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鹿児島県産廃処分場 排水口を隠蔽
知事公約「環境先進県」の現実

2012年6月21日 08:45

 鹿児島県知事選挙の争点のひとつとなった薩摩川内市の産業廃棄物最終処分場「エコパークかごしま」(仮称)の建設工事をめぐって、またしても県民を欺く手法の一端が明らかとなった。

 HUNTERの現地取材で、同処分場の工事現場内を流れる阿茂瀬川に、公表されていない排水口が設置されていることを確認。工事現場で発生する水を浄化処理することなく放流していたことが分かった。

 これまで、県や事業主体である「財団法人 鹿児島県環境整備公社」は、処分場工事で発生する汚水は濁水処理装置を通して一箇所から放出していると主張してきた。隠された排水口はこの説明が虚偽だったことを示している。

(写真が問題の処分場建設現場)

隠された排水口
 今月中旬、HUNTERの記者が阿茂瀬川の水質を調べる目的で、川の上流から下流に向かって500m近くを下った時だった。
 処分場の直下と思われる場所に、電気関係の配線を入れていると見られる管が数本。上を見上げたところ、これまで公表されていない排水口があり、大量の濁水が放出されていた。草や樹木によって隠した形だ。県側の説明にはなかった第二の排水口であり、水の色からして浄化処理もされていない。

 下の2枚の写真は19日、再度確認するため現場を訪れ撮影したものである。3日前と違って、工事現場内からロープが垂らされており、草も刈り取られて排水口の確認が容易となっていた。

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県側 ― 「知らなかった」
gennpatu 1864410283.jpg 同日、薩摩川内市内にある環境整備公社に事実関係を聞いた。公社側で応対したのは公社次長を含めて県から派遣されている3人の職員である。

記者:処分場内の水は何箇所から放出しているのか?
公社:濁水処理して一箇所から流している。

記者:間違いないか?
公社:間違いない。

記者:ここに処分場のそばで撮影した写真がある。この排水口は何か?
公社:知らなかった。すぐには回答できない。

kskd.JPG記者:新たな排水口の存在についてもう一度聞くが、本当に皆さん方は知らなかったのか?
公社:本当に知らなかった。調べて回答したい。

一転して「勘違い」
 数時間後、電話による公社側からの回答は予想した通りのものだった。

公社:先ほど「知らない」と言ったことについて訂正したい。じつは勘違いだった。

記者:どういうことか?
公社:現地に行って確認したところ、確かにある。放水の管というか、そういうものが三つある。

記者:排水口が三つあるということか?
公社:三つあった。確認している。側に電気関係の管があり、ロープはその調整をするため川に垂らしたものだ。

記者:勘違いとはどういう意味か?さっきは知らなかったではないか?
公社:その点は申し訳ないが・・・。

記者:これまで県も公社も排水口は一箇所だと明言してきた。嘘はよくない。
公社:雨水を流しているだけだ。濁っていたのは管が壊れていたからだ

記者:排水管が壊れるなどということがあるのか?汚水は出ているではないか。
公社:つまり、側溝が壊れていたと・・・。

記者:意味が分からない。いずれにせよ嘘をついてきたことは事実だ。他にも排水口があるのではないか?
公社:・・・・・。

 この状況で県側の話を信用する人間はいないだろう。

汚水がもたらす環境破壊
 県側は、建設現場で発生する汚水を濁水処理施設で浄化し、排出水の浮遊物質量を「25mg/L」以内に押さえて、一箇所から排水していると説明してきた。しかし、この説明が嘘だったことも既に明らかとなっている。 

 工事現場から排出されていた汚水から、国が定めた汚水の基準値(河川への排出基準を日平均「150mg/L」、最大でも「200mg/L」)をはるかに超える「1000mg/L」もの浮遊物質が検出されたのである。県側が主張してきた「25mg/L」の実に40倍の数値だ。地元住民をはじめ県民を騙していたことは歴然としている(参考記事→「薩摩川内処分場工事で『汚水』垂れ流し」)。

 19日の公社への取材でもこの点について聞いたが、「処分場は総理府令で定めた事業場にあたらない」とする従来の見解を繰り返すばかりだった。嘘をついたことを頑なに否定する姿勢は病的でさえある。

 ともあれ汚水の垂れ流しは、県内最大の河川である「川内川」が汚されるということを意味している。その先にあるのは海だ。

 伊藤祐一郎知事は、7月の知事選に向けたマニフェストの中で、鹿児島を"環境先進県"にするとしている。しかし、知事が地元住民の声を圧殺して強行している処分場工事のデタラメぶりと虚構の数々は、マニフェストの記述が真っ赤な嘘であることを証明している。



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