岩本司農林水産副大臣(参院福岡。当選2回)が代表を務める民主党支部が、政治資金規正法で義務付けられた事務処理を怠っていた問題で、福岡県選挙管理委員会から支出を証明する書類の提出を指導された岩本氏側が、1か月以上もこれを放置していることが明らかとなった。
県選管は、岩本氏の民主支部が同法違反の状態にあることを認めている。(参照記事→「岩本農水副大臣の民主支部に政治資金規正法違反の疑い」 )
杜撰な事務処理―領収を証明する書類なし
この問題は今年8月、HUNTERが福岡県選挙管理委員会に開示請求して入手した「民主党福岡県参議院選挙区第一総支部」の、平成21年と22年の1万円以下の支出を証明する少額領収書を精査する過程で発覚した。
同支部が領収書代わりに選管に提出したETCカードの利用明細の中に、当該年の前の年の請求分が混在しており、平成21年と22年分の政治資金収支報告書の記載内容自体が信頼性を欠く状態であることが判明。少額領収書の開示事務を行った県選管もこれに気付き、岩本氏側に確認を求めていた。
(下が問題の利用明細の一部。平成21年1月1日から12月31日までの支出の中に、平成20年に支出したと見られる利用明細が、同様に平成22年には21年の利用明細が入っていた。一部黒塗りと赤いアンダーラインはHUNTER編集部)
明らかな政治資金規正法違反
これに対し、岩本氏側は問題の利用明細に記された日付には支払を起こしておらず、翌年になって銀行振り込みで決済したと主張。振込み証は不存在であると申し立てていた。明らかに関係書類の保存義務違反である。
岩本氏側が主張を証明し、政治資金規正法に則った収支報告とするためには、銀行振り込みを行った際の振込み証なり、カード会社発行の領収書が必要となる。
このため県選管は、岩本氏側に対し、支出を証明する書類が必要であることを指導したとしていた。
その後の岩本氏側の対応について県選管に確認したところ、1か月経った現在も、支出を証明する書類が提出されていないことが分かった。岩本氏側からは連絡さえないという。
政治資金規正法は、国会議員関係政治団体の会計責任者の義務について、会計帳簿、明細書、領収書等、振込明細書及び領収書等を徴し難かつた支出の明細書等を、政治資金収支報告書の要旨が公表された日から3年を経過する日まで保存しなければならないと規定しており、違反した場合は3年以下の禁錮または50万円以下の罰金となる。
県選管は、岩本氏側が支出を証明する書類が不存在であることを明言している以上、前述の政規法の規定に違反する事態であることを認めている。
岩本氏の政治資金処理をめぐっては、自身の資金管理団体「岩本つかさ後援会」を使って政治資金パーティーで集めたカネを、牛丼やちゃんぽんといった自身の食事代や妻の給料といった生活費のほか、頻繁な沖縄旅行、さらにはキャバクラをはじめとする夜の遊興費にも充てていたことが分かっている。
【参照記事】
「岩本農水副大臣 政治資金で頻繁に沖縄旅行」
「牛丼にちゃんぽん、コーヒー代も政治資金で支払い」
「岩本農水副大臣に「虚偽報告」の疑い」