福岡市内の市立中学校における修学旅行をめぐり、杜撰な事務処理の実態が浮かび上がった。
HUNTERが福岡市教育員会に情報公開請求した結果、市内の中学校の大半が、修学旅行を実施するにあたって旅行業者から徴した「見積書」を保管していないことが分かった。
業者選定の過程について、説明責任が果せない状況だ。
旅行先の7割はUSJとスキー
先月25日、テーマパークやスキー場が旅行先のメインになっている福岡市の中学校に関する修学旅行事情について報じた(記事参照)。
この時、市教委に情報公開請求して入手したのは、福岡市立の中学校70校(うち1校は修学旅行を実施せず)の平成20年度から22年度までの3年間における修学旅行の日程(うち1校は修学旅行を実施していない)。
3日間の旅行日程のうち1日を「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(以下、USJ)にあてる中学が全体の5割以上。3日間とも「スキー場」という修学旅行を合わせると、じつに7割近くの中学がUSJかスキー場を選んでいた。
市教委に、修学旅行の行く先選定の過程を確認したところ、旅行業者選定にあたって3社以上の見積りをとることを定めていると回答。
これを受けて、各校が旅行業者から提出を受けた見積書や旅行先選定理由がわかる文書の開示を求めていた。
「見積書」の大半は不存在
今月になって請求した文書が開示されたが、かろうじて18校が数社分の「見積書」を保存していたのみ。平成20年度から22年度にかけて実施した修学旅行に関して、旅行業者から徴した「見積書」すべてを保存していた中学校は1校もなかった。
左の文書は、保存されていたとされる「見積書」を市教委が一覧にしたものだが、直近の平成22年度だけを見ても、3社以上とされる業者の「見積書」を保存していたのは2校だけしかない。(HUNTER編集部が中学校名を黒塗り)
各中学から市教委に提出された業者選定過程がわかる文書としては、業者見積りの比較表があるが、これも45校分しか存在しなかった。
杜撰な事務処理の実態にはあきれるばかりだが、市教委が定めた「3社以上の見積り」について、証明する文書が不存在だったことになる。
市教委側は、情報公開請求があるまでこうした実態を把握していなかったとしており、説明責任が果せぬ事態に困惑している。