新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国の医療機関や介護施設でマスクが不足する事態となった。HUNTERは今月13日、鹿児島県が27万枚ものマスクを隠していたことを報じたが、この件の取材過程で、九州・沖縄のマスク備蓄の状況も明らかとなっている。
残念な実態をさらけ出したのが福岡県。過去に、地震や豪雨といった大規模な自然災害を経験していながら、マスクの備蓄はゼロだった。「災害発生時に購入する」とのんきに構える同県だが、どれだけカネをかけたとしても、売っているマスクがないのが現状。失政がないとみられていた小川県政が、思わぬところでつまずいた格好だ。
■問われる福岡県の危機管理
下は、九州・沖縄の主要自治体に確認したマスク備蓄の現状だ。
大量のマスクを隠していた鹿児島県は論外として、各自治体は危機管理にしっかりと向き合っている。
北九州市は、備蓄していた20万枚のマスクのうち、すでに医療機関・介護施設などに16万枚を支給。沖縄県は、ストック分12万枚を全て支給したとしている。
熊本県は、新型インフルエンザ発生時に購入していた48万枚を、配布計画に従って支給。長崎県は備蓄マスク30万枚のうち4万枚を、佐賀県は、13万枚の中から4万枚程度を支給したとしている。
大分、宮崎の対応は心もとないが、一番の問題は、まったく備蓄していないという福岡県だ。
福岡県は、2005年に西方沖地震を、2017年には九州北部豪雨を経験している。県南地域に甚大な被害をもたらした2012年の豪雨災害も記憶に新しい。自然災害の恐ろしさを知る福岡県が、備蓄用のマスクを1枚も購入していなかったことは、明らかな失政と言えるだろう。
新型コロナウイルスの感染拡大で、一斉に無くなった国内のマスク――。「災害が起きたら購入する」が通用しないことを、福岡県は一番よく分かっているはずだ。