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工期大幅延長で18億円追加 薩摩川内処分場計画が事実上の破綻
設計ミス! 問われる伊藤鹿児島県知事の責任

2013年2月15日 08:30

 14日、鹿児島県が地元住民らの声を無視して建設を強行した産業廃棄物の管理型最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)の工事において、1年以上の工期延長に加え、18億円強の追加工事費が必要な状況となっていることが、事業主体の鹿児島県環境整備公社に対する取材で明らかとなった。
 新たな予定が守られる保証もない深刻な状況で、事実上の事業計画破綻といえる。
 工期延長や巨額な工事費を追加せざるを得ない状況は、設計ミスが露呈した形。事業を強行してきた伊藤祐一郎鹿児島県知事の責任が厳しく問われる事態だ。
(写真は「エコパークかごしま」の工事現場)

工事費77.7億円が96億円に!
鹿児島県環境整備公社 同公社によれば、今年8月の完成予定だった「エコパークかごしま」の建設工期を1年以上延長、新たな完成時期は来年9月を目途にするという。これにともなう追加工事費を18億3,000万円と見積っており、特定建設工事共同企業体(JV:「大成・植村・田島・クボタ」)と結んだ当初の契約金額77億7,000万円(税込み)が96億円に膨れ上がる格好だ。
 ただし、この工期や追加工事費はあくまでも『予定』(県公社)としており、状況によってはさらなる工事期間の延長や工事費の増大、最悪の場合は事業の断念も予想される。

 同工事をめぐっては、処分場予定地を含めた周辺地域が豊富な地下水に恵まれていたことから、工事現場で湧水が多量に噴出、工事が難航し、予定の工期では完成しないことが確実となっていた。今年1月、完成時期の確認を求めたHUNTERの取材に応えた同公社は、新たな工期について「精査中。いつになるか分からない」として回答を留保していた。

懸念されていた地下水の影響
水源.jpg 事業計画を狂わせる原因となったのは「水」だが、自然を甘く見た県側と工事を請負ったゼネコンの責任は重い。
 処分場予定地は、薩摩藩の時代はもちろん、古来から地元住民などが「お山」と呼んで崇拝の対象としてきた霊峰・「冠嶽」の山麓。緑豊かな自然と、豊富な地下水に恵まれた同地は、近隣地域の貴重な水源となってきた。当然、処分場予定地にも多量の水が湧き出ている。その湧水のため「エコパークかごしま」の工事は難航、さらに雨水が多かったことも工事の遅れに拍車をかけていた。

 事態打開のために行われたのは違法・脱法行為の数々だった。まず、発生した汚水を濁水処理施設を通して排出するとしていた県民との約束を反故にし、工事現場内で発生した大量の汚水をこっそり処分場予定地直下を流れる「阿茂瀬川」に放流(下の写真左)。さらに、危険な「夜間工事」で溜まった汚泥混じりの水をバキューム車で汲み上げ、夜陰にまぎれて通常の建設残土に混入。翌日、ダンプで搬出し、近くの採石場などに捨てさせていた。

排水口.jpg  発破.jpg

 また、処分場は固い岩盤の上に建設されることになっているが、あまりの地盤の固さに歯が立たず、予定になかった「発破」まで利用。近隣住民の抗議を黙殺して、大量の爆発物を使用するまでに追い詰められていた(上の写真右)。

伊藤2.jpg問われる伊藤知事の責任
 公共関与型の産廃処分場建設事業を推進してきたのは、伊藤祐一郎鹿児島県知事(左の写真。知事のマニフェストより)だ。知事は、ろくに調査も実施しないまま、県内29箇所の対象地の中から薩摩川内市川永野にあった地場ゼネコン「植村組」関連企業の採石場を処分場予定地に決定。地元住民らの反対運動を弾圧して工事に突入するなど、不透明な事業展開が目立っていた。

 「エコパークかごしま」計画の杜撰さは、昨日報じた事業の収支試算の件でも明らかだ。HUNTERの調べで、鹿児島県が、計画段階でコンサル業者が行った事業の収支見込みしか持ち合わせておらず、独自に公共事業として成り立つかどうかの試算を行っていなかったことが判明。さらに、コンサル業者が作成した事業収支は、産廃1トンあたりの処分料を他の処分場より極端に高く設定した虚構だったことが分かっている(⇒『破綻必至! 薩摩川内100億円産廃処分場の虚構』。

 工期の大幅延長と巨額な建設費積み増しは、計画段階における“設計ミス”を認めたことに他ならない。これによって、付帯工事を含め100億円と言われる総事業費が、さらに20億円近く膨れ上がるうえ、事業継続そのものが危ぶまれる事態となったことは明らかだ。工事を強行した伊藤鹿児島県知事への責任追及は免れぬ状況となった。



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