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【新型コロナ】地方都市での不可解感染 その背景は……

2020年3月10日 08:40

20120810_h01-01t.jpg 世界各国に広がった新型コロナウイルスの猛威が止まらない。日本でも9日現在、感染者数が1,200人を超え、新型コロナが原因とみられる死者は16人にものぼる。
 安倍首相は、学校の臨時休校や中国、韓国からの渡航禁止などを急きょ打ち出したが、いずれも後手に回った対策という感が否めない。
 あわてる政府に振り回される国民。新型コロナの感染者が出た西日本の地方都市で、ある一家の親族が肩を落としてつぶやいた。「まさか、家族全員が感染者になるなんて」――地方の小都市で、一体何が起きていたのか取材した。

■地方都市で不可解な感染
 最初に新型コロナに感染したのは父親だった。その後、妻や他の家族にも次々と感染が確認され、一家全員が隔離されたという。

 それだけでも大変な話なのだが、大騒ぎになったのは、むしろそこから。緊急入院した家族の一人が介護の仕事にかかわっていたため、利用者の自宅を訪問して病院まで付き添ったり、不特定多数の人と接触する機会が多かったというのだ。一家の親族は、こう話す。
「父親は高熱が出て、肺炎になった。もちろん病状も心配だったが、騒ぎなったのは、家族の一人が接触者した人が多かったせい。とにかく、数百人が感染を疑われる事態になった」

 地域のほとんどが疑心暗鬼になる状況だったらしく、その時のことを保健所の関係者が明かす。 
「2月中頃、濃厚接触者とされる人が300人を超えた。そこで、全員の検査を実施することになった。うちの街はどうなるのかと緊張が走ったけど、PCR検査の結果は全員陰性。マスコミも薄々感づいていたが、大きく報じられることはなかった。ひと安心でした」

■感染の背景
 この地方都市の周辺では、その後新型コロナウイルスの感染者は増えておらず、小康状態だという。だが、自治体の幹部は、これまでの経過を振り返る形でこう話す。
「『なぜ、こんな田舎町で?人の往来も少ない、外国人もこない。なぜ感染者が増えたの』と、市民から疑問の声が寄せられました。調査で分かったのは、どうやら最初に感染したのはある医療関係者だったということ。実は、その人物に問題があったのです」

 自治体幹部によると、2月初旬に、医療関係者の感染が明らかになった。当初、その感染源は不明とされたため、地元では医療関係者の勤務場所や自宅、立ち寄り先などで消毒作業が実施されたという。
「自宅だとか立ち寄った商店など、そういう場所を消毒作業するのは当然です。ところが、何十kmも離れた居酒屋、スナックなども消毒作業の対象となったんです。聞けば、新型コロナに感染した医療関係者は、クラブの中国人ホステスに入れあげて、よく通っていたというんです。医療関係者は、そこで感染したんじゃないかというんですね。すでに中国で新型コロナウイルスの感染が報じられていた時期です。この話は地元ではすっかり有名になっています。本当に腹が立つ」(自治体幹部)

 冒頭で紹介した一家感染の背景には、こうした事情があったとみられている。

 ちなみに、消毒作業の場所となった中国人クラブX。そこに勤めていたことのある中国人女性は、つぎのように話す。
「保健所の人だと思うが、作業服を着た人が何人もきて消毒作業をしたそうです。問題(医療関係者)の人は、たしかによく来ていた。お気に入りの娘を指名して、いつも連れ出すのがパターン。その娘は湖北省あたりの出身で、日本の正月に中国の田舎に戻っていた。それで感染したのではないかと店でもウワサになっていた」

 問題の中国人クラブは、しばらくは休業していたが最近になって営業をはじめたという。「私自身は、新型コロナウイルスの検査は受けていない。受けろとの指示もない」(前出・中国人女性)。“ザル”のようなチェックで大丈夫なのか?さらなる、感染拡大につながらないのか?地元ではいまだ、ハラハラ・ドキドキの状況だという。



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