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牛丼にちゃんぽん、コーヒー代も政治資金で支払い

少額領収書開示で見えたキャバクラ副大臣のご乱行

2012年4月 4日 10:45

 資金管理団体「岩本つかさ後援会」の政治資金収支報告書に虚偽の記載をしていた疑いが持たれている民主党の岩本司農林水産副大臣(参院福岡選挙区選出・当選2回)の、まともな政治家とは思えぬ異常な生活ぶりが浮き彫りとなった。

 キャバクラ遊びで批判を浴びた国会議員は、牛丼店での食事代をはじめとする自身の食費はもちろん、生計を共にしているはずの妻の生活費まで集めた政治資金から支出してきたという。
 さらに、クレジットカード使用でたまった"マイル"を利用した私的な海外旅行では、在外公館にホテルを手配させるなどの仕事を命じていたという。
 
 関係者からは、厳しい批判とともに議員辞職を求める声も上がっている。

すき家 レシート牛丼代も政治資金で
 HUNTERは、国会議員関係政治団体の領収書等のうち、人件費以外の経費で1件1万円以下の支出に係るものについて開示請求を行うことができると定めた"少額領収書等の写しの開示制度"に基づき、総務省から「岩本つかさ後援会」の少額領収書(平成22年分)を入手した。

 後援会関係者の話によれば、岩本副大臣は夜になるとキャバクラをはじめ「酒」がともなう遊びに明け暮れ、朝、昼の食事代を含めた大半の払いを政治資金パーティーで集めた政治資金から支出。自身の財布からは極力支払いをしないようにしてきたというが、入手した約600枚におよぶ領収書コピーが、見事にこの証言を裏付けている。

 少額領収書の中には、牛丼屋の領収書(右の領収書参照)やちゃんぽん代、ハンバーガー代、デパ地下の食品代なども含まれているほか、「昼食代」と記された1人分の食事の領収書が数多く確認されている。

gennpatu 114020041.jpg 最も多く通っていたと見られる国会近くのドイツ料理店でランチを頼んでみたが、値段は領収書どおりの金額である「1,000円」。店側にそれとなく岩本議員について聞いてみると、「以前はよく来られてましたが、最近はお見かけしませんね」と言う。
 
 このほかにも頻繁に国会周辺の店で昼食をとっていたらしく、1人分の食事の領収書は数えるのが面倒になるほどだった。
 約600枚の領収書コピーは、1枚の用紙に数件の領収書を貼り付けているものもあるが、飲食に関する領収書の数は240件分にも上る。
 
 岩本議員は私的な食事代の支払いまで政治資金で賄っていたわけで、実態を知る後援会関係者は次のように話す。「せこい話ですが、自分の財布からは1円たりと出そうとしないんですよ。ほとんど後援会で集めたカネで払っちゃう。秘書と昼メシに行っても割り勘なんだから。夕方になると落ち着きがなくなり、毎晩のように酒に溺れていた」。

 続いてある国会関係者の証言。「とにかく、昼間から酒臭い。遅刻はする。彼(岩本議員)の秘書の朝の仕事といえば、国会内にある診療所に頭痛薬と胃腸薬をもらいに行くことなんだから。まともに国会議員としての仕事ができるわけがない」。

政治資金で妻に人件費
 ところで、岩本議員の関連政治団体には 「岩本つかさ後援会」のほかに「民主党福岡県参議院選挙区第一総支部」ある。両団体の経常経費のうち、「人件費」についての流れは次のようになる。
・平成20年 後援会から約550万円 総支部から約290万円 合計約840万円
・平成21年 後援会から約840万円
・平成22年 後援会から約1,000万円
 毎年、800万円から1,000万円が人件費に充てられているのだが、前出の後援会関係者や岩本事務所の内情を知る人物は、この「人件費」はほとんどが岩本議員の妻に支払われたものだと証言している。

 かつて岩本議員の妻は、公設第一秘書として「公費」から給料をもらっていたが、秘書給与をめぐる事件が続いたことで民主党内の規制が厳しくなり、公設秘書から外していたという。
 ちなみに岩本事務所の政治資金は、同議員の妻が管理しており、ボールペン1本買うにも了承が必要とされる。とくに秘書には厳しく、東京-福岡間の航空機使用を「秘書ごときが何で飛行機を使うのか」と怒ったり、福岡から北九州市に行くのに「高速道路は使うな」と厳命するほどだったという。

 その妻の給与が政治資金パーティーで集められた政治資金から支払われていることになるが、関係者は給与に見合う勤務実態はないと口を揃える。そもそも議員と妻は生計を共にしているはずなのだが・・・・。

私的旅行で在外公館利用
 タチが悪いのは、私的な海外旅行に在外公館を利用していたことである。

 ここで、前回報じた岩本議員の政治資金パーティーの収入と経費を再掲する。太字が会場費である。

【平成20年】
 5月26日「参議院議員岩本つかさ薫風の夕べ2008」1,000万円(500人)→116万7,652円 
12月15日「岩本つかさ忘年会2008」346万円(173人)→96万8,875円 

【平成21年】
 7月21日「白南風の集い」586万円(293人)→104万5,747円 
12月25日「岩本つかさを囲む会・忘年会2009」394万円(197人)→118万2,777円

【平成22年】
 8月30日「南風月の集い」892万円(446人)→111万1,267円 
10月29日「秋麗の集い」460万円(230人)→90万5,813円 
12月 1日「暮来月の集い」962万円(481人)→100万5,275円 

 領収書を確認したところ、驚くべきことにこれらの高額な会場費はすべて"クレジットカード"で決済されている。(下がその領収書の一部。赤い矢印はHUNTERによるが、クレジット決済を示す判が捺されているのがわかる。)

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 岩本議員は、ホテルでの高額なパーティー会場費から少額の飲食費まで、何でもクレジットカードを使って決済することに執着しており、その目的は「マイル」をためることなのだという。
 たまったマイルを使って海外に行くことに熱中しており、私的な海外旅行でありながら、視察などと称して外務省の在外公館にホテルを手配させるなどのムダな仕事を押し付けてきたとの証言がある。事実なら最低の政治家である。

「国の恥」
 岩本議員のこうした政治資金の使い方について、実際にパーティー券を購入したある企業関係者は憤りを隠さない。「まともな政治活動をやると信じて送られてきたパーティー券を購入してあげたのに、自分の食費や奥さんへの給料に使っていたなんて・・・。これは政治資金詐欺じゃないですか!謝罪して辞職すべきだ」。
  
 取材の過程で複数の後援会関係者から聞かされたのは、次のような厳しい言葉だった。「政治資金の使い方としては、明らかに支持者を欺くもの。良くないと思うし、私的な海外旅行に在外公館を利用するなどもってのほか。国会議員としての仕事も満足にしておらず、彼(岩本議員)の存在自体が税金の無駄遣い」(40代男性)。

「国会議員を辞めさせるべきだ。福岡のというより国の恥なんだから」(国会関係者)。

 取材から逃げ回る岩本議員は、こうした身内同然の人たちからの声をどう聞くのだろうか。



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