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伊藤鹿児島知事側へ違法献金?
組織的に“あっせん”
名義借りで企業献金偽装の疑いも

2011年11月 7日 08:35

 不適切献金や杜撰な政治資金管理の実態が明らかになっていた伊藤祐一郎鹿児島県知事の陣営に、またしてもカネがらみの疑惑が浮上した。

 鹿児島県知事選挙が行なわれた平成20年、伊藤知事の資金管理団体は、知事本人を含む164人から2,041万9,711円にのぼる個人献金を受けたことになっていたが、HUNTERの取材で、このうち42人・345万円分を特定の建設業者が"あっせん"していたことが分かった。あっせんについて、定められた政治資金収支報告書への記載はない。また、献金原資の一部が献金者本人のカネではなかった可能性も生じている。
 原資が建設業者のものだった場合、政治資金規正法で禁止された企業献金を個人献金に偽装していたことになる。

 当初、取材に応じるとしていた建設業者側は、事実関係を突き付けられた後に態度を一変させ、取材拒否に転じている。

「あっせん」の事実
 知事の資金管理団体「いとう祐一郎後援会 祐祥会」が、鹿児島県選挙管理委員会に提出した平成20年分の政治資金収支報告書によれば、同団体がこの年に集めた政治資金は合計5,125万7,349円。
 このうち知事本人分(259万4,711円)を除いた個人献金は、計163人からの1,782万5,000円で、献金者の職業欄には、「医師」と「会社役員」しか記載されていなかった。
 
 職業欄の記載が、祐祥会側の推測に基づくもので、記載内容に虚偽の疑いがあることは先月24日に報じていた(記事参照)。
 
 この取材の過程で、収支報告書の職業欄には「会社役員」とされながら実際には役員ではないことが明らかとなっている鹿児島県南大隅町に本社を置く「百次建設」の社員が、事実関係を認めたうえで、同社関係の献金を会社がまとめて処理していたと明言。

 祐祥会の会計責任者も、個人献金が「紹介」によるもので、紹介者から個人名と住所だけしか書かれていない「納付書」をもらっていたことを認める話をしていた。
 百次建設側と祐祥会側の話を総合すると、百次建設がらみの献金は、事実上の"あっせん"によるものだったと見られる。
 
 政治資金規正法は、同一の者によってあっせんをされた寄附について、その金額の合計額が年間5万円を超えるものについては、その寄附のあっせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附のあっせんに係る寄附の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日などを政治資金収支報告書に記載しなければならないと定めているが、祐祥会の政治資金収支報告書にはあっせんを示す記載はなかった。

「百次建設」取りまとめ分への疑問
平成20年 祐祥会 政治資金収支報告書 百次建設側が取りまとめた献金について確認するため、改めて平成20年の祐祥会の政治資金収支報告書を調べたところ、登記簿や取材によって同社で「役員」や「社員」であることが明確となっている人間の献金日は次の日付に限定されていた。
1月21日、2月27日、3月19日、4月16日、5月21日、6月13日、7月17日、8月29日、9月26日、10月20日、11月27日、12月22日。

 この日付に一致する献金は、期間に違いがあるものを含めて42人分・345万円となる。
 祐祥会の政治資金収支報告書に記載された順番に、献金が行なわれた月、個別の合計金額、献金者の住所地をまとめた。

