を卑下する発言を行ったのである。
佐賀がカワイイ区って言っても、多分、佐賀だったらカワイイ区、イメージつかないと思うんですよね。でも福岡市でカワイイ区って言った時に、まぁ、カワイイ娘多いもんねーとか、いわゆる必然性と納得がある』
 後山氏は、佐賀県人が万単位で福岡市に住んでいることを知らなかったらしいが、福岡市なら“カワイイ”に『必然性と納得がある』とする言い分も、乱暴と言うしかない。

 福岡市南区に住む佐賀県出身の主婦は、後山氏の発言内容を聞いて憤りを隠せない。「市長の友人だかなんだか知らないけど、この男は何様のつもりなんでしょう。佐賀県の女性はかわいくないということですよね。佐賀県の人間が聞いて不快になるようなことを、福岡市の代表として公の場で話すなんて信じられない。これが高島(市長)さんの考え方でもあるんでしょうね。こんなことばかりやっているから、福岡市の一極集中に批判が集まるんですよ。福岡の驕りを見事に表してる。福岡市内には佐賀県出身者がたくさんいます。そんなことも分からないんですかね。こんなバカが、市の顧問でございますとふんぞり返っていること自体、市政が狂っている証拠でしょう。議会はなにやっているんでしょうか!」。

 カワイイ区をめぐっては今月、男女差別につながるといった苦情が寄せられたため、市長の諮問機関である審議会が事業見直しを検討する方針を固めたことが報じられている。

市顧問の発言から新たな疑惑が浮上 
 HUNTERが後山氏の講演内容に注目したのは、実際に3,000円を支払って九経調のセミナーに参加した民間人から、後山顧問が話した「認知度調査」という一語を聞いてからである。一体、いつ福岡市が認知度調査を実施したのか?
 市に対する関連文書の情報公開請求、さらには問題の講演内容の記録を入手する過程の中で、本稿の問題発言が明らかとなった。

 しかし、最大の問題は、その認知度調査そのものにある。高島市政には、1千万円の税金を使った「子どもの遊び」(市職員)=カワイイ区事業をはじめ、これまで進めてきた観光を軸にした成長戦略を正当化するため、はじめに結論ありきの業務委託(認知度調査)を行わせた疑いが浮上している。

 次稿で、その認知度調査の疑問点を詳報する。



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