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業者選定に膨らむ疑問

福岡市役所改装工事

2012年2月10日 09:00

 高島宗一郎福岡市長の突然の指示で決まった福岡市役所の1階ロビー改装工事。無駄な公費支出としか思えない同工事の設計業者選考において、高島市長の友人で市顧問に就任している民間企業代表者が選考委員会委員長を務めていたことが判明した(記事参照)。

 取材に応じた市幹部OBや市議会関係者からは、異例の出来事に「聞いたことがない」と厳しい批判が上がっているが、同工事に関する問題はこれだけではなかった。

 情報公開制度の信頼性を損ねた同工事に関する公文書の開示経過を確認しながら、約1億4,000万円にのぼる事業の疑問点を検証する。
(右は市が公表した改装イメージ図)

崩れた情報公開の信頼性 
 福岡市への情報公開請求によって、同工事に関する文書が開示されたのは8日。しかし、開示された内容は不十分で、記者から再三の指摘を受けた担当職員が、市役所内の情報公開室と財政局公有財産課を行き来する始末となった。

 gennpatu 960.jpg文書の開示にあたってHUNTERが重要視したのは、プロポーザル方式で実施された設計業者選考に関する一連の文書である。

 当初示された文書の中には、選考委員会の名簿や選考に関する事務手続きを定めた「要綱」がなく、改めて提示を求めたところ、15分以上待たされたあげく昨日報じた選考委員の名簿()と「福岡市本庁舎1階ロビー改修工事設計業務」に係る設計者選定要綱」が開示された。よく見ると、「名簿」とは要綱の一部をコピーしたものである。(右の文書が「要綱」。赤い囲みはHUNTER編集部)
 
 さらに、市内部で選定要綱を決めた場合に必須となる要綱を認めたとする決済文書がない。担当職員は、「捜したが現物がない」と釈明するが、どう考えても不自然である。
 
 通常、市が行なう事業においては、のちのちの説明責任を果すため、時系列に従って文書が整理されていく。ひとつの事項だけがファイルされずに別扱いされることは考えられないのだ。
 もちろん、決済文書が欠けた状態では、設計業者選考の過程が妥当だったとは言い難い。

 やむなく、担当職員が決済文書を捜して記者に連絡をもらうということにしたが、職員から「決済文書がありましたので、情報公開室に届けております」という電話があったのはそれから2時間も過ぎた18時半頃だった。情報公開室が閉められていたのは言うまでもない。

 この過程で明らかになったのは、担当課である公有財産課が、開示すべき公文書を勝手な判断で選択していたということだ。
 催促を受けて情報を小出しにするということは、情報公開制度の信頼性を根底から覆しかねない行為であり、福岡市の事務執行に疑いをもたれても仕方がない事態である。
 役所が隠蔽すべき事柄を抱えた時の典型的なパターンでもあったが・・・。

証明できない要綱の決済日
 9日、「福岡市本庁舎1階ロビー改修工事設計業務委託に係る設計者選定要綱について」とする要綱決定時の決済文書が開示されたが、疑問がさらにふくらむことになる。

 これまで開示された文書は、原本のほとんどがファイルされているため、コピーした文書には下の文書等のようにパンチの跡が残る(赤枠内)。
 ところが、要綱の決済文書にはあるべきパンチの跡がないのである(右の文書参照)。前日、あわてて開示に応じた選考委員会の名簿や要綱も同様だ。

パンチ跡

 高島市長の友人である市顧問を選定委員長にするという異例の人事についての一連の公文書は、すべて別扱いされていたか、もしくは「なかった」という疑いが生じる。

 担当職員らにこの点を確認した。

記者:選考委員の名簿は要綱をコピーしたものではないか?
職員:開示を請求されたので・・・。

記者:要綱をコピーしたことに間違いないか。
職員:はい。

記者:それがまともな公文書といえるのか?
職員: ・・・・・。

記者:決済文書は昨日になって作られたのではないか?
職員:そんなことはありません。

記者:書類をファイルした跡がないではないか。すべての文書がファイルされている中で、要綱関連だけ別扱いするはずがない。
職員:ファイルに挟んでおいたので・・・。

記者:決済文書の起案、決済が行なわれた日に、この書類が作られたという証明ができるか?
職員: ・・・・・。

 この段階に至っては、どう言い逃れをしても市側の文書に信頼性はない。経過からすると、情報公開請求→適当に見繕った文書開示→不十分との指摘→あわてて指摘された文書を作成、という流れだったとしか思えない展開なのだ。

 隠したかったのは、選考委員会の構成、つまり民間企業の代表者を選考委のトップに据えてしまったことだったのではないだろうか。

選定結果への疑問
 じつは、8日に開示された文書の中に、必要のない「黒塗り」を施した文書があった。設計業者選定における採点表なのだが、プローポーザルに参加した3グループのうち、選に漏れたグループへの採点を隠してしまっている。

 グループ企業の社名も記されていなければ、提案内容など企業秘密にあたる記述もない。従って採点部分を隠す必要はなく、これまでの市の情報公開ではなかったことだ。

 抗議したところ、黒塗り部分も開示されたのだが、ここに次の大きな疑問が生じた。

 つづく



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