1、 1~12月   12万円   鹿屋市寿
2、 1~5月     5万円   大隅町根占南
3、 1~12月   12万円   鹿屋市田崎町
4、 1~12月   12万円   鹿児島市春山町
5、 1~12月   12万円   同所
6、 1~12月   12万円   鹿児島市吾平町麓
7、 1~12月   12万円   肝付町新富
8、 1~12月   12万円   大崎町野方
9、 1~12月   12万円   鹿児島市郡山油須
10、1~12月   12万円   鹿児島市鴨池
11、1~12月   12万円   肝付町後田
12、1~12月   12万円   鹿児島市玉里団地
13、1~12月   12万円   肝付町野崎
14、1~11月   11万円   南大隅町根占川北
15、1~12月   12万円   鹿児島市田上
16、1~12月   12万円   鹿児島市西陵
17、1~12月   12万円   鹿児島市武男
18、1~12月   12万円   鹿屋市吾平町下奈
19、1~12月   12万円   錦江町馬場
20、1~12月   12万円   鹿児島市原良町
21、6~10・12月 6万円   日置市伊集院町麦生田
22、6~10・12月 6万円   大崎町野方
23、6~7月     2万円   日置市東市来町湯田
24、6~7月     2万円   同所
25、6~10・12月 6万円   大崎町野方
26、6~10・12月 6万円   大崎町野方
27、6~10・12月 6万円   大崎町野方
28、6~10・12月 6万円   鹿児島市伊敷
29、6~12月    7万円   志布志市志布志町志布志
30、6~7月     2万円   鹿児島市新屋敷町
31、6~7月     2万円   同所
32、6~10・12月 6万円   大崎町菱田
33、6~12月    7万円   鹿児島市武岡
34、6~7月     2万円   鹿児島市東谷山
35、6月        1万円   鹿児島市坂之上
36、6~10・12月 6万円   鹿屋市上谷町
37、6~12月    7万円   大崎町野方
38、6~12月    7万円   同所
39、6~10・12月 6万円   鹿屋市輝北町下百引
40、6~12月    7万円   大崎町新領
41、6~12月    7万円   同所
42、6~10・12月 6万円   大崎町野方 

 HUNTERが確認した献金者の内訳は、代表取締役を除く百次建設の役員全員と社員、百次建設の子会社の役員全員と従業員、そのほか百次建設と関係の深い建設業者の役員とその家族などだった。
 
 献金した期間に違いはあるものの、42名の毎月の献金日は百次建設の役員らの献金日と同じで、百次建設側が当初認めた「うち(百次建設)で取りまとめた」とする話を裏付けるものだ

実態は「企業献金」? 
 "あっせん"の事実が益々濃くなってきた形だが、取材を進める中、関係者から「知事の政治団体に個人献金をした覚えはない」という話が飛び出した。
 つまり、献金の原資が記載された個人のカネではなく、百次建設または他の第三者によって提供されたということだ。

 この話が事実で、献金原資が会社のカネなら、実態は「企業献金」だった疑いが生じる。
 政治資金規正法が、政党および政党の政治資金団体以外の政治団体に対する企業・団体献金を禁止しているのは言うまでもない。

 前掲のリストでも分かるように、1月から12月までの1年間分が18人、6月から10月までに12月を加えた6か月分が10人、6月から12月までの7か月分が6人など、何らかの都合で複数のグループごとに献金額(期間)を合わせた形となっており、それぞれのグループの献金原資が同一であった可能性を示唆している。

 百次建設に対し、42名分のリストを提示し事実関係の確認を求めたところ、担当者は、前回の取材で百次建設側が献金の取りまとめをしていたことを明言した社員だった。

百次建設側が取材拒否
 取材の趣旨について説明したところ、調べてFAXによる回答をすると約束したが、翌々日になって確認を入れると「個人的なことなので、お答えしないことにした」と態度を一変させている。取材拒否である。

 本当は企業献金ではないか、と追及したが、百次建設の担当者は「違います」と叫ぶように言って、一方的に電話を切ってしまった。何をかいわんやである。

 匿名を条件に話をした同社関係者からは、「百次建設かその関連会社が、関係者の名前を借りて献金した可能性がある」と示唆するものや、「そんな(政治家に献金するような)余裕はない」とあからさまに献金を否定する話が出ている。

 祐祥会側は、献金を受ける際、紹介者にすべてを委ねていたとする説明をしており、相手先の確認もせぬまま振込みを受けていたことを認めている。こうした手法が企業献金を黙認するためだった可能性も否定できない。 
 
 これまで問題になった知事側への不適切な献金は、すべて知事選が行なわれた平成20年に集中しており、知事の選挙資金が疑惑まみれだったことを証明するものだ。



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