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【2020鹿児島知事選】自民県議団・三反園推薦「全会一致」の真っ赤なウソ

2020年3月 6日 08:35

aa161b4a423672ddc54613eb537562310e6e8a8e-thumb-240  xauto-17649.jpg 先月28日、鹿児島県の自民党県議団が総会を開き、今夏の知事選で現職の三反園訓氏(62)を推薦することを決めた。
 主導したのは、外薗勝蔵県議会議長を中心とする現職支持派の面々。三反園氏のほか、立候補を表明している伊藤祐一郎前知事ら3人からの「推薦願」がようやく出そろったところでの強行突破だった。
 個々の政治信条や政策を聞くという手順を省いた、いきなりの方針決定だったが、HUNTERの取材で総会後に大久保博文県議団副会長が明言した「全会一致」が、真っ赤なウソだったことが明らかとなった。
(写真手前が県議会棟、中央は鹿児島県庁)

■迷走した三反園推薦
 7月に投開票予定の鹿児島県知事選挙には三反園氏の他に、ともに新人で元九州経済産業局長の塩田康一氏(54)と鹿児島大特任助教の有川博幸氏(61)、元知事の伊藤祐一郎氏(72)が立候補を表明。出馬を予定する4人全員が、自民党と公明党に推薦を依頼するという異例の展開となっていた。

 定数51の県議会で38議席を占める自民党県議団は、昨年秋から度々県議団総会を開き、現職の三反園氏から出された推薦願の扱いを協議。12月18日の団総会では長老議員の何人かが方針決定を迫る場面もあったが、多数の議員が難色を示したことで結論は出ず、党県連に判断を委ねていた。

 県議団の迷走を受けた県連会長の森山裕自民党国対委員長は、県政を担う県議団で三反園推薦についての意見を集約するよう厳命。その後、県政界の一部から森博幸鹿児島市長の知事選出馬を願う声が上がったため、県連として同市長の意向を確認し、立候補予定者の提出する推薦願が出そろうのを待って協議を再開するものとみられていた。

 事態が急転したのは先月27日。複数の長老県議が団総会の開催を求め、翌28日の総会で、立候補予定者らの政策も聞かずに三反園氏の推薦を決めていた。

 県議団総会後、記者団の前に現れたのは藤崎剛県議団会長らの執行部。記者団に総会の結果を伝えたのは、藤崎会長ではなく筆頭副会長の大久保博文県議だった。大久保議員は、三反園氏の施策への取り組み、エネルギー政策や安全保障で自民党と価値観を共有できる点などを評価したと説明し、「全会一致」で決めたと明言していた。

 HUNTERには、現職推薦を伝えるテレビのニュースが流れた直後から「推薦決定は時期尚早だという声が無視された」「恫喝で決めた推薦」などと県議団総会の実態を伝える複数のメールが送られてきたため、関係者への取材を続けていた。

■「全会一致」の実態
 これまでの取材によれば、先月28日の県議団総会は、自民党県連幹事長を務める日髙滋県議が“この日に推薦を決定する方向”で進行を主導。何人かの議員が推薦決定を「拙速」「県民が見ている」などと諫めたものの、三反園氏を強く推してきた外薗勝蔵県議会議長が恫喝と屁理屈で慎重派を黙らせ、県議数名が同調して“執行部一任”という形で方針を決定するよう仕向けていた。

 「全会一致」は真っ赤なウソ。HUNTERは、問題の県議団総会の細かなやり取りの記録を入手しており、次週の配信記事で詳しく報じる予定だ。



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