鹿児島県が薩摩川内市川永野で建設を進める産業廃棄物の管理型最終処分場計画で、隠されていた事実が明るみに出た。
鹿児島県は、同処分場の用地を確保するため地場有力ゼネコン「植村組」の関連会社と賃貸借契約を結んでいたが、関係者の話から、賃料とされる5億円のうち4億6,000万円が移転料などの補償分で、土地代はわずか3,900万円相当だったことが分かった。
鹿児島県は、HUNTERの情報公開請求に対し、土地取得費の内訳を非開示としていた。
隠蔽された土地取得費の内訳
鹿児島県は昨年、薩摩川内市川永野に処分場の土地を確保するため、同地に砕石プラント併設の砕石場を保有していた植村組の関連会社「ガイアテック」と賃貸借契約を締結した。
賃料は5億円で、平成25年度に3億400万円を一括して支払い、翌年度から平成39年までの14年間にわたり年間1,400万円づつを払うというものだ。
ただし、5億円の内訳については土地代相当分と補償費分がどの程度なのか詳細を示さず、情報公開請求で同県から入手した文書でも肝心の部分を非開示にしていた。
右の文書が、ガイアテックに対する県の支払額明細書だが、土地取得費、補償費とすべての項目が黒塗りになっている。公費支出の妥当性が判断できない状態だ。
大半は補償金
関係者によると、土地代にあたるのは約3,900万円に過ぎず、砕砂プラントの移転補償などに約4億7,000万円が充てられる内容だとされ、5億円の契約金額の9割以上を補償費が占めているという。
先月報じた「疑われる特定企業への便宜供与 薩摩川内市産廃処分場問題(3)」のなかで、問題の処分場予定地を「二束三文の土地」と指摘したが、間違いではなかったということだ。
契約書にあった土地の面積は248728.84㎡であることから、1坪約500円程度の土地だったことになるが、この評価では処分場用地に産廃が埋まっていることを想定していないと見られ、実際の土地の価値は坪当たり500円を下回る可能性が否定できない。
前述のとおり、補償内容の詳細が非開示となっているため、どの部分の補償を中心にしたのか不明のままだが、同処分場予定地で最も高い価値を有すると思われるのは砕石プラント(写真)。
ほかに補償の対象として高い金額が見込まれる建造物はなく、大部分がこのプラントに向けられたと見られる。
今後は、補償額が適正だったか否かが問われることになる。
同処分場の建設をめぐっては、用地選定の段階から不透明な動きがつづいており、地場ゼネコン「植村組」と県の癒着を指摘する声も上がっていた。
さらに、処分場建設を"公共事業"として進めることにこだわった鹿児島県が、民間企業から提出された管理型最終処分場の許可申請を長期にわたって放置し、環境省から違法(不作為)であるとの裁決を受けたことも判明している。