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九電と玄海町 一体で利権創出

町の次世代エネルギーパーク
         実態は九電との共同事業

2011年11月17日 09:45

 玄海原子力発電所の立地自治体である佐賀県玄海町(岸本英雄町長)が建設を進める体験型の次世代エネルギー啓発施設の実態が、玄海町の単独事業ではなく、九電との共同事業であることがわかった。

 一見有意義な公共事業に見せつつ、九電の原発PR施設と一体化させる内容だが、玄海町側は九電との共同事業であることを明確に打ち出していなかった。
 意図的に隠したとしか言いようのない状況だ。

 巨額な公金を使って、原発推進を目論む九電を利すると同時に、岸本町長らの利権創出にも役立つ仕組みとなっている。

玄海町次世代エネルギーパーク 
玄海町役場 問題の事業は、玄海町が整備を進める「玄海町次世代エネルギーパーク」。
 
 これは、経済産業省資源エネルギー庁が、太陽光など次世代エネルギーの普及を目的として全国で推進する次世代エネルギーパークのひとつとして、平成19年に同庁から認定を受けていたもの。今年3月現在で認定を受けた施設は、全国で33カ所とされる。

 同庁のホームページでは、次世代エネルギーパークについて次のように説明している。

《次世代エネルギーパークは、小学生から高齢者まで国民各層が、新エネルギーを中心に日本のエネルギー問題への理解の増進を深めることを通じて、エネルギー政策の促進に寄与することを期待するものです。具体的には、このような趣旨に合致しているとともに、以下の6つの要件に該当する施設を対象として、次世代エネルギーパークの計画の認定・公表を行います》。

 岸本町長が推し進めてきた「玄海町次世代エネルギーパーク」の整備にかかる総事業費は約14億6,000万円(町側説明では当初計画から減額)。財源のうち9億5,000万円は原発マネーである核燃料サイクル補助金を充てる予定とされる。

 敷地面積約34,000㎡の中には、メインとなる「ふるさとセンター」を中心に、太陽光、水素、風力といった各種発電を紹介する設備や、「ピクニック広場」、「バーベキュー広場」など親子で楽しめるスペースが配置されている。

 問題は建設地で、同パークは玄海原発に併設された原発啓発施設「玄海エネルギーパーク」と隣接する場所に位置する。

 これは、資源エネルギー庁が認定要件のひとつとした、《近隣に新エネルギー設備や関連施設がある場合には、可能な範囲で、該当パークに関連する施設として位置づけられていること》に沿ったものであるが、近隣にある《新エネルギー設備》とは、玄海原発にほかならない。
 
 言ってみれば、玄海町のケースでは、国が地方自治体を使って原発啓発につながる新たな施設を作らせているようなものだ。

隠された事業の実態
玄海町次世代エネルギーパーク建設現場 公表された次世代エネルギーパーク整備計画では、玄海町の単独事業のような印象を受けるが、ここにきて実態は違うものであることがHUNTERの取材で明らかになってきている。(写真は、玄海町次世代エネルギーパークの建設現場。左奥が九電の原発PR施設)

 じつは敷地面積34,000㎡のうち玄海町が整備するのは同町が所有する12,000㎡の土地の地上部分だけ。残りの22,000㎡は九電の所有となっており、この土地の整備に関する費用は、九電側が負担するのだという。
 ただし、玄海町側は九電側の整備費がどの程度になるか把握していないとしており、巨額な公費を投じる事業とは思えぬ杜撰さだ。
 
 計画内容は当初案からかなり変更されており、資源エネルギー庁のホームページに掲載された下のイメージ図が最新のものだという。
mainimg01.jpg 
 イメージ図手前から左上にかけて走るのが国道204号線だが、この道路に沿った図面左側の建物がテーマ施設「ふるさとセンター」。
 一方、図面中心の右寄り奥に見える円筒状の建物は、玄海原発のPR施設「玄海エネルギーパーク」のメイン施設だ。その奥にはわずかだが玄海原発3号機が描かれている。
 
 玄海町と九電、それぞれのテーマ施設の間に「バーベキュー広場」や「ピクニック広場」を展開しているが、その大半が九電所有の土地となっている。

 パーク内で玄海町が所有する12,000㎡の土地とは、国道沿いの部分だけで、そこから九電・玄海エネルギーパークまでの土地や施設設備はすべて九電のもの。つまり、玄海町が公表している次世代エネルギーパークの全体像は、九電側の整備事業を含んだものということだ。

 工事は玄海町と九電が別々に行なうとしても、完成してしまえばどの部分の工事を玄海町が受け持ったのかわからなくなってしまう。この次世代エネルギーパークは、玄海町と九電がひとつになってあたる"共同事業"なのだ。

 さらに同パークは、完成時のイメージ図からもわかるとおり、玄海原発のPR施設と完全に一体化することになってしまい、結果的に九電の原発啓発を助ける意味合いを持つものだ。

 九電を利する事業であることは明らかである。このためか玄海町の役場内には、九電が社員1名を常駐させていることもわかっている(記事参照)。

利権の創出
 最大の問題は、この事業が事実上岸本英雄町長の新たな利権となっていることだろう。

 これまで報じてきたとおり、次世代エネルギーパークの敷地造成工事(契約額約4,000万円)とメイン施設の建設工事(契約額約6億1,000万円)は、町長の実弟が社長を務める地場ゼネコン「岸本組」が受注している。
 町政トップが公共事業を創出し、そのファミリー企業が受注を独占するという構図となっており、一族で公金を吸い上げる悪質な行為と言っても過言ではない。

 さらに、敷地造成工事の下請には同町有力町議の実弟業者が参入していたことが判明しており、町政の腐敗は深刻な事態を招いている。

 九電と玄海町。岸本町長を頂点に、両者一体の癒着構造は崩れそうにないが、町内をはじめ役場内からもこうした実態に批判の声が上がり始めている。

 ある役場の職員は、匿名を条件に送ってきたメールに次のように心情を綴っている。
 「役場の職員も町民も、現在の岸本町長の独裁体制が良いとは決して思っていません。私個人としては、けしからんという思いでいっぱいですが、町の歴史や力関係があり、どうすることもできないのです。
 やましいことがなくても、岸本組が原発関連工事を受注するだけで職員の努力までうさん臭いものになってしまう現状にはため息が出ます。
 HUNTERが指摘されるように政治倫理条例があれば、岸本組は玄海町の工事を受注することができなくなりますが、条例などできるはずがないのです。できるとしたら、岸本町長が引退したあとでしょうが、町会議員さんの親族企業も対象にしなければ意味がないと思います」。



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